*またですか
*パラレルです
*亜人?っていうのかな?
魔の森-前編-
逃げるのは嫌いだが、
殺されるのも嫌いだ。
ならば、逃げた方がマシだったが、
息付く暇もなく放たれ続ける矢を全て回避など出来るわけもなく、
その、大して強くも無い体は酷い傷を負った。
だが、それでも殺されたくない。
振り返りもせずに、
何も考えずに、
彼は森へと駆け込んで行った。
そこにあったからではない、
誘われた。
伸びる枝は、此方へ手を差し伸ばしていた。
お陰で
何とか敵から身を隠せたが、
完全に迷い込んでしまった。
幸か不幸か。
アテムはその場に転がったまま、起き上がることは出来なかった。
一体を多い尽くす緑は、彼の眼を癒したが、
木々を揺らす風は、切り裂かれた身にしみた。
落ち着いてから
直感的に感じた、妖しいと。
妖しいのだ。
一見普通の森だが、
何故だ、
葉のこすれあう音は、叫び声に似ていた。
哀れみと苦痛の交じり合った、悲哀の声。
何故だろう。
だが、そればかりに気を取られているわけには行かない。
木々の間から差し込む光は赤く、
月が顔を出すのは時間の問題だ。
この妖しい森で転がるなど、
自殺するのと同意義だ。
アテムは傷ついたからだを起して、
一晩眠れそうな場所を探す。
しかし、獣道さえ無い森を歩くのはより体力を消耗するだけだった。
立っていることも出来ずに、その場へ崩れ落ちた。
耳に残る追っ手の声に苛まれながら、
意識は失われていく。
ヤツラに殺されるくらいなら、
獣の餌になるほうがマシだ。
心の底からそんなものを考えてしまえば、
走馬灯が映り消える。
明日などないと、そう思いながら、眠りに付いた。
白い光、
父、
母、
死の世界・・・?
白い光の眩しさに目を覚ますと、
そこは見たことの無い天井、古屋。
「どこだ・・・?」
辺りを見渡しても、ここが小さな山小屋の一室であることしか解らない。
すぐそこの窓から差し込む光は、
昨日感じた妖しさなど微塵も持っていない。
手を眼前へ持ってくると、
吹きさらしになっていた傷口には包帯が巻かれており、
それは腕だけでなく、体全体であると、
目覚めだした全身の神経が教えてくれる。
敵に掴まった訳では無いとは解ったが、
この状況さえ疑わしくて、
周りの気配を探ると、
1人の女が覗き込んで来た。
白い。
髪から肌まで白いその女は、アテムが起きたことを確認するなり、
何も発さずに去っていった。
暫くすると、
足音が聞こえる。
ドアをノックして、
1人の少年が姿を見せた。
不思議なほどに二人は似ていた。
「目、覚めた?」
近寄りながらそう問いかけてきた少年の瞳は、美しい紫。
アテム自身も紅い瞳を持っているが、
それとは違う、
そこに宿る光の違いだろうか、
輝いていた。
「あんたは・・・。」
「ビックリしたんだよ?まさかこの森に人が倒れてるなんて。」
此方の問など意に介さずに、そう告げて何となく笑う。
やはりそれもまた印象的で、
窓から差し込む白い光は、その笑みに良くあっていた。
「俺は、助けて貰ったのか・・・。ありがとう。」
「気にしないでよ。それより、なんか食べる?っても、たいした物は無いけどね?」
朝、スープを作ったんだ、飲む?
そう、問いかけているつもりか?
やはり答えなど聞かずに、パタパタと出ていてしまった。
暫くすると、良い香りがして、
少年は器一杯のスープを持って戻ってきた。
「味は、良くわかんないんだけど、体は温まるよ。」
「すまない、だが、どうして、」
「だって、人が倒れてたら助けるものでしょ?」
聞きたいのはそれでは無い。
だが、
何故この森に住んでいる?
と、聞けるだろうか?
