6.いざないの洞窟 -海の向こうへ-
「つまりは爆竹か。」
鍵の付いたドアさえ開けて、強盗をしてゆく勇者一行は、
城やレーベの村で散々犯行に及んだ結果、
一件の家にて、
塔のジジイと同じようなタイプの微電波なジジイから魔法の玉を手に入れることに成功した。
周辺の敵もだいぶ雑魚になってきたし、
「そろそろ此処らへんとはお別れかな。」
スライムをぷにぷに突っつきながら遊戯はぼやくが、それは皆同じ意見で、
手に入れた魔法の玉こと爆竹を使って、海の向こうへ旅立つ時だ。
だが、
「で、どっから行くのか覚えてるやつはいねぇのかよ。」
「さっぱり。」
「おう。」
「ボクも思い出せないや。」
「王サマしっかりしろよ・・・。」
勇者であり、主人公たるアテムがこれとは、どうなんだよ、と
一盗賊は気軽にそんなことをいうのだが。
「話を聞くより、相棒を眺めるのに必死だったんだ。」
「それじゃあ、仕方がねぇな。」
「?」
「で、どうすんだ?ってかよ、この大陸には城とレーベの村と塔しぁねぇのか?」
それもそうだ。
村人の話では、
嘗てこのアリアハンは世界を支配していたというではないか。
そんな場所に、町がこれしかないというのも変な話だ。
「どこかに海の向こうへいける場所があるはずだね。」
なにやら腕を組んでナジミの塔を見ながら考え事をしていたアテムは、
ふと気づいたらしく、
「レーベよりも東へ行ったことがないな」と呟いた。
確かに彼らが今まで移動したのは、
ナジミの塔の周辺であって、
それよりも以東には行っていないのではないか?
下手な地図参照(前回と一緒)
「此処らへんはだいぶ回ったし、岬の洞窟も漁った。
そろそろ遠出して夜を外で迎えても大丈夫だろう。」
「よっしゃ!決まったら早速出発しようぜ!」
とりあえず一行はレーベに立ち寄り、
薬草等を買いだめてから、東へ向かって歩き出した。
右手に険しい山を見ながら、
左には林が続く。
「林の向こうには何があるんだ?」
「いってみりゃあ解るだろ。」
どっちに何があるのかも良くわからないまま、
兎に角真っ直ぐと歩き、林を突き抜けると、
「海、だな。」
広い海が見える。
湖とは非にならない、地平線が見えるような広大な風景に思わずうっとりしてしまうのだが、
ずーっと遠くにぼんやりと山が見える。
「あれは、他の大陸なのか?」
「その可能性が高いな。」
「これからあっちへ旅立つんだね!」
その為の入り口を探しているのだが。
「こっちが海となれば、反対側しかないな。」
再び森を抜けて、ずっと南へ下るが、
「どう見ても山っていうか、丘ってとこか・・にしても歩きにくいな。」
林というよりも森がずっと広がっている。
だが、進めないというほどでもないし、
「行くしかねぇか。」
この先に何があるのかさっぱり解らない。
これは冒険RPGなのだ。
4人は森越えを始める。
最初こそ余裕そうだった城之内も、次第に口数が減り、
知らぬ間に日も暮れていた。
途中アテムがまた毒にかかったりしつつも、
漸く森の出口に差し掛かると、再び一行の前に姿を現したのは、海だった。
「また海か。」
「なんだよ、なにもねぇのか?」
「とりあえず、森は抜けておこう。」
いそいそと森を抜け、一先ずどっかりと腰を下ろした。
「ったくよー、地図とかねぇのかよ、この世界には。」
「そもそもアリアハンは世界を統治してたんだろ?
