*リクエスト作品について

・主にキリバンを踏まれた方のリクエストに応じて書きます。
・リクエストされた方のみ(今回は架嘉さんのみ)転載可能です。
・その際、リンクは不要ですが、サイト名(H2A)と作者名(AL41 或いは 41)とだけはお添え下さい。
・一応、それなりに努力はしているので、改変・改編はお控えください。



点線の下よりどうぞ。

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*別体です
*「素敵」なものが書ける自信が無い上、
*どうすれば素敵になるかもわからない有様だったもので、
*とりあえず甘めにしてみました。
*・・・とりあえず、という言葉が適切かは不明です





雨降って、




長く続いた曇りと雨のせいで、心まで曇ってしまいそうだった一週間だが、
日曜日は見事に晴れて、夏のようだ。

朝、規則正しく目を覚まし、空を見やるなり、電話をかけた。
相手は案の定眠っていたようで、回線越しに聞こえた声は、子どもが甘えるような声をしていたが、
「相棒、晴れてるぜ?」
そう告げるなりはじけたような声を出した。
『ホントだー!!』
「折角の天気だから、買い物にでも行かないか?」
『行く!あ、ま、待ってボク、まだパジャマなんだ。』
今すぐ行っても、店は開いていないのに、
まだ頭は眠っているようで可笑しい。

約束を取り付けて、電話を切る。

遊園地へ遊びに行く子どもの様だ。
することをしてから、何を着ようか何処へ行こうかアレコレ悩んでしまう。
そんな時間まで愛おしいのは、
偏に遊戯を想うゆえだった。

一緒に居るとそれだけで楽しい。

安上がりな人間だと思う一方、贅沢な人間だ、とも思う。

遊戯が多くの人を慈しむのと同じように、
遊戯は多くの人に愛されているのであって、
その中から遊戯が自分を選んでくれたのだ、
これ以上のことがあるだろうか。

先の声を思い出すと、思わず時計の針を回してやりたくなる程に楽しみになって、
アテムとは思えぬほど冷静を欠いている。

早く会いたい、
早く話したい、
早く触れたい。


たらたらと動いていた時計が漸く30分前を示す。
とりあえず今日の天気を調べると、降水確率は30%となっている。
ついでに最近公開された映画とか、最近発売されたゲームを確認し終わっていたアテムは
忘れ物が無いか念入りに調べ、
部屋を適当に片付けた後で部屋をでた。


待ち合わせの場所までは15分。


噴水前で待つ15分は長くない。
それは行き交う人を見ているのが飽きない、という話ではなく。

「ごめんね!待った!?」

姿を見つけたから走ってきたのだろう。
息が上がっていて、じんわりと汗が光った。
白いシャツが眩しい。

「待ってないぜ?」
事実とはいえ惚気調子で返答しても、遊戯は優しすぎてそれに気づかない。

「それならいいけど・・・キミは来るのが早いよねー。」
「お互い様、だな。」

アテムが背中越しに親指で時計を指せば、
待ち合わせの10分前である。

「結局、50分に待ち合わせてるのと同じってことだな。」
「だって・・ね?」

言うまでもない。
結局お互い、早く会いたくて仕方が無いのだ。

「じゃあ、何処行く?」

2人なら何処でもいいのだけれど、
めぼしい映画もなかったし、
2人はぶらぶらと知り尽くした町へと歩調を合わせて歩き始めた。


不満など言っては贅沢だと解っている。
だが、恋人への要望というものはあってもいいだろう?

