2.アリアハン城-旅立ちの町-
「慌てた所で何もでないぜ!」
2人はとりあえず合流するが、
なんだか慣れない環境に置かれたせいですっかり滅入り、
ルイーダの店で、テーブルを1つ陣取りだべっていた。
所詮、していることは現代と同じだ。
だが、何時までもだべっていては、
恐らく元の世界に帰ることができない。
とりあえず今後の話し合いだけはすることになった、
のだが、
この勇者、相変わらず目の前でグラスを咥えたままの僧侶を見ているだけで、
一向に動く気が無い。
テーブルワークでことを進めようと言う寸法だ。
「城之内君たちがこっちの世界に来ている可能性はあるんだよね。」
「そうだな。」
「誰がこっちに来てるのか気になるよね。」
「そうだな。」
「・・・ねぇもう、一寸はやる気出してよー。」
「他のメンツが増えると、相棒と一緒に居られなくなるぜ。」
「どうしてそうなるのかなぁ・・・。」
このままではダメだと思い、何とかアテムの重い腰をあげさせようとするが、
上手く釣れない。
「相棒は、俺と合流するまで何処にいたんだ?」
「んー、それが良くわからないんだ。気づいたらキミ居たんだけど、
それまでは何か暗いところにいた気がするんだ。
今までそんな夢は見たこと無かったから・・・。」
「そうか・・・。」
不安そうな、何とも言えない表情を浮かべている。
これは反則だろう。
「ったく、あいb」
「キミは、確か王様と謁見したんだよね。」
「ああ。」
「お城、どうだった?」
「見てないぜ!」
「・・・。」
RPGでは、まず新しい場所へ向かったら、一回りするのが基本だ。
王だのなんだのに話しかけると、新しくイベントが始まってしまったりして、
強制的に追い出されることも少なくない。
「じゃあさ、一緒にお城探検に行って来ようよ!」
「・・・相棒、それはデートのお誘いか?」
さっき拒否したからこんなに気乗りしていないのだろうか。
遊戯はさっきのことを思い出す。
流石に2人で戦いに出るのは問題があるが、城探検であれば2人でも良いだろう。
「じゃあ、そういうことで良いよ。」
乗り気にさせられればそれで良かったのだが、
余りにも効果的な方法だったらしい。
アテムはバッと立ち上がり、
遊戯の飲み終わってないグラスを取り上げ、机に戻して、
その手をとり、妙に軽い足取りで店を出て行った。
城は、最初に訪れた時のように閉じられていたが、
やはり姿を見るなり開けてくれた。
最初から開けていれば良いものを。
「広そうだが、結構解り易そうな城だな。」
「とりあえず一通り話を聞いてみようよ。」
2人がとりあえず、一通り部屋を巡ると、
幾つかの情報を得ることが出来た。
一つ目は、
北に「レーベ」という村があるということ。
もう1つは
城をでて西へ行くと「みさきの洞窟」があるということだ。
その洞窟を抜けると、「ナジミの塔」へ入ることが出来る。
まだその姿を確認していないが、
ナジミの塔は孤島に聳え立っているため、入る手段がそれしかないという。
「ナジミの塔には何かあるのか?」
「何でも、お爺さんがいて盗賊の鍵を持っているらしいよ。」
「盗賊の鍵?」
「ほら、さっき鍵がかかってた部屋が有ったでしょ?オレンジ色のドアは、
その鍵があれば開けられるんだって。」
「鍵をかけるのは、中にあるものを守るためじゃないのか?」
言うな。
元の子も無い。
「まぁ、ゲームだからね。ある程度は行動を制限させないと話を進められないんだよ。」
「相棒、結構現実的なんだな・・・。」
しかし、割り切りの早い遊戯でも流石に人の部屋のタンスを漁る勇気は出ない。
だが、結構良いものだとか薬草なんてものも出てくるので、開けるべきなのだが、
「流石にそんな反社会的なことは、やりにくいよな。」
無論、後に、その反社会的な行為をあっさりとするものが出てくるわけだが、
暫くは善人勇者でいることになった。
尚、
閲覧中の皆様は、
決して公共の建物の引き出しから何かを盗ったり、
他人の家に不法侵入し、現金その他のものを盗むような行為はしてはいけません。
