*アテムと相棒は別体
って、あれ、この時点でパラレル・・・?




冬の雪の夜





夜、窓の外を見ると
白い雨が降っていた。
それは雨ではない。

雪。


そういえば昼間も何時もより寒かったし、
雨が降るとか何とか言ってたかも。
これだけ寒いんなら、雪になってもおかしくないよね。

半日布団に転がってゲームにいそしんでいた遊戯は外で何がおきているのかも知らなかった。
半日も転がってるな?
いいじゃない、折角親の目が無いのだから。

布団を出ると、突き刺すような寒さに気づく。
これは、雪の一つも降るだろう。

もう一度降り始めた雪に目をやって、
遊戯は思わず携帯電話で誰かに連絡しようと思う。
着信を見てもまだ誰も連絡は入ってなかった。
もしかして、自分が一番かも。
ああ、誰かに伝えたい!
だが、誰にしよう。

一瞬悩んだが、
寒さに弱いと言っているのは知ってるけど、
やっぱり彼以外には居ない。

コールの先の第一声を待つ。

『相棒?』

声を聞くと内から温かいものがこみ上げてくる。

「いきなりゴメンね?」

用件は言わずともばれていた。

『雪が降ってきたって事か?』

何だ、ボクが一番だと思ってたのに。

「何だ、気づいてたの。ちぇーー・・・ボクが一番だと思ったのに。」
『それで俺に連絡を入れてきたって事か。』

「キミに、最初に伝えたかったんだ。」

ただ、声が聞きたかっただけかもしれない。

「ごめんね、寒がりなの知ってるのに。」
『いや、それにしても奇遇だな。』
「何が?」

『俺も最初に相棒に伝えようと思ったんだ。』

「ほんとに?」

『電話しようと思ってたんだけどさ、』

気を遣わせちゃったかな?
遊戯は少しすまない気持ちになって、ワケもなく謝ろうとした、その時に
何かが窓にぶつかったのが解った。

気になって窓を開けると、

「伝える前に顔をみたくなって、思わず会いに来た。」

そこに立っていた。

大して温かくなさそうなコートに
帽子も傘も持っておらず、
いかにも部屋を飛び出してきたみたいだった。

「そんなんじゃ、風邪引くよ!待ってて、今ドア開けるから!」

さっきまで身体を包んでいた寒さは、退くしかなかった。


玄関を開けると、北風と一緒に雪が床をぬらした。
アテムを家に招きいれ、コタツへと誘った。
冷たく濡れているコートを預かって乾くようにハンガーにかけておく。

アテムはいそいそとコタツに潜り込み、満足げである。
「あー、あったかい・・・。」
「キミんちはコタツ無いんだっけ。」
「ああ。」

一人で入っても寂しいからかな?

「何か飲む?」
「珈琲がいい。」
「えー、寝られなくなるよ。」
苦い珈琲を飲めない遊戯には珈琲をブラックで飲むアテムが大人におもえて、
ちょっと悔しそうにそう忠告すると、向こうは時差ぼけで全然眠たくない、と笑う。
「そっか、里帰りしてたんだっけ。」
「まぁな。相棒んちは、ママさんもじいさんも留守か?」
「うん。ママは友達と国内旅行、京都だって。じいちゃんは何時もの旅癖でアメリカへ。」

遊戯は生憎インスタントしかないが、
熱い湯を用意して、マグカップまで確り暖めて一杯の珈琲を注ぐ。

熱いから気をつけてね、と言ったのに、全然気をつけなかったアテムは
まざまざと火傷しかけた。
遊戯も自分用に紅茶を入れて、コタツに潜り込む。
テレビをつけて、特に見たい番組はなかったが、適当に局を回してみる。
予想通り、気になる番組は何もなかったので天気予報にしておく。

「それにしても吃驚したよ。あんな寒いカッコで立ってるんだもん。」
「驚かせたくてさ。」

それに、なんか一人で居るといつも以上に寒く感じる。

アテムはそういって、遊戯に寄り添った。

「相棒と居る時が一番暖かいぜ。」
身体の中から、温かくなれる。
「ボクもだよ。」

ふふっと笑った遊戯が可愛かったので、より一層近づいて、目で誘う。
遊戯はそれに気づいたらしく、少し困った顔をするが、頬が染まっているせいで、
嫌がっているわけではないと解ってしまう。
相変わらずの照れ性な遊戯に安堵と喜びを感じる。
「相棒。」
呼べば、遊戯はそっと目を瞑ってくれる。

最初は触れるだけ、でもそれでは絶対に物足りないから、
少し深いキスを交わす。
「んっ・・・。」
少し苦しそうな声を出すので唇を放して、目をみれば、
紫の瞳は僅かに潤んでいる。
「相棒、それは誘ってることになるのか?」
このままでは自分がどうかなりそうで、アテムは空気を変える。
「ち、ちがうもん。キミがいけないんだよ。もう。」

アテムの顔を見ていると、どぎまぎしてしまって、照れくさくなるから、
思わずテレビに視線を戻した。

『雪は明け方まで続くでしょう。』

「キミはどうする?飲んだら帰っちゃう?」
「相棒がよければ一緒に居たいだが。」
「ボクがそれを断ると思う?」
何時までも居なよ。
一緒に居ようよ。
「断られたら、相棒を連れてうちに帰る。
でも、相棒はもう寝るのか?
俺は時差ぼけで寝られる気がしないんだが・・・。」
「えへへ、ボク、昼間で寝てたんだよね・・・。」
「日本に居ても時差ぼけか。相棒らしいぜ。」

それに、折角キミが来てくれたんだ。
出来るだけ一緒の時間を過ごしたいじゃない。

「じゃあ、徹ゲーでもしようよ。」
「ああ。いいぜ。」

一緒にいられるんなら、何だって良い。

そう心の中で呟きながら、
適当にソフトを漁っている遊戯を見ていた。

その気持ちが伝わったのか、遊戯はきょとんと此方を振り向いて、
「雪が止まなければ、ずっと此処にいれば良いよ。」

一緒に居ようよ。

「雪が止んでも俺の居場所は何時だって相棒の隣なんだぜ?」

戸惑いなくはっきり告げると、
遊戯はまた顔を紅くして、そういうことをはっきり言うのって恥ずかしくないの?
と何故、お前が照れる?

「恥ずかしくなんか無いぜ?太陽は東から昇るっていうのと同じレベルだ。」
「何それ、何その例え・・・。」
「不変の真理ってやつだ。」
「止まない雨は無い、みたいな?」
「それは違うぜ、相棒。俺の気持ちは止まないからな。」

たとえ、外の雪が止んだとしても、
この思いは変わらない。


2人の時間を邪魔せぬよう
時が静かに日付を超えてなお、
雪は止むことなく降り続けていた、冬のある日の夜のこと。



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雪ネタ。

当サイト初ちゅーは闇表で。



冬は徹ゲーできないな・・・
寒くて指が動かないんだ・・・


(08.02.03)AL41