遊戯は、隣に並んで歩くことが無い。
いや、隣ではあるのだが、2人の間には距離がある。
時折人が2人の間を通り抜けて行けるほどだ。
アテムはそれが悔しくて仕方が無い。
誰かの影で遊戯をさえぎられることが嫌でたまらない。

アテムから何気なく近づいても、遊戯はふらりと距離を置く。

その意味を、問うことは無かった。


正直なところ、怖いのだ。

もし、この2人の距離が、最短距離なら。
これ以上を貪欲に求めすぎて、失うことになってしまったら。

そんなこと、夢でも見たくない。

だから問うことはしなかった。
遊戯は部屋であればいくらでも触れることを許してくれるのだから、
この距離は決して遠くないと思えていたこともある。


アテムが時折人込みに溶けてしまいそうな遊戯の姿を見やりながら、
そんな事を考えていると、
ふっと駆け寄ってきた紫の瞳にどきりとした。

「!?」
「?大丈夫?」
「あ、ああ・・・。それで、相棒、どうかしたのか?」
「ねぇみて、あそこ。」

カード専門店の周りに人だかりが出来ている。

何となく何が起きているのか解ってはいたが、
それでも駆け寄ったのは、解っていたからかもしれない。

「リバースカードを2枚伏せてターンエンド!」

案の定、店では決闘大会が開かれていた。
「再来週だっけ?」
「ああ。その前に町内大会、地区予選があるからな。」

王の称号を手に入れたまま手放さぬこの恋人も再来週は、
あの何時ものパワーデッキと闘うらしいのだ。
その2人の立つ、あの高みへと近づくため、
こうしてカード専門店では大会を開き、足がかりとしているらしい。

「相棒も出ればいいのに。」
「えー・・・ボクはそういうガラじゃないよ。
それに、ボクは恵まれてると思わない?」

以前の大会のベスト4のうち3人と知り合いなのだ。
そう考えると、単純に考えれば、
普段城之内に勝っている遊戯は、ベスト4以内だと言える。

「相棒はベスト4には入れるだろう?」
「うーん・・・どうかな。城之内君とはするけど、海馬君とはしたこと無いし。」
「海馬となんかしないほうがいいぜ。」

妙なことをして付きまとわれては大変だ。

そういう本音を読み取ったらしい遊戯は笑う。
「海馬君はいっつもキミと喧嘩してるしね。」
読み取っていなかったらしい。

何はともかく
決闘をしている人、見ている人に決闘王の存在に気づかれぬように
2人はそっと雑踏を抜け出して、
下らない話をしつつ笑いながら商店街を歩いていった。

探していた中古のゲームとメモリーカードを買ってから
昼過ぎに食事を済ませて
暫く暑くなり始めた日差しの下を歩いて居たかったのだが。

「雲行きが怪しいな。」

空はどんより曇り始めて、
陽は厚い雲に覆われてしまった。

「雨・・・降るのかな・・・?」

携帯電話で調べたところ、降水確率は60%になっている。
降る前に帰れればよかったのだが、
2人がアーケード付の商店街から空を垣間見た時には既に雨が降っていた。

「どうする?」
「そうだな・・・うち来るか?」
「うん!」

まるで待っていたように頷く遊戯に中途半端に心を占めていた気持ちは、
すっかり吹き飛ばされる。

幸い途中で見つけた100円均一で大きくは無いビニール傘を買い、
さっさとアテムのマンションへと向かうことになった。


本降りになった雨に、傘の中でも身を寄せたくなる。


そんな天気のなかで、本屋の前に見た事のある姿を見つけた。

「あれ、花咲君?」
「あ、遊戯君。」

どうかしたの?と問う遊戯は、
傘を閉じるのが面倒で傍から見ていたアテムにとっては天使だったが、
対象にその気が無ければ唯の友人だった。

「今日は天気がいいと思ってたんだけどさ。」
「そうだよねー。・・・あ、じゃあ、これ使って?小さいけど。100円だし。」

当たり前の様に傘を差し出されて驚いた。

「でも、君だって。」
「ボクは大丈夫。入れてもらうからさ。」

傘を貸すのは遊戯らしい。なんて思っていたのだが。

返却をされる前に、逃げるように遊戯は後ずさりをして、
外で立っていたアテムの傘に入り込んだのだ。
そしてそのままアテムを引っ張ってゆくように、足早にその場を去った。

