*決戦2
*なんか、ほんとに酷い話だ・・・
*SじゃないのにSに見える魔王殿

事前注意?
*描写はないぜ





「・・・ゲームをしないか?」

「ゲーム?」

「ああ。何でもいい。」


それが、
守る唯一の手段だ。


続・彼はファラオ -8-





余りに多くのことが詰め込まれすぎた日曜日。

大会にでて、優勝して、海馬の邸へ走り、
遊戯を助け出して・・・
そして、これが最後だ。

友人たちに詫びのメールを返してから、
眠りにつくまでの支度を全て終えた。

別にそうする必要もなかったのだが、
心には時間が必要だったのだ。

アテムは知らぬ間に行き来できるようになっていた自分の心の部屋から、
廊下を挟んだ向かいの禍禍しい扉へと手をかける。


また、此処に戻ってこられるという保証は無かった。


自分の心を賭けてまで勝負へ向かわせようと思うこの理由はどこにあるのか。
それはその心自身に秘められている。

ただ1人の相棒を守りたい自分の心。

覚悟は決めたのだ。


アテムはドアを開けた。

「貴様から来るとは、珍しいな。」

王はそこにあった。
今日のことなど何も無かったかのような、相変わらずの威厳を身にまとい、
その部屋であの写真を愛でながら、玉座にもたれる姿は、
正しく王だった。

ああ、王であれば、
その力を持ちながら、何故、遊戯を救えなかったんだ?

王などと、巫山戯るな。


「俺から用があったから、来ただけの話だ。
ノックは必要だったか?」

「構わない。来ることは解っていた。」

神にでもなったつもりか?

「で、用件は何だ?」


ゲーム。
あんたの言う闇のゲームをしよう。


賭けてやるよ、

俺の体を。


「何が言いたい?」


「相棒に、いや、遊戯に関わるな。」

愚者の戯言に興じていた王の相貌は一変した。

「貴様、何を言っているんだ?」

あれだけ言っただろう?
遊戯を求めるなと。
あの男を見ただろう?
遊戯を奪おうとするものの末路を。

「だからこそだ。」
「生きるのが面倒にでもなったのか?」
「まさか。・・・貴様は言った、『俺の責任だ』ってな。
遊戯はそれを好意的に受け取ったんだろうが、俺は全くその通りだと思っている。」

そうだ、その通りではないのか?

「もし、貴様が遊戯に関わらなければ、
遊戯はあんな目に合わなかった。そうだろう?
貴様が遊戯を一番知っているつもりなら、判るはずだ。」

あの笑顔が、作られたものなんだってな。

「貴様の言い分は解った。確かにあれは俺の責任といえる。
だが、貴様の希望通り俺が消えたとして、遊戯はどう思う。
俺が消えたと、それが更に貴様に起因するとなればどうだ。」
「俺は遊戯からどう思われようが構わない。」