あの王様は何も持ってないっていうのか?」
「そう地図があるとプレイヤーはつまらないだろうし、
プレイヤーは俯瞰視点だから、先に何があるのかある程度はわかるんだろう、ってとこか。」
「多分ね。」
広大な海が憎たらしい。
「バクラー、何か見えねぇのかよ。」
「だから、なんで俺なんだよ・・・。」
「バクラ君が一番眼が見えそうだよねー、職業的に。」
「盗賊だぜ?関係あんの・・・かって、あれ、何だ?」
「またか。」
指差された方へ眼を凝らすと、
闇にまぎれて確かに何かが見えない気がしなくもない。
「・・・行くか。」
それしかないのだ。
重い腰を上げて、指差された方へと北上を始める。
途中から酷い雨が降り出して、戦意喪失になるも、
それは次第にはっきりとした形を現して、
ついには祠のようなものであることが解った途端に
一行は思わず駆け出す。
人が居なくても屋根があればそれでいい。
「ったー、いっちばーん!!」
「あー・・ったくなんでこんなに走るはめになるんだか・・・。」
「ほぅ、人とは珍しいな。」
突然現れて思わず何かと思うと、
「やっぱりジジイなのか。」
何時もと同じようなじいさんがそこに立っていた。
「雨ではしんどいだろう。休んでいきなされ。」
「すみません、お邪魔します。」
びしょびしょになった4人を老人は温かく迎えてくれた。
適当に服を乾かしていると、温かい飲み物を差し出してくれて、
「いやいや、こんなところへどうかされたか。」と、非常に人当たりのよさそうな人物だ。
「実は、海の向こうへ行きたいんだが。」
「海の向こう・・・いざないの洞窟か。」
「“いざないの洞窟”?」
「あすこには『旅の扉』がある。」
「旅の扉?」
「旅の扉は、他の場所へ あ っという間に飛んでいけるのじゃ。」
「時空の歪みみたいなものか・・・。」
その旅の扉が、海の向こうへ繋がっているという。
「現在は封印されておるが、
お主らが魔法の玉を持っているのであれば、そのままいざないの洞窟へ行くがよい。
道は開かれるだろう。」
「そのいざないの洞窟は、」
「この北にある。森の中に泉があって、その近くに入り口があるはずじゃ。
今日はもう遅いし、雨も酷い。日が出るまでゆっくりして行きなされ。」
「ありがとうございます!」
「ツボの中のものももって」
「ありがたく頂いておいたぜって、これよ、さっきから散々拾うんだが、何なんだ?」
相変わらず手癖の悪いバクラが、一枚の羽?を持って老人のところへ向かう。
「これは、“キメラのつばさ”じゃ。
それを持っておれば、今まで言ったことのある町・城へひゅーんと飛んでゆけるぞ。
塔や洞窟から命からがら出てきて、街まで行く余裕がないときなんかに使うと便利じゃ。」
「成程ね・・・。」
すっかりアイテム収集癖ができてしまったらしいバクラは、
もう1つゲーセンメダルを拾ったので、それも老人に尋ねたのだが、
それは流石にわからないらしい。
「まだ先なのか?」
「かもしんねぇな。」
「まぁいずれにせよ、目的地も決まったことだ、さっさと休んで、早めに出るとしよう。
旅の扉の先に、どんなものが待っているのかわからないからな。」
一行は森越えの疲れを癒して、翌日に備えた。
「気をつけてゆくんだぞ。」
「うん。おじいちゃんも元気でね!行ってきまーす!」
まるで学校へ行くかのように祠を出ると、
丁度海岸線に太陽が頭を出していた。
「日の出ってやつか。」
自分たちの旅もまた日の出の時。
さぁ今日こそ新境地へ。
昨日の森越えで森にもだいぶ慣れ、
林などたいしたものではない。
泉に着くのは簡単だった。
「入り口ってのは、あれのことか。階段みてぇだな。」
「・・・なんだか最初にナジミの塔へ入ったときのことを思い出すな。」
「なんか結構昔のことみたいだね。」
階段を慎重に降りると、
ナジミとはまた違う、緑色の廊下だった。
手前はだいぶ暗かったのだが、先に明かりを見つけて進んでみると、
聞いていた通りに老人がいる。
「お主ら、魔法の玉を持って居るのか?」
「これのことだろ?」
レーベで貰った魔法の玉を差し出すと、
なにやら「そうじゃ、それじゃ。」
と、嬉々としてアテムの手からそれをとり、
そそくさと壁へと仕込む。
「さがっておれ。」
仕込み終わるなり、コチラへ慌ててやってきて、
次の瞬間。
「爆竹なんてもんじゃねぇな・・・。」
単なる壁だと思っていたその緑岩壁は、
豪快な音を立てて、爆破された。
ゴロゴロと転がる破片は欠片などと呼べる代物ではなく、
ビルの解体工事に似ている。
「さぁ、封印は解かれた!」
暗闇の中、下り階段と、
