*別体。もうこれしか書いて無いorz
惚気スパイラル
課題というのは面倒だが、
やっておけば何かあった時に便利だ。
ちょっとした問題を起こしたとしても、
「課題はちゃんと出してるし、真面目な生徒です。」
何ていうことになり、教師が多少甘くすることは多い。
それに大した問題ではないから、さっさと片付ければいい。
今までのアテムは出された日に課題を終えるくらいの集中力と生真面目さは持っていたが、
やはり如何に真面目であっても、
この誘惑には勝てないのだろうか。
元から仲の良い2人であったが、
付き合い始めてからは拍車が掛かり、もう君以外とは遊ばない!くらいにお互いしか映っていないのか、
友人たちがバイトともなれば2人部屋に篭って楽しい時間を過ごしている。
遊戯が店番といえば、遊戯の家に行き、
店番でなくても、遊戯の家に行き、
時折アテムの家に行ってゴロゴロしている。
互いに離れていても、気になったことがあればすぐに連絡してしまい、
長話。
通話無料のフル利用。
アテムが確りした人間の(だと思われている)為、母親もあっさり遊戯の外泊を許可してしまう。
残念ながらアテムが言い出せないため、「昨夜はお楽しみでしたね」とはならないのだが。
飽きないのか?
飽きないのだ。
兎に角飽きずに笑いあってばかり。
外が極寒なら、室内は熱帯。
常時30度以上を保っていそうだ。
暖房要らずで経済的。
実際に、寒い日は2人で布団に包まっているためか電気代が安い。
そしてココで問題が発生した。
アテムは課題をする気がさっぱり無いのだ。
しなければならないとわかっているが、
どうにもこうにも手が出ないのだ。
問題集を開く→「相棒はこれ解けなかったな」→「相棒はいまどうしてるだろう。」
惚気スパイラルで結局連絡してしまい、
長話。
しかし課題の提出は、アテムよりも遊戯が必要だ。
遊戯はその名のとおり遊んでばかりなので、勉強はからきし。
基本的に秀才脳を持っていないので、理解の早さが遅い。テストはどんなに教えても期待できない。
だが、課題さえ出しておけば成績も何とかしてもらえるだろう。
話は簡単だ。
「相棒、課題やった方が良いんじゃないか?」
「今回のところも良くわかんないんだよね・・・。アテム、教えてくれる?」
遊戯に宿題を持たせ、外泊許可をえることに成功し、
安泰だと思っていた。
甘かった。
これは何者かの策略だとでもいうのだろうか。
悩んでいる遊戯を眺めているので忙しい。
考えているだけなのに可愛いのだ。
「(相棒、これはずるいぜ。)」
時折質問してくるのに丁寧に返答すれば「そっか!もう一人のボクは本当に頭が良いよね!」と無邪気に喜び、
解ったはずなのに上手くいかないと難しい顔をして、
シャーペンで突っつきたくなる頬をぷくぷくさせながら、試行錯誤。
出した紅茶を飲む仕草は無論、時折眠そうにあくびをこらえたり、
徹底的に解らなくなると、ノートの隅に「わかんない」と、書いたところでわかるわけでも無いのに書いている。
それを見るたびに反射的に聞き返してしまって、
気づけば殆ど自分の課題は進んでいない。
遊戯とアテムは出されている課題が違う。
遊戯はもう「卒業させられればいい」位の扱いだが、アテムは偏差値の高い大学へ合格してもらうことが学校の狙いだ。
ただでさえ近年まで不良の巣窟だった学校のため、汚名返上に必死。
不良に絡まれていただけの生徒の中には優秀なものも多いので、今が正念場なのだ。
遊戯が難関の数学をそれなりに終えると、残すは漢字テストの勉強のみ。
久しぶりに真面目に頭を使ったため疲れていたが、心地よい疲労感だ。
砂糖をたっぷり入れた紅茶の暖かいマグカップを両手でつつんで手を温めている。
構いたい衝動に駆られながらも必死に問題を読み解く。
なのに、
妙な視線を感じる。
遊戯がこっちを見ている。
それも何か言いたそうでは無い。ただ見ている。
気になってしまう。
「あ、相棒?どうかしたのか?」
えっ?と遊戯はまるで見て居もしなかったような反応を返し、
視線を感じたんだが、と問うと、そんなつもりは無かったんだけど、と謝った。
遊戯はアテムの気をそらさないように、ぽてり、と床に転がって、
床暖房の暖かさにぬくぬくしていた。
当然、予測できることだったが、
アテムの集中力が切れた頃には、自分のコートを枕にして眠っていた。
風邪を引かぬようにタオルケットをかけてやり、
その寝顔に目がいってしまう。
すでに脳を酷使したアテムには目を離す力など残っておらず、
無意識のうちに隣に横になってしまう。
「(睫、長いよな・・・。)」
何度も見ているはずなのに、
もう摂理だの道徳をあっさり超えて恋人にまでなったのに、
なんで今更惚れ込んでしまうのだろう。
起こさないようにしようと思っているのに、
あの柔らかそうな頬に触れたくて、手を伸ばし、そっと触れる。
モゾりと動いて、大きな瞳が開かれた。
「もうひとりのボク?」
「起こしちゃったか?」
「ううん?ボク寝ちゃったんだ。」
記憶の無いタオルケットを見て、嬉しくなってしまい、
思わず隣で横になっているアテムも入れて、何時ものようにぬくぬくしてしまう。
「課題終わった?」
「大体はな。ちょっと出しすぎだぜ。」
「そうだよね。課題なんかいらないよー。」
教師には直接言わない文句をぶつぶつと漏らして、笑う。
その様子にもまた見入ってしまい、不自然に遊戯ばかりを見ていた。
「どうかしたの?ボクの顔何かついてる?」
「いや、」
可愛いから見とれてただけだぜ、と言うより先に思い出した。
「相棒、さっき俺の顔見てたよな?」
「えっ、あ、うー・・・うん。」
もじもじしつつそう返答したので、追及した。
遊戯はやっぱり頬をそめて、言うのだ。
「キミってさ、綺麗な顔してるよね?」
「そんなことないぜ?」
「ううん、綺麗な顔してるよ。カッコイイし。
キミなら可愛い女の子だって出来そうなのにさ。」
ボクなんかで良いの?
そう言うのを制しようと口を開いたのに。
卑怯だと思わないか?
あんなに可愛い顔をして、こんなことを言ってくるのだ。
残った課題をやる気などさっぱり何処かへやってしまう他無いではないか。
「ボクを選んでくれたことが嬉しいよ。」
課題は止めて、とりあえずこれ以上恥ずかしいことを言わせないために、口を塞いだ。
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ミントBlue
駄目だ、甘くなるしかない。
紅葉の前に紅葉饅頭だ、この甘さは。
新婚カップルを目指したつもりが単なる全盛期の恋人になってしまった。
似たようなものか・・・?
(08.02.14)AL41