ただ、

「遊戯を傷つけるやつだけは許さない。」

それが誰であれ、
遊戯が愛する貴様であれ。


「・・・いいだろう。」

王は玉座から立ち上がり、
アテムの隣を通り過ぎてから振り返った。

「貴様の得意なM&Wで戦ってやろう。」
王が左腕に右手ですっと触れると、決闘盤が姿をあらわす。

「生憎俺は、今日の大会とその他僅かな記憶しかない。
ルールだけはわかっているが、カードの種類は今日貴様が組んだものしか知らない。」

右手にカードが現れる。

「貴様は己の意思で選べ。俺を倒す為のな。」

アテムもまた王と距離をとって対峙する。
この部屋は意志の世界、
アテムの腕にもまた決闘盤が取り付けられ、
王を倒すための剣も揃う。

「アテム、貴様の、遊戯を守りたいという意志がどれだけのものか、見せてみろ。」

王は限りなく譲歩していた。
王のデッキは昨夜アテムが優勝するために組んだものだ。
アテムに分があるのは当然だった。

それでもなお笑みを絶やさぬのは、
絶対的な自信故。

「アテム、1つ言っておこう。」

貴様を俺はかっているのだ。

「勝負をするとき、敗北がその背にあることを忘れるな。
だが、恐怖は人を弱くする。」

だから俺は恐れない。
敗北など、信じない。

ホルスは我に微笑みかける。


「「決闘!」」








それは、余り長い時間ではなかった。
だが、余りに重い時間であった。



「まさか、此処まで俺を苦しめるとはな。」
「・・・余裕のある感想だな。」
「だが、貴様は敗者だ。」

そうだ。
負け犬に吼える資格など無い。




すまない、相棒、
俺は

お前を守れなかった。





期末のテスト休みで連休の続いた後、
その週の土曜日、
遊戯は急な電話でアテムの家へと呼び出された。

あれからアテムや王と顔を合わせるのは初めてで、
なにやら不必要に緊張してしまう。

アテムのマンションのチャイムを押して出てきたのは、
「ファラオ!?」

アテムではなかった。

「どうした?そんなに驚いて。」
「え、だって・・・。」
「呼び出したのは俺だ。」
「そ、そうだったんだ。びっくりだよ。」

驚きつつも、誘われるまま部屋へと通された。


「・・・前は、ゴメンね?」
「何故お前が謝る?」
ソファにゆったりと寛ぐ王へと身を委ねながら、遊戯はそう切り出した。
「でも・・・。」
「仕方が無いことだ・・・傷ついたお前には配慮のない言い方をすればな。」
「だから、ボクは、」
「人は己の傷を客観的には気づかないことがあるものだ。」

そう言いくるめながら恋人の髪を撫ぜる。
くすぐったそうな顔をするのが愛おしくて、その身を寄り引き寄せた。

「遊戯、今日俺が此処に呼んだのは、お前に謝罪と自責の言葉を吐かせるためではない。」
「・・・。」
「俺は不安で仕方がない。」
「何が・・・?」
「俺の見ぬ間にお前がまた誰かに奪われるのではないかと。」
「そんなこと無いよ!!」

人の話など聞かなかった王が、
何故こんなにも優しいのだろうか。
伝わる温もりには冷酷さなど含まれていない。

「・・・遊戯。」
「な。何?」
「親に宿泊許可を取れ。」

「え?」

「今夜は返さない。」

唐突過ぎる。
だが、王がそう求めるのは、やはり海馬とのことがあったからだというのはわかった。
遊戯は何度も告げたのだ。
自分は王のものだと。
それなのに、遊戯は自分の身さえ守れずに、
王に責任を押し付けただけではないか。

「で、でも・・・。」
「許可など要らないといったのだが、ヤツがそれを了承しないのだ。」
「ヤツって、アテム・・・?そ、そうだよ、キミの体はアテムのものじゃないか!!」
「体はアテムから奪った。」

奪った?

「案ずるな。一晩だけだ。」

王はそういいながらソファへかけなおす。

「ヤツは俺に賭けゲームを申し出た。
愚かにもヤツは自分が何故そう言い出したのか自分自身が解っていなかったが、
それでもゲームを仕掛けたのは向こうだ。」
「何で・・・?」
「さぁ。答えはヤツに聞け。それが一番早い。」
「う、うん・・・。でも、アテムは・・・何を賭けたの・・・?」

信じられなかった。
アテムが賭けをするなど・・・。
アンティさえ厭うというのに。

「体だ。」
「からだ・・・?」
「ヤツは俺に体を譲るといった。だから俺が奪ったまでだ。」
「ってことは・・・!!」

遊戯の目が一瞬悲しみに染まったのが解った。
その必要はない。

「だから一晩だけだと言っただろう?」

本当は、
永久に奪ってしまおうと考えていた。
アテムの心を閉じ込めておくなど造作もないことだった。

だが、
敢えて同じデッキで挑んできたアテムの強さと
彼が自身を犠牲にしてでも遊戯を守ろうとしたその姿勢の前に、思わず怯んだのだ。
そして、王自身がアテムを厭えなかったのだ。

「心配する必要はない。だから、」
「だから?」

「今は俺だけを見て、俺のことだけを考えろ。」

許諾の声を塞ぐように、唇を奪い去って、
抗う理性を宥めすかして、欲情に手をかける。

「電話しないと・・・。」
「後ではダメか?」
「ん・・・だって・・・いみが・・・。」

腕の中、遊戯は鞄から携帯を取り出し、慣れた手つきで自宅へ連絡を取る。
適当な言葉の羅列なのに許可が下りたのは、
アテムの信頼の賜物だと、王は笑った。

携帯の電源が切れると同時に、
遊戯は男の腕の中に墜ちていった。






前のターン! 前のターン!→



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勝ち目無いです。


次か、その次あたりで終わりそうだぜ・・・!!!


本当はもっとダメ子だったアテムですが、
ダメ子を過ぎて、最悪になりそうだったので、
流石に考え直したんだ・・・





(08.04.09)AL41