*オカルト危険
9.カザーブ -城之内死す-
「・・・これが武器になるってよ、いいんだろうか・・・。」
すごろく場で手に入れたブーメラン。
芝生の上で子どもたちがパパやママと遊ぶオモチャである。
だが、モノはためしと、早速戦闘で投げたところ、
蜂、青蛙をいっぺんに攻撃することが出来たのだ。
更にアテムと城之内の攻撃があって、
効率的に敵を一掃することが出来た。
「すごいね!」
「けど、全員に同じだけのダメージとはいかねぇな・・・。」
「俺たちの攻撃力が上がれば雑魚は楽になるな。」
「なんか調子出てきたし、これで行こうぜ!」
意気込む城之内に災難が襲い掛かった。
山を順調に登り始めるのだが、
「くう〜ん」
と犬の鳴き声が聞こえてくる。
「犬?」
「迷子なのか?」
辺りを見渡すと犬がヨロヨロと数匹寄ってきた。
「お、犬っころどうし・・・うわああああああああああああああ!!!!!!!!」
先頭の城之内は後列配置の遊戯の更に後ろへ逃げだした。ガクガクいっている。
「何?え、何!?」
困惑する遊戯を他所に、アテムとバクラがゆっくり犬に近寄って観察する。
「ゾンビ・・・?」
「ゾンビだな。腐ってやがる。目玉も相当あれだぜ。」
表情1つ変えないアテムと、楽しそうなバクラ。
「城之内君・・・大丈夫?」
城之内のオカルト嫌いは親友の遊戯であれば良く知っている。
一応そのゾンビ犬はアテムとバクラによって倒されたが、
城之内はすっかり萎えていた。
「さっさと越えようぜ。犬が出てくると大変だからな!」
「や、やめろよバクラ・・・。」
「バクラ、城之内君を怖がらせないでくれ。」
「大丈夫だよ、城之内君、ボクも戦うから、」
「いいいいいいいや!遊戯に戦わせるわけにはいかねぇよ!」
ビビリながらも城之内は再び前線に出て、
先へと進んでいった。
「まだ見えねぇのか・・・?」
ズタズタのボロボロである。
周りの森を越えると、山である。
山を越えても山、その先も山、まだ山。山山山。
日が沈み始め寒くなってきた。
東西は険しい山に囲まれていて、
この山を越えるほか無かった。
一行はレベルこそ上がっているものの、MPも薬草も限界である。
「・・・あとどれだけ行けばいいんだ・・・。」
「もうクタクタだよ・・・。」
木陰に座りこんでいるが、怪物だらけの森で回復できる気がしない。
さすがのバクラも疲れて居て、森の向こうを見つめていた。
「この灰色の地図はなんなんだ・・・。」
「役に立たねぇな・・・。」
「でも、一応何処まで来たのかは解るね。」
灰色だった地図に色がついてくるのは、冒険が進んでいる証として楽しい。
しかし、本当に死にそうだ。
「何かあれば一度、[キメラのつばさ]でロマリアへ戻ろう。
一度休めば、今度はもっと簡単にここを越えられるはずだ。」
「うん。あ、そういえばキミ、何か呪文覚えたよね。」
「ルーラのことか。あれも戻る呪文だったな。」
だがアテムにはそれを唱えるMPが残っていない。
「なぁ。」
黙っていたバクラが口を開く。
「あっち、何かねぇか?」
「え?」
皆で指差された方を見るのだが、何も見えない。
周りは青々とした木々が鬱蒼と茂っていて、
空さえ良く見えないのだが。
「北北東あたりによ、屋根みたいなもんが見えるんだよな。」
「・・・幻覚じゃねぇの?」
「なんか自分でも良くわかんねぇんだが、遠くのもんが良く見えんだよな・・・。」
バクラの勘には散々助けられている。
レーベの時といい、いざないの洞窟の時といい前例はあった。
「ここはバクラの勘にかけよう。職業的なスキルでもあるかもしれない。」
「そうだね!」
「抜けてみて何もなければその時はキメラのつばさを使って戻ればいい。」
「よっしゃ、じゃあ、もう少し行くか!」
城之内を先頭に一行はまだ何とか先へ進む。
少しずつ空が開けてきて、
漸く山から抜けた。
「あ、マジでなんかあるぞ!?」
「ほんとに?」
森から出て、先を見つめると、
民家の屋根が見える。
「ほんとだ!バクラ君すごいね!」
これだけ見えると何か自分でも気味が悪いと思いながらも、
遊戯に褒められると嬉しい単純な自分だった。
「よっしゃ、行こうぜ!」