そもそも、森に人が住んでいるなど、珍しい話ではないし、
彼が1人暮らしはワケでもない、
現にさっき白い女がいたではないか。
それに、
この森が妖しい何ていうのは直感だけで、
何の根拠も噂も聞いていない。
彼がこの森を気に入っているとすれば、失礼極まりない話だ。
アテムはとりあえず名乗る。
「俺は、アテムだ。」
「アテム・・・ボクは遊戯。」
「遊戯?不思議な名前だ。」
「よく言われたよ!ボクは気に入ってるけど。」
言われた?
その言い回しに引っかかったが、
遊戯が折角入れてくれたスープを先に貰おうと思った。
断って飲むと、
それは別になんてことの無いもので、
おいしいと感じた。
おいしかったとそのまま告げると、遊戯は満足げに笑ってくれる。
そういえば、
「体が、痛くない。」
いくら治療をしてもらったとしても、
一日で傷が治るわけは無い。
「そう、酷い傷だったね。襲われたの?」
「あ、ああ、ちょっと追われていて・・・。」
「追われる?何に?」
何に?
人以外の何に追われると?
「親の形見が奪われそうになってしまって、逃げてきたんだ。」
「へぇ、そうか・・・じゃあ、人だね。」
アテムの疑問は他所に、
遊戯は、酷いね、奪おうとするなんて!と同情している。
「怪我は、遊戯が治してくれたのか?」
「ボクじゃないよ、セラが。そういうのが得意なんだ。」
「セラ?さっきの、」
「そうそう。」
遊戯がセラー、と呼べば、女は顔を出して、ふっと一礼して去った。
「“気にしないで下さい”ってさ。」
彼女は今何かを言ったか?
「だが、本当に迷惑をかけたな。これ以上の迷惑はかけられない。」
「そう?」
遊戯は僅かに寂しそうな顔を見せるが、
すぐにふっと笑って、森の外まで案内するよ、と言ってくれた。
「何か、礼を。」
だが、アテムが持っているものなど何も無い。
「生憎今、返せるものが何も無い。今度、落ち着いたらまた来ていいか?」
「やだなー、そんなの気にしないでよ。」
遊戯は手をぶんぶんふって、断ろうとする。
だが、助けて貰い、傷を直して貰い、一杯のスープを受けたのだ。
今生きているのは彼のお陰だ。
礼をしたいのは山々だが、
確かに、これからどうするのかも考えていないのだ。
生きることで精一杯になってしまっている。
しかし、遊戯に礼を返すことは、アテムがこれから意地でも生き抜こうという1つの目標になりえた。
「いや、きっと返す。」
また、会おう。
そう付け加えれば、遊戯は笑ってくれて、
だが、言うのだ。
「出来るだけこの森には近づかない方がいいよ。」
ドクリと胸が打つ。
「この森は、普通の森じゃないんだ。」
妖しさ、
それは、気のせいではなかったか?
「だが、遊戯は此処で生きているんだろう?」
「そうだよ。ボクは、
此処でしか生きられないんだ。」
普通の森では無い場所でしか、生きられない?
「遊戯、どういうことだ?」
知りたいと思う気持ちを遊戯は制して、
「あんまり気にしないで?よく言えばボク自身も良くわかって無い。
でも、ボクが降りると大変なんだ。
それだけは知ってるんだ。」
「大変?」
「うん。」
あの光に満ちていた瞳が一瞬曇った。
余り追求してはいけないのだろう。
「そうか・・・。じゃあ、俺に出来ることは無いか?」
礼を。
「え?うーん、じゃあ、ボクと友達になって?」
「友達?」
「そう。ボク、友達いないんだ。」
無邪気な笑顔の前に、その理由を問うことは許されず、
アテムは遊戯の差し出した手を握って、
今日から友達だと笑った。
遊戯もそれに笑い返して、友達になった。
今までで最も印象的な、そして特別な友人となった。
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意味不明
その癖に続く。むしろ、だから続くのか・・・?
分割するほどは長くない気がするんですが、
分割しないと長いんだよね・・・
300前後で切ってるんですが。
(08.03.24)AL41