*時間が少し戻ります
前話の、社長が誘拐する前です
S社長のターンは2ターン?お預け
*未知との遭遇(笑)





続・彼はファラオ -3-






気づいた時、
遊戯と海馬が覗き込んでいた。

話によれば、
なにやら廊下で倒れたところを2人が助けてくれたとのことだった。

「キミってさ、結構いきなり倒れちゃうこととかあるじゃない。」

そうだ。
ああ、そうだ。

最近、記憶が無いことが多い。
医者に行ったほうが良いといわれるが、
医者は、嫌なことばかり思い出すから、
余り好きではないので行く気は無い。

4月の健康診断では正常も正常、
視力さえ正常だったというのに。

といっても、
記憶が途切れるのは別に最近になっての話ではない。
昔からだ。
何時から、ということまでは覚えていないのだが。

ただ、最近妙にその機会が増えているのは確かで、
遊戯や周りに迷惑をかけるようであれば、
やっぱり病院へ行かなければ行けないか。

とりあえず、その場は遊戯と海馬に礼をいう。

「でも、海馬がなんて珍しいな。」
「用があっては可笑しいか?」
「ああ。」
「・・・。まぁいい。」

海馬はアミューズメント企業の社長をしているが、
それ以上に俺が認める数少ない決闘者だ。

用件の内容は、簡単な話だった。
遊戯と2人で今度I2社が開催するタッグ大会に出てくれというものだった。

俺と遊戯、俺は相棒と呼んでいるが、彼も相当な決闘者で、
いつか海馬の会社のタッグ用マシーンとのテスト決闘で組んだことがあった。
その時の連携は面白いほど巧くいって、それから相棒と呼んでいるのだが、
それで、話が来たのだろう。

大会に出るのは久しぶりだし、タッグでは初めてだ。
彼も許諾してくれたので、出ることにはなった。

遊戯、
そういえば、
俺が気を失う時、大体遊戯が居る気がする。
無論、昔は居なかったが。

それほど一緒に行動しているということか。

そういえば、最初に遊戯と話をしたのも、俺が気を失った時だったか?

そう思えば悪い気はしない。
お陰で相棒と知り合うことが出来たんだからな。


そう、思った瞬間、


激しい頭痛が襲ってきた。

「ッ・・・!!」
「あ、アテム!?」

一瞬視界が霞みよろめくと相棒が支えてくれたが、
まだ頭には鈍い痛みが残っていた。

「アテム、体調でも悪いのではないか?」
「大丈夫?保健室行く?」
「いや、いい・・・。」

俺は、どうしたんだろうか。





その後、だいぶ痛みも引き、授業は問題なく受けられた。
ただ、それでも大事をとったほうが良いと、隣の席から遊戯が視線で訴えてくるので、
城之内君の遊びの誘いは断って、家へと寄り道もせずに帰った。


家には父も母も居ない。
余り不便に思ったことは無いが、
病気だの体が思うように動かない時は、一人だと少し面倒だ。

何か食べて薬の1つも飲んだほうがいいのかもしれないが、
生憎それも面倒だったので、諦め、
水だけ飲んで布団に入った。



夢にしては、現実的といえた。

目が覚めたとき、俺は、生活感の無い部屋の真ん中に立っていた。
白い壁に黒が基調の、まるでモデルルームみたいな部屋。
ちょっと洒落た事務所というか、
でも何故か妙に落ち着く。

