*最初が長いです。
*旅の始まり〜相棒と遭遇 まで



1.ルイーダの店-仲間の集う場所-






彼の記憶が正しければ、
ただゲームをしていただけだった。
新しく冒険を始めただけのはずだった。

主人公は、無個性で、所謂プレイヤー=主人公という設定。
まぁ、つまりアテムが主人公のRPG。
一昔前に流行った、だいぶ古いゲームだが、
シリーズの中では相変わらずトップの人気を誇る。

彼は電源を入れて、NewGameを選んだところまで記憶があったのだが、
無意識のうちに寝ていたらしい。
夢をみていた。



天から声が聞こえる。


如何にもゲームをしながら寝てしまったというような、
典型的なゲーム色の強い夢で、
姿無き声は、アテムを質問攻めにした後、
何かを悟ったように「あえる日を楽しみにしています」などといって去った。

どうせ夢なのだ。
不可解なことなどあったりするものだろう。


夢を失った後、眠りから覚めるのだ。



「アテム、アテム、起きなさい。」


1人暮らしのアテムが母親に起されることは無い。

聞いたことがあるようなないような声で起され、驚き身体を起すと、



目を覚ますと其処は、

何時もの部屋ではなかった。



木造の家・・・。
テレビも電話もないシンプルなつくり、天井は高い。


目の前には母親らしき人物、恐らくさっきの声の主が居て、

「アテム、今日は王様に旅立ちの許可を貰う日でしょう?
私は貴方が父オルテガのような立派な勇者になるよう育てたつもりです。」

などと言って来る。
生憎アテムはそんな記憶もオルテガ何ていう人物も、
そもそも旅立つのは自分ではなく、ゲームのキャラだと思うのだが、

不可思議なことだが、
今、自分がゲームのキャラになっていると言う事を受入れられた。
と、いうかそれ以外に納得の仕様が無い。

「さぁ、私の後についてきなさい。」

言われるままについて行く。
部屋に居たところで情報は得られないのだから。


町はのどかで、どこか辺境の町・・・かと思いきや、
家を出るなり、城が目に入る。

煌びやかとはいえないが、壮大ではあり、
しかし町の人人を威圧する様でもない。

城門まで来ると、母親はアテムに一人で行くように言った。

閉じられていた門は、こちらに気づいた兵士によって開けられる。


これはゲームだ。


そう自分に言い聞かせながら、王との謁見に向かう。





城内は外見と同じように、華美ではなくしかし威厳を保ち、
周りを見学して行きたかったが、
此処でしくじるわけにも行かないので、さっさと王の元へ向かう。

「アテム、話は聞いているぞ。」

高価な椅子に座り、如何にも偉くてお金持ち風の佇まいをした王が其処に座っていた。
なにやらアテムは16になったこの日に、
旅立ちの許可を得るためにきているらしい。

「父、オルテガは偉大な勇者だった。彼は世界の平和を守るため、
魔王バラモスに挑んだが、
火山に落ち、志半ばで命を落とした。」
「(・・・なんか情けない死に方だな。)」
「お前にはオルテガの血を引く勇者として、魔王バラモスを倒してほしい。」

拒否権はなさそうだ。

この悪い夢が覚めるか、
或いはバラモスを倒し、ゲームをクリアするかしなければ、
元の世界へは帰れない恐れがある。

元の世界・・・


「お前がオルテガのようにならぬためにも、まずルイーダの店で仲間を集めると良いだろう。」

そういいながら、王はアテムに軍資金として50Gと武器・防具を授けた。

「(仲間?)」

アテムの仲間といえば、
彼らしか居ない。

その可能性の低さは否めないのだが、
知る人の居ないこの世界に、誰でも良いから知る人が居て欲しかった。


アテムにはわからないことが多すぎる。

まず、自分が居る世界は、一体何処なのか。
それは恐らくゲームの世界なのだろうが、
このゲームの世界に意識ごと取り込まれてしまったのか。
自分がゲームの世界に居るうちに、元の世界の時間は過ぎているのか。
此処で死んだら、現実世界の自分はどうなるのか。