無論、夜忍び込むのもいけません。
人道的な生活をお送りください。
して。
「とりあえず、俺達が最初にすることは、
その、岬の洞窟からナジミの塔へ行って、塔の爺さんから鍵を貰ってくればいいってことだな。」
と、いうことで、
目的が決まった。
こうなると今度こそやはり仲間を呼び出す必要が出てくる。
2人はルイーダの店に戻りながら誰を呼び出すかについて決める。
以下、遊戯のパーティ編成講座でお送りします。
「このゲームは最大4人パーティ、4人で戦闘ができるんだ。
それで、キミは決定なんだよね。つまり、変更できるのは3人。
キミ=勇者っていうのは万能型だから、攻撃も回復もそれなりに出来る。
だけど相手は一匹とは限らないし、やられっぱなしってワケには行かないから、
他にも攻撃できる人がほしいよね。
ボク、つまり僧侶も、そこそこ武器を使えるけど、
ボクが攻撃しちゃうと回復役が間に合わないし、攻撃力も高くない。
僧侶が回復に専念出来るようになるには、
攻撃専門の人がいると助かるよね。」
「まぁそうだな。攻撃か・・・、あ、相棒。」
「何?」
「たしか、これ、性格あったよな。」
「うん。」
と、いうことは、だ。
「俺はともかく、俺が相棒を僧侶にしたのは、
相棒が限りなく癒し系だと思ったからなんだが、」
「そこにすでに疑問があるんだけど、」
「仲間を増やす時に、みんなの性格を考えた方が、良いってことだな。
適材適所というか。」
「まぁ、それはそうだよね。」
「だってよ、海馬に僧侶とか、絶対に回復できないぜ?」
「・・・ボクは肯定すべきなの?」
確かにそれはそうなのだ。
性格は左右する。
「このパーティに必要なのは、まず攻撃力。」
「城之内君なら剣士が合いそうじゃない?」
城之内君か。
相棒に妙なことをするとは思えないし、
丁度いいぜ!
「そうだな。」
「えへへー。早く会いたいね!」
相棒にこんな顔をさせるなんて!
ずるいぜ、城之内君・・・。
と、思いつつも、
早速登録してみる。
城之内の運の強さを考慮にいれたら、
「世間知らず」になってしまったが、仕方が無い。
「あと1人、誰にする?」
「3人旅じゃ、だ」
「3人旅は一寸きついんじゃないか?」
2人の間にわって入ってきたのはNPC。
「攻撃役と回復が揃っているなら、サポート役を入れたらどうだ?」
「サポート?」
「例えば、戦士が物理攻撃に長けていて、一見問題ないように見えるが、
中には防御力をあげてくる魔物、攻撃を避け易い魔物、物理攻撃が効かない敵も居る。
僧侶でも勇者でも一応無くは無いが、攻撃魔法は魔法使いが一番だ。
攻撃以外にも補助魔法を持っていて役に立つ。」
確かに、魔法攻撃は必要になるだろう。
だが、まだ旅はじめだ。
とりあえず少し様子見をしたい。
「旅が不安なら盗賊とかだな。」
「盗賊?そんなのも仲間か?」
「盗賊といっても、トレジャーハンターみたいなものだ。
ダンジョン探索は勿論、未知の場所でも近くに何か無いか探す能力を持っている。
それに、スリも得意だ。」
「・・・相棒、スリと聞いて俺には1人心当たりがある。」
「残念ながらボクもだよ。」
親切なNPCに礼を述べて、再び登録。
さて、
どうだろうか。
一階に戻ると、
呼ぶ前にすでに見たことのある顔が。
「遊戯!!!」
「城之内君!!!!!」
まるでお迎えを待っていた保育園児の如く、遊戯は飛び出していって、
腕を広げて待っていた城之内に抱きついた。
「よかったぁ・・・。」
「俺も遊戯に会えて安心したぜ!アテムも一緒なんて更についてるぜ!」
「俺も城之内君でよかったぜ。」
アテムはとりあえず、例の気の良い女主と手続きをとる。
「盗賊の人も来てるわよ?」
名簿の、
登録したのは自分なんだが、
それでも確り現れたその人物の名前を見て、
複雑になる。
明らかに遊戯を狙っている。
一緒に旅に出ることに不安すら覚えるので、
呼ぶのをやめようかとさえ思ったのだが、
背後で、
「バクラ君!!!!」
と遊戯に楽しそうな声を上げられては、
やめますとは言えなくなってしまった。