その隣には宝箱がある。
本能的にそれをあけると、
「紙・・・?地図だ!」
恐らくそれは地図だった。
だが、
「ねぇ、これ、灰色だね。」
地図の殆どは灰色に塗りつぶされていて、
1つの島だけが色づけられている。
「この地形・・・相棒、これって俺たちが居るアリアハンじゃないか?」
「え?」
島の南に孤島があり、そこに塔が立っている。
塔の東には城、北には村があり、
「俺たちはこの森を越えて、祠へ、そして北の、此処へきたんだ。」
それは一致していた、間違いない、
この地図は確かにこの地のもののようだ。
(⇒ヘタクソなアリアハン全体図)
だが、
「地図っていうのはよ、行き先を調べるためのもんじゃねぇのか?」
思わず地図に意義について考え出しそうだ。
「うーん・・・でも、これから行く場所と此処の関係とか、そういう面では役に立つのかな?」
この灰色の地図が役に立つのは、
彼らがもっと先へ進んでからのことである。
「兎に角先へ急ごう。昼間のうちに新大陸へ行きたいからな。」
階段を下は、
いざないの洞窟の癖に、迷路のようで、
階段はすぐ見えるのだが、穴が空いていて解ることができない、
嫌味な洞窟だった。
遊戯の「こういうのは遠回りするように出来てるんだよ」の理論により、
一行は正しく迷宮を一周する羽目になったが、
途中宝箱から毒消し草と聖なるナイフを拾って、
無事に階段へたどり着く。
更に地下へもぐると、
道は3つに分かれていた。
「迷ったら左」の理論で進むも行き止まり。
真ん中も行き止まり。
「あああああ、ついてねぇなぁ!!!」
暗くて狭い場所に閉じ込められていると気が滅入ってくる。
「まぁ次が正解に違いないだろうな。」
右の道をゆくと、
行き止まりには、
青い光が渦巻いていた。
「これが・・・旅の、扉・・・?」
「そう、だろうな。」
神秘的、と言うほかない。
人工的だと思われるが、その割りに妙に神聖帯びている。
しかし穴が空いているわけでもないし、
「ほんとに移動できるのか?」
「・・・行ってみる他ない。行くぜ。」
アテムがすっとそこへ入ってゆくと、
「消えた・・・?」
その姿は消えてしまった。
「も、もうひとりのボク!!!待って、ボクも行くよ!」
「ちょ、あ、遊戯!?」
遊戯は城之内の制しも気にせず、後を追ってしまい、
「ほら、城之内もさっさと行くぜ?」
と、バクラは何の動揺も見せずに消えていってしまった。
「ほんと、あいつら、どうかしてるぜ・・・。」
心底同意したくなる感想をポツリと人知れず津呟いてから、
城之内も意を決してそこへ飛び込むと、
ふわっとした光に包まれて、
眼を開いた瞬間に、
草原のど真ん中。
背後にはやっぱり海が広がっている。
先に3人は待っていて、
伸びなどして寛いでいる。
「城之内君、無事か?」
「お、おう。」
「で、ここは何処だよ・・・。」
「あ、地図地図!」
遊戯が楽しそうに地図を広げると、
アリアハンからずっと北西部が色づいていた。
「此処に居るんだね・・・。」
海に突き出した半島の先端、それが彼らの居場所だった。
「行き先は北しかなさそうだな。」
「行き先も何も、あれ、見ろよ。」
バクラが指差した先に、
ぼんやりと見えるのは赤いレンガの、城。
「うおっしゃあ、目標物が見えると俄然やる気が出るぜ!」
「ああ。だが、気をつけてくれ城之内君、此処らへんの敵は恐らくアリアハンよりも強い。」
一行は武器を握り締め、
見える城へと進みだした。
まだ、彼らの旅は始まったばかりだ。
←5.続・ナジミの塔[*]
7.ロマリア[#]→
ゲーム部屋トップへ[0]
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漸く脱・アリアハンです
やっと6分の1くらい?
更新・告知にも書いたのですが、
此処らへんのメモが全然なくてですね、
レーベでマホウの玉→ほこら・洞窟
しか書いてないんですよ、酷いな、これは。
セリフとかねぇのかよ!と、いうことで、
祠のご老体はだいぶいい役になりました
実際は、
泊めてもくれません。
バクラが妙にいろんなものを見つけていますが、
これは贔屓ではなくて、職業によるものです。
盗賊の呪文?に「たかのめ」と言うのが在りまして、
近くの建物の場所を南に●歩とかで教えてくれるんです。便利!
まだ習得していないのですが、
その予兆としてって感じで出してます。
便利に思えるものですが、
結構酷いこともある能力です。
ちなみに、
バクラが妙に漁っているのは、
勝手に設定した性格ゆえです。
(08.04.30)AL41