この世界の住人に問いかけたところで、
明確な答えが返ってくるとは思えない。

そして、知っていることはたったの二つ。

自分が勇者であり、バラモスを倒すこと。
仲間という存在が一応はあるということ。


闇雲に動いたところで、
何かが得られるとは思えない。

いまはただ、ゲームのシナリオに沿って進むしかない。



見送る王に背を向けて、王座の間を去る。


こうしてアテムの旅は始まったのだ。









近くの兵士曰く、
ルイーダの店は、町の入り口すぐ近くにあるという。
とりあえず向かった。

仲間。

ゲームをしていたのは自分なのだから、
自分しかこっちへ来ていないと思っていたのだが。
期待できない可能性に胸を躍らせながら店へ行く。

店には様相の異なった人人が集まっており、
落ち着いている町とは異なった雰囲気だった。
呆気にとられるも、カウンターへと向かう。

「仲間を呼び出すかい?」

気のよさそうな女主人がたずねてくる。

「仲間には誰が居るんだ?」
「その様子じゃあ、利用は初めてか。じゃあ、一寸簡単に説明しておくよ。

ここはルイーダの店。
仲間の集う場所。
勇者として旅立つからといって一人で旅に出る必要は無い。
互いの足りない力を仲間で補い合い支えあうことは
別にかっこ悪いことじゃない。

仲間を連れて行くことが出来るけど、
その仲間は、幾つかの職業に分かれる。
勇者は貴方、アテムだけだけど、
戦士・魔法使い・僧侶・武闘家・商人・遊び人・盗賊。
賢者っていうのも居るけど、なんだか特別な試練が必要だって言うんで、
いきなり仲間には出来ないんだ。
職業別の能力に関しては、おいおい解っていくんじゃないかな。

で、肝心の仲間なんだけど、
既に王様の命令で3人は集めてある。
ただ、これから旅をしていくのに顔も知らない相手ばかりじゃ、
一寸気が重たいだろうし、
そりが合わないと余計な荷物が増えるばかりさ。
だから、気が合いそうな人を呼び出すことも出来るよ。」

「呼び出すにはどうすればいい?」

「2階にカウンターがあるから、そこで申請すればいいよ。
お金とかはかからないから気軽にね。」

丁重に説明してくれた女主人に礼を言い、
さっさと2階へ向かった。

2階にも人が集まっており、酒場は盛況しているようだ。
とりあえずカウンターへ。
今度は商人風の男が暇そうにしていたが
こちらのことを知っているらしく、
めんどくさそうな素振りを見せずに対応してくれた。

「なんだい、仲間の呼び出しでもするか?」
「ああ。」

僅かだが、
可能性はある。


此処で相棒に会えればどれだけうれしいことか。


出来るだけ相棒に添うように、
いや、相棒が此方の存在に気づくようにして、
登録をすると、
該当する人物がいるという。

「登録したから、今度からは下のカウンターから連れて行けるよ。」

階段を駆け下りて、
再びあの女主人の元へ向かい、
早速呼び出す。

正直に言えば怖かった。
名前を“あいぼう”にしたのだ。
何で平仮名4文字しか登録できないのかといえば、まぁシステムの問題なわけだが、
アテムにとって相棒は、どんな世界であってもただ1人。
相棒と言う別の人物が出てきたらそのショックは計り知れないと、
アテム自身わかっているのだ。
だからこその賭けだった。

だが、
何時だって期待は裏切らない。

「もう1人のボク!!!!」

裏手から駆け出してきたのは、
間違うものか、
武藤遊戯、相棒、その人だった。

「相棒!!!!」

飛び込んできた遊戯を受け止めて、
その温もりが伝わると酷く安心した。

「もう、ボク、一人ぼっちかと思ったよ・・・!!!」
「俺もだぜ相棒。」

半泣きの遊戯は、それはそれは愛らしく、
相棒と2人きりなら、ずっとこの世界でもいいや、とさえ考えてしまうわけだが、
あっさりと現実を叩きつけられる。

「何でボクの性別女にしたの?」

「・・・。」

そう。
遊戯を呼び出すために、あいぼうと登録したのだが、

一寸した興味もあって、

「防具は男と女とそれぞれ専用があったりするし、無難か、と。」
「えー!?何で杏子にしないの!?もう、ほんとに空気読めないよね。」
詰られる。
「それに、ボクはどう登録されても男!」
「まぁ、相棒。スカートだろうがドレスだろうが、
下にズボンを穿けばいい話だぜ?」
「それもそうだけどさ。それに、女登録するあたりがよりキミっぽかったよ。」

