*総受け前提。
*『勝手に指定席』の設定が持ち越されてたりします。
*初々しいバクラ(白バクラ?)編
好きの違い
好きになったその時から覚悟はしていた。
何を覚悟していたのか、と言えば、
主に、敵の多さと辿り着くまでの道のりの長さだ。
だが、予想以上に険しそうだ。
最近、好ましいことに、
遊戯と2人で行動することが多い。
そして、それが余り邪魔をされない。
おかげで、2人の仲は急接近!・・・と言いたいところだが、
確かに接近しているものの、元が遠すぎた。
それでも2人きりで居ても困ることは無くなったのだから、大いなる進歩だ。
何でそんなに一緒になれるのかといえば、
そもそも教師がよく2人を一緒にするのだ。
理由は生憎、バクラにはわからないが。
まぁ、遊戯の一緒に行動できるのであれば、文句は無い。
「おーい、バクラ。」
後ろから教師に呼ばれることほど嫌なことはない。
露骨に嫌な顔をしたのだが、
振り向くと、遊戯もそこに立っていた。
嫌な顔はあっさりやめて、めんどくさそうな顔にもどす。
「何か用?」
「ああ。」
「あのね、花咲君ちへ行かなきゃ行けないんだけど。」
遊戯の両手には封筒が握られている。
なんで両手で持つ必要がある!?
そんな所作は、可愛い以外の何でもない。
「バクラも行って来い。」
「はぁ?」
だから、何で一緒に行動させようとするんだ?
「嫌か?」
「嫌じゃ無ぇけど・・・。」
疑問が一杯だ。
「じゃあ、頼んだぞ。」
何がじゃあだ・・・?
「へえへえ・・・。」
渋々了承すれば、担任は楽しそうに笑って去った。
意味不明だが、嬉しいに違いないなかった。
残されたのは、
嬉しさを必死に隠しているバクラと、
申し訳なさそうに小さくなっている遊戯。
「ゴメンね、バクラ君。ボク1人でも大丈夫なんだけどさ・・・。」
「何か、あったのか?」
「う、ううん、大丈夫なんだ。」
「おめぇの大丈夫が信用なんねぇ事くらいは、学習したぜ?」
言い当ててやると、遊戯はあうぅ、と唸る。
「さっさと行こうぜ?」
乗り気な様子を見せれば、やっと笑顔を見せてくれる。
2人はさっさと花咲家へ向かった。
話題には事欠かないのだが、
流石に聞きにくい。
いや、でも聞いてみたい。
「なんであの担任は一々俺についていかせたんだろうな?」
意地悪だとは解っているのだが、
遊戯を見ていると知りたくなる。
どんなに美しいものでも近づいてしまうとぼろが出る、とはよく言うが、
遊戯の欠点なんか、自分に比べれば可愛いものだったし、
その欠点さえ知りたいと思うのだ。
だが、
彼を傷つけないよう、別にそんなに気にしちゃあいねぇんだけどさ、とは言っておく。
それに遊戯は、
ついてきてもらったことに対する詫びにとでも思っているのだろうか。
少々渋ったあと、口を開いてくれた。
「うーん・・・それはね・・・?
