*ダメ社長注意
*社長24歳くらいかな?
*表も24歳くらいかな?
*王様も24歳くらいかな?(一行にまとめろよ)
恐らく最大の危機だった。
傾城
弟は語る。
「兄サマは本当に人に興味が無かったんだ。
人間不信だからさ、個人を好きになるなんて無かったのに。」
弟は見ていたという。
その瞬間に、半径5mのところに立っていた。
何時もの様に車から降り、周囲に目をやるなり、
兄が、普段持ち歩いているジュラルミンケースをゴトリと落としたというのだ。
「ほら、兄サマ背が高いから、落とすのも高いんだよね?
オレもすっげー驚いたよ。
休むのが苦手だからさ、結構倒れ易いし、兄サマが倒れたんじゃないかって思ったくらいだ。」
だが、実際は倒れることもなくその場に突っ立ったまま、
微動だにせず、ただ一点を見つめていたのだという。
「思わず視線の先を追ったよ。
信じられなかったけどさ、気持ちはスゲーわかったんだぜ?」
ただ、1つ危惧していることがあるという
「そればっかり考えて、会社の方をないがしろにされるのは流石に困るぜ!」
そう、あれは半月ほど前、
童美野町に新しいゲーム屋が出来た。
そこは子どもだけでなく、大人まで楽しめるつくりになっていて、
世界的なアミューズメント企業のKCがある町ならではといっても良いほどだった。
しかし、別にKCは何の手も入れておらず、偶然の出来事だった。
なので、KCの代表取締役たる海馬瀬人がそこへ赴く必要は無かった。
ただ、その近辺の事務所で他社との会合があっただけの話だ。
要は偶然である。
しかし、
この男は「偶然」というものを信じようとしない。
では、何と呼ぶべきか。
当人はこう呼ぶだろう、「運命」、と。
運命も非科学的な話だが、そこは黙する。
店はオープン当日で、バルーンがあげられており、
中々人が入っているのは車の中からでも目に入った。
「モクバ、あれは、」
「ゲーム屋なんだってさ。ただ、販売だけじゃなくって、テーブルゲームとか、
M&Wの大会とかもするらしいぜ?
子どもから大人まで入れるカジノっぽい感じを目指したらしいぜ。」
「ふぅん。成程な。」
M&W、海馬自身が心酔するカードゲーム。
時折、I2社によって大会が開かれることもあるが、
そこに大人は混じっていない。
また、オンラインでの対戦も最近では盛んであるが、
カードゲームの醍醐味は、顔と顔を会わせた、言葉や表情での駆け引きともいえる。
小さなゲーム屋でも行うことはあるだろうが、
何時行っても対戦相手が居るという場所の需要は少なくない。
交流の場が設けられるのは必然、もとい、今まで少なかったほうが可笑しいほどだ。
盛り上がりを見せるその店に、M&Wの繁栄と自社の売り上げを見出して、
俄かに笑った。
停車して降りると、より一層店の繁栄が窺えた。
男子の方が多い中で、
1人目に付いた。
海馬はその人を見つけた瞬間に、
固まり、鞄を落とした。
「兄サマ?」
突然の反応にモクバが驚くが、
視線の先を見やって、原因は解った。
ただ、
納得には至らない。
「兄サマ!」
如何に声をかけても反応が無い。
ただ、ぼそりと、何かを呟いたようだったが。
優秀な部下とモクバが必死になって漸く気を取り戻した海馬は、
問題なくで会合を終えた。
いや、寧ろ非常に急いでいたように見えた。
せっかちなのは何時ものことだが、流石におかしい。
別に問題のある企業でもないというのに。
彼らが車へ戻る時、
店はすでに一段落しており、
特に誰も表にはいない。
若社長は名残惜しそうに一瞥するだけだった。
社へ戻る車の中、
兄が余りにも物憂げに外を眺めているものだから、
弟としては非常に不安だ。
モクバが考えている限りでは、
兄は恐らく確かに店の前にいた、ディーラーのカッコをした女性を見ていた。
兄が、か?
この?
生憎モクバでも信じられない。
「兄サマ、さっきどうしたの?」
「ああ・・・。」
生気がない。
視線が合わない。
「兄サマ、どうしちゃったんだよ?オレにも言えないとか・・・?」
流石にそういわれては、海馬も黙ってはいなかった。
「モクバ、俺は非科学的なものなど信じん。
だが、今の俺は『運命』を認めなければならん。」
兄は、どうやら、あのディーラーのカッコをした女性に
一目惚れしたらしい。
信じがたいが、
兄がそういったのだ、弟は信じざるをえない。
しかも、
「天使とは彼女のことだ。」などと言い出す始末。
優秀な部下は、思わず携帯で精神科を探しだす。
だが、彼に求められたのは、
精神科を探すことではなく、
あの彼女の素性を調べることだった。
「流石に一寸犯罪っぽかったけどさ。
あれだけ人嫌いだった兄サマが一目惚れだぜ?