ブラインドがかけられていたが、
覗いてみると、外はエジプトの景色が広がっていた。

日本へ来ても、忘れられぬ祖国、ということか。

あたりのモノに手を伸ばすと、触れられた、
確かな感触がある。

デスクの上には幾つか写真立てが並べられている。
写真立てもまた、黒のフレームにそろえられていた。
父、母。
そして学校の仲間の写真。
だが、
誰かが足りない。

「相棒が居ない?」

それは妙に違和感があった。
これが俺の夢であるのなら、
彼は大切な仲間であるわけだし、
写っていてもいいはず、寧ろ居るはずだった。

だが、所詮は夢だ。

俺はそう思いなおして、
椅子に座り、机の引き出しをあさってみた。

一番上の引き出しを開けると、
M&Wが入っている。

「大事なもの・・・か。」

そこに、
カードに紛れ、
さっき居なかった遊戯の写真が入っていた、

ように、見えた。

と、いうのは、
もう一度探してみても、出てこないのだ。

まぁ、夢なのだ。
ただ夢にしては良く出来ている。

独り言を呟いた。
「俺が住んでいるみたいだ。」





「そう、そこはお前の部屋だからな。」






と、俺の声が帰って来た。
何処から聞こえたのかは解らない。
だが、
確かに聞こえた。
そしてそれは、恐らく俺の声だった。

部屋中を見てみたが、別に何があるわけでもなく、
思いすごしだと、そう考えようとすると、今度は、

ひとりでに扉が開いていた。

「俺を、誘っている?」

そう、これは夢だ。

俺は僅かに怯えた自分を騙して、
扉を出て行った。

外は廊下になっていて、
向かいには扉がある。

一見悪趣味な扉。

鉄製の僅かに古びた扉を開けてみると、


中は絢爛豪華そのもの、
調度品は元より、全てが金で彩られた部屋だった。
壁は石造りで、壁画も見える。この様子は見たことが・・・

「まるでピラミッドだ・・・。」

そして、こんなにも豪華な部屋に住めるものといえば、



「ここは王の私室だ。墓と一緒にするな。」




さっきの声と同一の、声。

音が聞こえた方ははっきりしていて、思わず視線を向ける。

その声の主を見たとき、
はっきりしたのは、
俺ではない俺だったということだけだ。

だが、恐らく俺よりも目つきは鋭い。
動物にも例え用が無いほどに、鋭く、
肌を通して骨まで見られている気にさえなる。


「お前がアテムか。成程な、間違われても仕方が無いか。」

お前は、
「誰だ?」
「名は無い。ただ、人は俺をファラオと呼んだ。」
「ファラオ?エジプトの王の名称、神の子・・・。」
「流石エジプトに住んでいただけのことはあって、理解は早そうだな。
やつはファラオの名前さえ知らなかったが。」

クツクツと楽しそうに笑った。

「俺が今日、お前を此処に呼び出したのは聞きたいことがあるからだ。」
「俺も聞きたいことはあるわけだが。」
「知りたいこと?そうか、お前も俺を知らないのだな。」

ファラオと名乗った俺は、金の、恐らく玉座だろうが、
そこへゆったりと座り、足を組み、
王と名乗るだけのことはある、偉そうだった。

近くのテーブルには俺の部屋と同様に、写真があった。
俺の部屋が黒で統一されていたように、
この部屋は金で統一されている。
そして当然の如く、写真のフレームはまるで絵画の額縁のように
細かな細工を施された金細工であった。

だれが、写っている?

俺がそう考えたことに気づいただろう王は、
その写真立てに手を伸ばした。
それを見る目は、さっきの俺を見る目とは全然違う。
そして目を離し俺を見ると、先の目つきに戻る。

「俺の話は簡単だ。」
「何だ?」

「その体を譲れ。」

体?

「まて、意味が解らない。」
「意味?そのままだ。お前がその体を支配しているから、俺が出られない。」
「どういうことだ?」

さっぱり理解の出来ない俺に呆れ、
しかし王の威厳で持ってそれを認め、説明をした。

「やつ曰く、俺とお前は同じ体に住んでいるらしい。」
「二重人格ということか?まさか。」
「生憎、そういわれるまで俺はお前の存在を知らなかった。
今日はそれを確かめる意味でもお前を呼んだ。」

本当に俺以外のやつがいて、俺を同じ外見をしているというのなら、

「やはりそう言うべきなのだろう。」

傲慢であるわりに、理知的らしい。

「つまり、俺の記憶が無い時は、お前が出ているということか。」
「そうだ。」

記憶が無い時・・・?

その時、お前は何をしている?

予想した瞬間にフラッシュバックした映像の中に居たのは、
だが、まさか。

「お前の言うやつとは、誰のことだ?」
「お前が嘗て付き合ったどの女よりも、言い寄ったどの女よりも、
可愛らしく美しい。」

そう、恐らく惚け、再び写真に目をやる。

その人の写真なのだろう。

「お前もみたことがあるはずだ、そう、俺のものだというのに、
誰彼構わず笑顔を振り撒くやつだからな、
お前にも見せているのだろう?」

笑顔のやつ・・・?
俺の記憶が途切れ、目を覚ます時にいる人物・・・?

写真立ては、俺に見えるようにテーブルへ置かれた。


衝撃が写っていた。









前のターン! 次のターン!



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背景素材:歪曲実験室。を少し加工させていただきました。





なげぇなぁ・・・(自分で言うな)

結局前回書かなかったタッグ戦について出しました。
決めてなかったんですが、使えそうだったので、引っ張ってきた(無計画の産物)ので、
S社長のターンが遅れています

この後S社長と結末以外ほぼ未定なので、
自分でも予言できないぜ!


(08.03.05)AL41