ボクは、その、中学の時とかちょっと色々あってね、
それで、こっちの方に来るのがちょっと苦手なんだ。」
トラウマということか。
彼の幼馴染であるアテムは、
確かに小学生までは一緒だったのだが、中学生の時は国に帰っていたという。
その隙を狙われたのだろう。
「成程ねぇ・・・。」
非常に納得のいく理由だった。
つまり、
「俺がSPってことか?」
そういうことなのだが、
「SPって言うと海馬君みたいだね!」
と遊戯は笑ってくれた。
だが、生憎、
バクラにとって海馬は敵である。
それも財力と攻撃力と行動力だけはずば抜けている上、
アテムのように「幼馴染」という障壁さえないので、
非常に警戒していた。
その名前が遊戯の可愛らしい口からでてくるのは、よくあることだった。
海馬海馬ってよ、
「遊戯は、海馬のこと好きなのかよ。」
面白いくらいにあっさり出た。
いつもであれば、「うん。」という返答が来ることが怖くて、
聞けずに終わるはずなのに。
バクラは思い切って聞いた自分自身に驚いた。
そして遊戯もまた、キョトンとして此方をみて、更に固まっている。
「え?」
やっと出た反応は、反応としては不十分で、
質問の復唱を求めているかのような言葉だったが、
残念ながらバクラにその力は残っていない。
「・・・。」
「海馬君のこと?」
「・・・あ、ああ・・・。」
さっきとは全く異なる口調に意も介せず、
遊戯は真面目に答えてくれた。
「偶にね、そういう質問されるんだ。それで、『好きだよ』って答えると、
みんな驚くんだけどさ。」
そりゃあ、驚くだろう。
その上、そんな事を聞くのは下心があるからに決まっているのだ。
「アテムにはいっつも言われるんだ。
『相棒の好きは、恋愛じゃなくって友情としてなんだろ?』って。
きっと、多分そうなんだと思う。だから、良くわかんないんだ。」
成程。
ああ、その通りだろうな。
聞いてはいたが、遊戯の博愛主義ぶりは恐ろしい。
恐らく一般で言う「嫌いな人」は「苦手な人、でも嫌いじゃないよ。」カテゴリーに分類されている。
「ってか、お前そんなに聞かれんのか?」
「え、うん。みんなそういうの好きだよねー。」
好きだよねー、ではなく、
真剣なのだと思うのだが。
「誰か好きな人が居るの?とかってさ。
ボク、良くわかんないから、みんな大人だなって思っちゃうよ。
やっぱりボクはまだお子様なのかな・・・。
・・・バクラ君は大人だから解るのかな。」
普段はお子様、と言ってしまうのだが、
遊戯がそう言っていると否定したくなってしまう。
「別に大人だからどうこうじゃないと思うけどよ。
それに、」
解っている。
本当は、解っている。
自分が友人としてではなく遊戯に好意を寄せているということは。
だが、
駆け引きに嘘は付き物だ。
「俺もそんな経験ねぇからな。」
悪ぃ、遊戯、嘘なんだ。
でも、
今の俺じゃ、敵わねぇんだよ。
「バクラ君も無いの?」
「意外か?」
「意外。」
「何で?」
「わかんない。けど、バクラ君は大人っぽいもん。」
「何だそれ、意味わかんねぇよ。」
「えへへ、ボクも良くわかんないや。」
ほんと、悪ぃ・・・遊戯・・・。
純粋過ぎる遊戯は、バクラの嘘に気づくことは無い。
遊戯はただ、大人っぽいバクラでもわからないことを
「どうしたら、そんな気持ちが解るんだろう。」
とちょっと難しい顔をして、不思議そうにするだけだ。
小難しい顔をしている遊戯は、中々可愛いのだが?
考え事をしている遊戯は、此方に視線を送ってはくれないだろう。
と、でも思ったのだろうか。
「お前が、誰かを好きになった瞬間、じゃねぇか?」
などと、発言していた。
今日の自分はどうかしている、とバクラは再び発言した後に思う。
「え?」
「いや、だから・・・。きっと何か違ぇんだよ。よくわかんねぇけど。」
バクラが遊戯と初めて会って、
初めて声を交わして、
無邪気な笑顔を初めて見せてくれたとき。
今まで感じたことの無いものを自分の中に感じた。
可愛い人間ならば何度も見てきたし、
興味本位で人と付き合ったこともあった。
だが、それとは全然違う。
だから、自分の気持ちに気づいたんだろう、
遊戯に対して持つ好意が、友情ではないことを。
「ふーん・・・そういうものなのかな。」
「何が正解なのかさっぱりわかんねぇけど?」
「じゃあ、難しく考えなくってもいいんだね!」
「まぁ、遊戯にもいつかわかるんじゃねぇの?」
そう言ってやれば、やっぱり笑ってくれた。
恐らく。
遊戯を狙う者がこれだけいるのだ、
誰かが友情と恋愛の違いを教えることになるのだろう。
願わくば、
それが、
自分であればいい。
バクラは、
自身の情け無い現実を忘れて、ただそう願ってしまった。
遊戯は僅かに駆け出して、「ここだよ!」と、
目的地へと誘った。
「何だ、SPのお仕事は無しかよ。」
「ほんとだね!平和だね!」
今日の任務は平穏だったが、
遊戯の隣へ座るまでの道のりは、非常に遠く険しい。
バクラはまだ、歩み始めたばかりだった。
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意味不明。
後書き書く体力がないぜ。
(08.03.11)AL41