駆け出した城之内。
しかしそうは簡単に辿り着けない。
でかい蟹が現れた。
「何だコイツ!?」
「あれか、蟹料理屋の店の上にあるような、あれみたいだな。」
「個人的に顔が気に食わない。」
「甲羅がある分、攻撃が効きにくそうだが・・・。」
「なーに、俺がいっちょやってやるぜ!」
「城之内君!」
特攻していった城之内。
だが。
蟹は、その強固な甲羅で身を守るのだ。
「硬ってぇ!」
城之内の持つ質の高い武器でも、なかなかダメージが与えられない。
「負けてらんないぜ!」
「城之内君、深追いはやめたほうがいい!」
魔法でなければ戦えない相手というのは存在する。
多分、コイツなんかメラ系(炎系攻撃呪文)の呪文で焼いてやれば、美味い具合に倒せるのだろう。
打撃だけではクリアできない、職業の意味を思い知る。
「退くか?」
「流石に死ぬわけには行かない。死んだら所持金が半額なんだろう?相棒。」
「ゲーム通りならね。城之内君、逃げよう!」
「もうちょっとだと思うんだが、」
「しかし、」
4人は逃げようと思った、
だが、
「あ、危ない!」
逃げようと背を向けた瞬間、
城之内が一撃食らった。
「ぐはッ!」
「城之内君!!」
そのまま城之内がグッタリと倒れてしまった。
「あ・・・やば・・い・・・か・・・も・・・。」
それだけ言い残し、パタリと目を閉じてしまった。
「城之内・・・く・・・ん・・・?」
眠っているような死んでいるような姿を見て、遊戯は大きな目に涙を一杯溜めていた。
「城之内君・・・しんじゃったの・・・??」
「相棒・・・。」
「遊戯!王サマ!突っ立ってる場合じゃないぜ!」
蟹はコチラに向かってのそのそやってくる。
「どうする!?」
「逃げられないな・・・。」
逃げるべきだ。だが、城之内を見捨てることも出来ない。
だがそんなことより
あの蟹は城之内の敵である。
みすみす逃げるわけには行かない。
「そうだ・・・あいつ、守備力たかいよね。」
遊戯は何か思いついたらしく、半泣きながら手に力をぎゅっと込めている。
「ボクがアイツの防御力を下げるから、2人で攻撃して!」
「だが相棒、そんなことできるのか?」
「うまくいくかわかんないし、初めての呪文だし、MPなくなっちゃうけど、
ボクはアイツが許せないよ!」
村はすぐそこだし、MPが尽きてもなんとかなるかもしれない。
最後まで抵抗して駄目だったら仕方が無い。
「わかった・・・。行くぜバクラ!」
「おうよ。」
2人は武器を改めて構えなおす。
遊戯は残されていた力を全て放たんと力を込めて、呪文を唱えた。
「ルカニ!」
ひゅううん、という音と共に蟹を黄色い光が包む。
「いまだ!」
2人が攻撃にかかると、あっさり蟹の甲羅を割ることが出来た。
そのまま蟹はすっと姿を消してしまった。
「勝った・・・。」
「ルカニすげぇ・・・。」
「城之内君!!」
妙な達成感と、拍子抜けした感覚を覚えた二人だったが、
遊戯は平野に転がる城之内の元へ駆け寄った。
「城之内君!目ぇ覚まして!うわああああああん!!」
城之内の体を引き寄せて遊戯は泣き出してしまった。
幾らゲームとは言え、親友を失ってしまったのだ。
だがゲームだ。なんとかなるはずだ。
「相棒、早く城之内を復活させてやろうぜ。」
「うん・・・。」
「よっしゃ、さっさと村へ駆け込むとすっか。」
城之内を何とか運んで(引きずって)、
敵から逃げるようにして村へと駆け込んだ。
「ここは・・・。」
「ここはカザーブ。山に囲まれた小さな村です。」
入り口付近の女性が教えてくれて、カザーブであることが解った。
左手にはでかい教会が見える。
「急いで城之内君を!」
祭壇まで城之内を連れて行くと、
「教会になんのようですかな?」と優しい笑みをたたえた神父が立っている。
「生き返らせて欲しいんだが。」
「コチラの方で結構ですか?」
「はい。」
神父は城之内をまじまじと眺めてから、
「90Gの寄付をしていただけますか?」
「(安ッ・・・!?)」
「(こんな金額で教会やっていけるのかな・・・)」
「(詐欺とかじゃないよな・・・)はい。」
「では。」
神父は十字架を握り、
「おお、わが主よ!全知全能の神よ!