なんて、妥協したところを見計らい、
もう一度ぎゅっと抱きしめてみると、
応じてくれた。

可愛いぜ相棒。


「それより、ボク、もう元の世界に帰れないのかと思うと不安で・・・。」

アテムがどう思おうが、遊戯は元の世界に帰りたいというだろう。
そりゃあ、アテムも帰りたいわけだが。

「相棒は、元の世界へ帰る方法を知らないよな。」
「うん・・・でも、ボクはこのゲームを少しやったことがあるんだ。」

そういうと、遊戯は引っ付いていた身体を離して、アテムの服装を見る。

「キミが、このゲームの世界の主人公なんだね。」
「あぁ、まぁな・・・。」
「これはゲームの世界なんだ。ゲームを出るには、やっぱりクリアするしかない。」

解決手段はこれしかないのか。

「クリア、つまり魔王を倒すってことか。」
「うん。」
「・・・死んでも大丈夫なのか?」
「・・・解らないけど、全滅しても大丈夫じゃないかな。
このゲームはゲームオーバーが無いんだ。」
「ゲームオーバーが無い?」
「そう。全滅すると、セーブした最後の場所に戻されて、
経験値はそのままでやり直せるんだ。お金は半分になっちゃうんだけどね。」

そのシステムがそのまま採用されていれば、全滅しても大丈夫かもしれないが。

真面目に考えている遊戯には悪いのだが、
この勇者、
これから相棒と2人旅なんて最高すぎるぜ、などと、
不埒なことを考えている始末だ。

「相棒は、僧侶だろ?」
「うん。回復魔法担当。」
「旅には必須だな。」
「まぁそうだねー。」
「じゃあ、相棒が居ればそれでいいよな。」
「えっ、2人旅!?」

当然だぜ!といわんばかりなのだが、

「ボクは、力のステータスが低いから、攻撃は期待できないよ。
攻撃がキミだけじゃ危険すぎないかなぁ。」
「そんなこと無いぜ!」

強がるも、
だが、現在のレベルは双方共に1。
遊戯にいたっては最大HPが7という始末。
相手が1ターンに2のダメージを与えてきたら4ターン目には死亡。
寧ろ、相手が5匹くらい出てきたら、1ターンで死亡の可能性もある。

回復魔法こそ使えるが、唱えられる回数は制限があるし、
間に合わないことだってある。

「・・・無理があるな・・・。」
「うん・・・。」

それに、ボク以外も誰かいるかもしれないよ?と、
遊戯は何時もの仲間を探して見ないか提案してくる。
確かに国王が勝手に決めた仲間よりも、何時もの仲間の方が
ずっと気が合うし、上手く行く気がする。

だが、同時に、

遊戯争奪戦が開始されるわけだ。

仲間を作らざるえないとするなら、
2人きりは今が最後かもしれない。

「そうだな、相棒。仲間は探す必要があるぜ。」
「ね!」
「でもその前に、」

二人の夜を楽しもうぜ。

先の反応はソコソコ良かったし、
かなり本気で言ったのだが、

「ば、ばか!!!!」

一瞬呆け、しかし意味を理解した遊戯に一撃食らわされた。
真っ赤になっている遊戯は充分可愛かったので、渋々諦め、
2人は旅の前に仲間集めに奔走することとなった。




2.アリアハン城[#]
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書くのむずいわぁ・・・

でもこれからはもっと軽い感じでいけるはず。

それにしても説明文多いな・・・
女主人喋りすぎだろ。



謎めいていますが、
宜しければお付き合いください!

(08.03.02)AL41