Ep.1-03
とりあえず3人は、2人の紅葉の仕事現場へと急ぐ。
城之内はとうとう、聞くことに決めた。
「なぁ、遊戯とアテムは、どんな仕事をしてるんだ?」
「え?」
聞かれて遊戯はきょとんとしている。
「いや、聞かないほうがいいんなら別に構わないんだけどよ。」
えーと、うーん・・・と遊戯は一寸悩んだ後で、
アテムに「話してもいいよね?」と許可を求める。
すると保護者は、珍しいな、と言った様子で許可をだした。
「あのね?ボクは別に城之内君が信じてくれなくてもいいんだ。」
「?」
「でも、別に嘘をついてるわけじゃないんだ・・・。」
「???」
何となく言いづらそうにしている遊戯を見兼ねたのか、
アテムが口を開いた。
「信じない人間が居るのは当然だと思うんだが、“嘘だ”といわれても困るんだ。」
「俺は、2人のことは信じるぜ?」
そういうと、アテムは不思議そうである。
「今日はじめてあった人間でもか?」
そういわれればそうなんだけど、
「でもよ、理由は無ぇんだけど、悪いやつには見えねぇし。
それに、何つーか、疑ってかかるのは好きじゃねぇんだ。」
初見のアテムを鬼とか思ったのはもう記憶の彼方へしまっておこう。
「そうか・・・。」
「おう、だから、聞かせてくれたら嬉しいんだけどよ。」
「ああ。」
アテムは遊戯を一瞥するが、遊戯は不安そうに視線を逸らしていた。
ふぅ、っと一息ついてから放たれた言葉。
「俺たちは、」
と、言いかけたところで、
前方の角から作業着を着た人が現れた。
「すみません、あの例の件の方ですよね?」
「ええ。よろしくお願いします。」
アテムはその顔を認識してから、返事をする。
どうやら、仕事の依頼人らしかった。
「あの、お隣の方は、」
「俺の相棒です。あと、もう一人は信頼の置ける人間なので気にしないで下さい。」
「あ、はい。いえ、すみません。ただ、如何にも信頼に関わるものなので・・・。」
相手は本当に藁にも縋る様だった。
「それで、モノは?」
「もう間もなく到着します。その、話すよりご覧いただいた方が早いと思いまして。」
「そうですね。到着次第連絡ください。そこ等辺で待ってるんで。」
一礼して去っていくと、遊戯は仕事の内容を聞いた。
「それで、今日はどういうのなの?」
「ああ。相手は海上輸送の会社で、東南アジアから輸入してるらしい。
何時も通り確認をして搬入したはいいが、コンテナから物音がするっていうんで、
作業員が確認したら、飛んでたらしい。」
飛ん・・・で・・・た・・・?
「な、なぁ、アテム、」
「どうした?城之内君。」
「いや、あの、飛んでたって、」
半分混乱状態の城之内をみて、そういえば話の途中だったな、と気づいた。
「城之内は、幽霊って信じるか?」
「え?」
「・・・。」
「あの、さっきの飛ぶって、」
「輸入品が、だぜ?」
何処かで、あるよな、そういうの
「・・・世にオカルトって言うやつだよな?」
「まぁ、そうだな。」
さっきからアテムばかり見ているのは、
見上げてくるアメジストを見ると居た堪れなくなるからだ。
「俺は、別に信じてねぇわけじゃ、ねぇよ。でも、その、ただな?」
「?」
「そーゆーの苦手なんだ。」
チョーク、黒板消し、花瓶、ノート、シャーペン・・・
1学期はよく飛んだな。
2学期からもよく飛ぶんだろうな。
「あ、遊戯、俺は、別に信じない、寧ろ信じてる部類だ。
ただ、苦手なんだ。だから、遊戯とアテムが嘘を付いてるなんておもわねぇよ!」
「本当!?」
不安で一杯だった遊戯の顔がぱぁっと、効果音が聞こえそうなほどに変わったのを見て、
城之内は、不安の中にも嬉しさを感じた。
「すみませーん!!荷物が届きました!」
さっきの作業着の人が此方に向かって駆けながら叫んでいる。
「さて、さっさと終わらせてくるぜ。」
「ボクも行こうか?」
「・・・。」
「城之内君は、どうする?」
「会ったのもなんかの縁だ。俺も行っていいか?」
バカだとおもうが、何となく拒否できなかった。
「じゃ、行くぜ。」
依頼人の後にアテムが、更に遊戯が続いた。
遊戯は、城之内の心情を察したのか、暖かな笑みを浮かべたまま、
声をかけてくる。
「大丈夫、本当は怖いことなんて何も無いんだ。」
「でもよ、」
「城之内君は、因果応報って知ってる?」
「え?原因と結果とか、そんなんだっけ?」
「うん。」
行く、と言いつつ怯えている城之内に、遊戯はそのまま優しく語り掛ける。
「ボクらと同じ人の中でも、違う考え方の人も一杯いるんだけど、
ボクは、原因が無い限りこんなことは起きないとおもってるんだ。
キミが怖がる幽霊だって、理由が無ければ普通に彼岸へとわたっていくんだ。
でも、そうじゃないってことは、此処にとどまっていたい理由があるからなんだ。」
だから、その理由を叶えることで、元の場所へと帰っていけるんだ。
確かに、
呪い、とか、亡霊には何かしらの因縁があって、
それが怪談へとなるわけだ。
寧ろ、怪談・オカルトが如何に現実味帯びた話になるかは、その由縁の出来次第だ。
「だから、本当は怖くなんか無いんだよ?」
遊戯の笑顔見ている限りは、そんな気持ちにはならないが、
実際あのシャーペンの件を思い出すと、怖いものだ。
「すぐにそう思えるものじゃないから、すぐに怖くなくなるってことも無いとおもうけどね。」
「・・・。」
「大丈夫。もう一人のボクなら、さっさと終えちゃうから。」
目に見えないもの
極論、目に見えないものなんて一杯あるのだ。
で、それをどう感じているのかといえば、
些細な行動・表情に窺えるのだ。
人の心、考え何ていうのは見えないが、
何か贈り物を貰えば、「好意があるのか」と思い、
会うたびにガンを飛ばしてくれば、「気に食わないらしい」などと
察することはできる。
遊戯は、幽霊の場合、何らかの現象によって
意思の伝達を目指している、という。
それにしても、何かを投げることで何かを伝えようなんて危険だから辞めて欲しい。
「城之内君は、ボクの傍から離れないでね。」
「分かった。」
男・城之内は覚悟を決め、
さっさと行ってしまったアテムの後を、遊戯と共に追った。
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