横道にそれると、遊戯はアテムに詫びた。

「ゴメンね。傘、大きくないのに。」
小柄な2人だから何とか収まって入るものの、
2人で入るのは小さすぎる。

「でも、こうでもしないと受け取って貰えないと思って・・・。」
「相棒らしいぜ。」
「それに、さ。」

言いかけて遊戯は口をつぐんだ。

なにやら言いにくいようで、だが、アテムは知っている。
遊戯が言いづらそうにしていることは、
大体アテムにとって嬉しい言葉なのだ。
彼は何時だって恥ずかしがって、時折思い切ったようにいうことはあるけれど、
基本的に口にしない。

それは恐らく、人前でくっついたり手をつないだりしないのと同じ理由だ。

だが、今は雨。
人影はないし、
多分居たって誰も人のことなど気にしない。

「相棒、言いかけて黙るのはずるいぜ?」
「んー・・・だって・・・もう、なんでもない。忘れちゃった。」
「嘘はよくないって、じいさんにも言われてるだろ?」
「嘘も方便ってやつだよ。」
「つまり今の発言は嘘、なんだな。」
「・・・。」

ボロが出て再び小さく唸る。

それから、小動物のように前後左右を確かめて、人は居ないのを確認すると、
小さな声で呟いた。

「だ、だって・・・何時もは、その、ボク、あれだけど、
こういうんなら・・・くっついて歩いてても、変じゃないでしょ?」

そして、そうっと傘を持つアテムの腕にそっと掴まった。

驚いて立ち止まり、雨に濡れぬよう気をつけながら
遊戯の顔を覗き込むと、
真っ赤だった。

多分、自分も同じだからそれに関しては何も言わなかったが。

遊戯が自分の希望を知っていること。
そしてそれをさり気無く叶えてくれたこと。

どれだけ嬉しいのか、どうやって示せばいいというのだろう。

持っていた傘を右手に持ち替えて、
左手はアテムを掴んでいた右手をとると、
遊戯は戸惑ったように顔をあげた。

「相棒、睫にゴミが。」
「え?」
「目を瞑ってくれ。」

先の発言で脳が麻痺しているらしい遊戯は、
拒否することなど思いつかなかったように、従順に従ってくれた。

そんな素直さを利用するようで申し訳ないのだが。
軽く閉じられていた唇に触れて、刺激をすれば僅かに開かれて、
遊戯が状況を判断し逃げださないよう、少しだけ深く口付けて離すと、
紫の瞳はすっかり開かれ、恥ずかしさと困惑が混ざったような表情をしてみせた。

「ひ、人に見られたらどうするの・・・!?」
「大丈夫、傘で隠したぜ。」
「あ・・・って、か、傘、透明じゃん!!」
「大丈夫、人は居ないぜ。」

そういった瞬間に、2人の脇を後ろから自転車が抜き去っていった。

「ッ!も、もう、知らない!」

そう拗ねるが、傘の狭い中では別れようも無く。

「大丈夫だ相棒。俺は睫のゴミを取っていただけだ。」
「キミ、触っても無かったでしょ!?」
「後ろからなら解らないだろ?」

何となく、丸め込まれた気がするが、
アテムにならば、丸め込まれても嫌じゃなく、
遊戯は可笑しくなって笑った。

「もう・・・キミには叶わないよ。」
「それは俺のセリフだ。」

惚気つつも、アテムは遊戯の白いシャツが濡れてインナーが見えているのに気づき、
その体を一度引き寄せてから、
こんなところで戯れている場合じゃない、と、
遊戯を誘い先を急ぐ。

「早く帰ろうぜ。」
「うん。」


歩調は速かった。
だが、2人はぴったりと寄り添ったままだった。




雨降って、地固まる。




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10000+1411Hit感謝!のキリ番リクエストでした。
架嘉さんありがとうございました!


最近雨が多いことと、傘1つでつっくつシーンが書きたかったことで、
こんな中途半端な感じに・・・


ええ、こんな感じに・・・。

orz


お粗末さまでした!



(08.06.08)AL41 11411Hit Thank You!