理解ある女主は、苦笑いをして、
まぁ、入れ替えはいつでも出来るから、といってくれた。
まぁ、何はともあれ4人揃った。
この時点で波乱過ぎる。
「バクラ、盗賊が良く似合うな。」
「俺以外にねぇだろ。」
それにしても、
と、バクラはため息をつきつつ、
この状況に首を傾げるばかりだ。
「バクラはやったことあるか?」
「俺も途中まではな。一応。」
「一応?」
聞き返すとバクラは非常に嫌な顔をして、
人が食事の支度してるときに、どっかの誰かが勝手に進めてたんだよ。
と、愚痴る。
ああ、あのひとか。
そういえば、遊戯も一寸やったって言ってたな。
「相棒は何処までやったんだ?」
「えっとねー、盗賊の鍵を手に入れるところまで、かな。」
「あー、あれか。」
城之内はTVゲームを人の家でしかやらない(やれない)ので、
遊戯と同じところまでしか知らないだろう。
「まぁ、盗賊の鍵を手に入れるところまでは内容がわかっているってことか。」
ならば話ははやい。
「塔へ行って爺さんから鍵を貰えばいいんだよな。」
まぁ、そういう話なのだが、
「といっても今のままじゃ、殺されんのが関の山だ。」
「戦闘の練習も兼ねて、とりあえず北のレーベへ行ってみるか。」
それが一般的なRPGの進め方だ。
「戦闘かぁ・・・なんか怖いね。」
遊戯にそういわれると非常に奮起する。
「大丈夫、俺が守ってやるぜ!」
と、何故か3重で聞こえたのだが。
「そういや、城は見てきたのか?」
「うん。話は聞いてきたよ。」
「あの王様とやらは、ケチだな。こっちは命かけて旅に出るって言うのに、
たったの50Gだぜ?」
その上、初期装備にしたって使えないこんぼう×2とひのきの棒。
「なんだよ、ひのきの棒って。警棒のことか。」
「そんな感じだね。」
「民家から包丁借りてきたほうがよっぽど使えるんじゃねぇの?
斧だの鎌だのあるだろ?普通はよ・・・。」
それは言うな。
プレイヤーの気持ちになってみろ。
「でも、まぁ無いワケには行かないだろうな。」
とりあえず城之内にこんぼうを持たせてみる。
「なんか、似合うね。」
「そういわれても複雑だぜ・・・遊戯・・・。」
盗賊は素早さ第一なので、重たいこんぼうは装備できない。
「え、もてるだろ、普通。」
「しょうがないよ。そういうシステムだからさ。」
「遊戯・・・結構冷静なんだな・・・。」
「バクラに警棒とか、最高に似合わないな。」
アテムはニヤニヤと笑いを堪える。
で、
「相棒、これ、持てるのか?」
「一応もてるはずなんだけど。」
「そうじゃなくてよ・・・。」
細い腕の遊戯に、こんなこんぼうがもてるというのだろうか。
とりあえず持たせてみるが。
撲殺天使とは、このことか。(違います。)
「相棒はHPも少ないし、防御してた方がいいかもな。」
狙われ易そうだし。
「確かに回復って狙われ易いイメージはあるけどさ。」
いやいや、それ以上に、
相棒はモンスターにさえ愛されそうだ。
「それにしても、王様ってのはケチだな、ほんとによ。」
「城の兵士が持ってるもののほうがよっぽど強そうなんだがな。」
「何か隠し持ってんじゃねぇの?」
盗賊は一応城へ行こうという。
・・・
・・・
「バクラ君、もしかしてさ、」
「タンスだの樽だの漁れば、何か出てくるだろ?このゲーム。」
薬草の1つや2つ、拾わせろよ、と
早速団体行動離脱。
そして一向は、偽善勇者へと変わっていくのであった。
←1.ルイーダの酒場[*]
→3.北の村・レーベ[#]
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反社会的過ぎる勇者ご一行。
タンス開けて掴まった時は吃驚しましたが。
城之内の喋り方が、微妙に被るんだよなぁ。
そしてバクラのキャラの強さに背景化しかけている!
ただ、戦士なだけあって攻撃力は抜群なので、
戦闘では活躍してくれるでしょう。
戦闘シーンとか書けないから、殆どないと思うけど。
がんばるぜ、城之内君!
次は初戦闘・・・
かけるのか・・・?
(08.03.14)AL41