まぁ、オレが見ても結構可愛いって思ったし、気持ちはわかるけどさ。」
兄の豹変を最も近くで見ていた弟はそう語る。
「初恋は実らないとか言うけど、
兄サマはそんなジンクス信じないし、
俺は兄サマが初めて人を好きになったんなら、応援したいって思ったんだぜ。」
海馬瀬人の初恋は、心優しい弟と、優秀な部下によって支えられることになる。
「武藤、遊戯。」
とうとう調べられた彼女の名を、
彼らの城たるKCのビルの社長室の椅子に座って呟いた。
手元には彼女の写真。
「すっげぇゲームが強いんだってよ?
ブラッククラウンの中では1、2を争うくらいとか。
店のオーナーの知り合いを通じて雇われたらしいよ。
性格は優しくて、店でも相当な人気だってさ。」
「人気があるのは当然だろう。恐らく固定客もついている。
ゲーム・・・。
彼女に非常に良く似た人物を知っている気がするのだが。」
海馬は生憎武藤という苗字の人間を他には知らなかった。
だが、いまはどうでもいい。
「遊戯は毎日あの店に?」
「周5日だってさ。月曜と木曜が休み。
他は毎日朝からいるらしいぜ?」
「確か、夜はカジノもしていると言ったな。」
「うん。」
カジノ
聞こえは良いが、所詮はギャンブルだ。
賭博好きの変な男に絡まれては居ないだろうな!?
まだ声さえかけていない想いの人の恋人気分なのか、
瀬人はすっかり知り合ってしまったかのような感覚になっている。
兄サマ、偵察って名目で店に行って見れば?
と、
とりあえず接触を促す。
贔屓目なしでも、恐らく、
兄瀬人の容貌は悪くない、寧ろいいほうだろう、上の中とか。
しかも一流企業の社長。
ステータスとしては完璧だ。
遊戯の写真をみて、
モクバも「兄サマの恋人が、こんなに可愛いんなら、文句は無いや」と、
すっかりその気である。
兄が暴走さえしなければ、何とか2人で会うことくらいまではこぎつけられるだろう。
正当に攻めたって無問題だぜ!
写真がある時点で正当とは言いがたいのだが。
弟の提案に従い、
今度の火曜にブラッククラウンへ見に行く都合をつけた。
それからというものの、海馬は最高潮に機嫌が良く、
仕事が非常にはかどる。
うなぎのぼり。
途中までは。
「ほんとに、あれは凄かったぜ?
ああいうのを絶望っていうんだろうなってさ。
兄サマがかわいそうだったくらいだ。」
元気良く新型決闘盤の開発に関することで開発部へと車を走らせていた。
遠回りだというのに、一々彼女の店の前を通るのだ。
その日は月曜日で、遊戯は来て居ないと言うのに。
まぁ、それがいけなかったわけだが。
居ないはずの遊戯が、裏のほうからひょこりと姿を見せたのだ。
写真では毎日みているが、
やはり動いている遊戯はそれ以上に愛らしく、美しい。
瀬人は正しく運命というものだ、などと惚気る。
何時もの様に幸せそうにその店を眺めていたが、
凝視していただけに、
はっきりと見えたであろう。
その後ろから、似たような髪形の男が現れて、
彼女はくるりと振り返り、ニコリと笑い、
腕を、組んだ。
「あてむ・・・いしゅたーる・・・!?」
海馬はうわ言のようにそう述べた。
持っていた携帯電話はすでに落ちていた。
「兄サマ、そいつ・・・。」
「ああ。M&Wの欧州大会を制した男。」
いつか、闘うことになるとは思っていたが。
「でもさ、兄サマ、2人は兄弟なんじゃないか?」
何となく似てるし。
「モクバ、気持ちは嬉しいが。」
指を見ろ、と。
その言葉通りに見てみれば、
2人は左手に指輪をはめていた。
初戦、敗退ということか・・・?
「でも、兄サマ、兄サマならアイツに勝てるぜ!」
すっかり応援しているモクバ。
その弟に力強く告げる。
「当然だ。俺は欲しいと思ったものは全て手に入れてやる。」
兄であれば確かにそれをなしえるだろう。
しかし、
「兄サマ、株が・・・。」
「社長、企画書が・・・。」
さっぱりすっかり仕事が手につかなくなったのだ。
見晴らしのよい窓からブラッククラウンを眺めながら、
心は彼方である。
社長の彼が動かなければ、城が傾くのは当然だった。
「遊戯、天使っていうより、傾城って感じだな・・。」
類まれなる可愛らしい女に溺れた兄思いながら、
弟はそう語った。
------------------------------------------
意味不明だ。
文章の構成の仕方をドキュメンタリー風にしようと思ったんだ。
身の丈にあわないことはするなってこったな・・・。うん・・・。
(08.03.15)AL41