忠実なる神のしもべ、城之内のみたまを 今ここに呼び戻したまえっ!」
と、祈りを捧げた。
するとふわぁっとした光が舞い降りてきて、
城之内の顔は生彩をとりもどす。
「城之内君!」
「ゆ、ゆうぎ・・・?」
城之内は目を覚ました。
遊戯はまた泣いている。
だが今度は悲しみではない。
2人もそれを温かく見守った。
「生き返っても精神的な疲労はあるでしょうから、ゆっくり休むことです。」
礼を述べて、4人は教会を出た。
「今日は先に宿へ行こう。」
「だな。」
「悪かったな、迷惑かけて。」
「もう、ムリはしないでね。」
「ま、何時かは誰かが死ぬだろうし。死んでも復活出来るってことがはっきりしたわけだしな。」
遊戯の心配を一身に受けている城之内がうらやましくて仕方が無いが、
やはり死ぬのは怖いと思った。
「明日はこの村の捜索をして、少し近辺で鍛えるか。
カンダタと戦闘するかもしれないし、出来るだけ体力を鍛えていいた方がいいだろうな。」
「少しはゆっくり出来そうだな。」
「久し振りに一杯寝たいな。」
4人は宿を取り、久し振りすぎる休息をとった。
3人が寝入った頃、
アテムも疲れていたのだが考えることが多すぎて寝られなかった。
城之内と蟹の一件で、やはり魔法使いが必要なことはわかった。
多分、嫌でも商人も必要になるだろうし、武闘家も居て損は無い。
戦いばかりの日々の中、こんな宿で本当に意味でゆっくり休めるわけが無い、
代えのメンバーを揃えておく必要がありそうだ。
「(逃げてはいられないな・・・)」
ある程度の覚悟は必要だろう。
思い至ると睡魔が襲ってきた。
今はそれに身をゆだね、眠った。
←8.すごろく場[*]
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ルーラ・・・一度行った事のある場所へ飛んでいける 消費MP8
ルカニ・・・相手の守備力を下げる 消費MP3(=回復魔法 ホイミと同じ)
そろそろ呪文一覧が必要?
文章が単調になってしまった・・・
色々詰め過ぎてしまったせいか
後書きが長くなりすぎてしまうので、
一部だけ補足と思い出話。
ブーメランの話は次回。
何度もプレイしたこともあって、先がわかっている安心感のせいか
レベルあげないでガンガンいっちゃうんですよね・・・
自分が実際どうだったのか覚えていないのですが、
攻略本の目標レベルよりは確実に下だったので、
レベルは9で計算してます。寄付金。
ドラクエでは復活が教会なのですが、
レベルによって寄付金が変化するんです。
最初のうちは助かります。
後のほうになると、魔法で生き返らせちゃったり、
業と雑魚とエンカウントして[復活の杖]の効果で生き返らせたりします。
マニアックな話ですが、
DQ8で隠しダンジョンへ行ったとき、
周りがすんごい強くって、4人中3人死んでたんですが、
ヤンガスが復活の杖で頑張ってくれたので、
ダンジョン抜ける時は4人に戻ってました。
いやー、便利便利。
神父が復活の時に何て言ってたのか思い出せなくて、
駄文書くときに、誰か死なないかと
ちょっと回復使わないででダンジョンへ突っ込んで行ったんですが、
真っ先に死んだのが相棒でした・・・
回復持ってる人は狙われやすいな・・・
ルカニ楽しい。
ボス戦で効くのが楽しい。
ルカニ+バイキルトは勝利の方程式。
蟹って書くと、遊星しか出てこないです。
(09.01.08)AL41