*別体
もう別体しか書いて無いよ、このひと
*受験生は読むのをやめましょう、ってこんなとこにいないか・・・。


宝玉と硝子玉




いくら外が寒いといえど、体育の後は流石に熱い。

暑いのは真面目にやったからなのだろうが、
健全な男子高校生たちは薄手の体育着のまま教室へ戻っていった。

「もう足がクタクタだよ・・・。」
「どうせ、次は数学だし、寝ちまおうぜ!」
唯でさえ見かけ通りに体力の貧弱な遊戯には持久走は地獄であったが、
まだまだ元気そうなくせに城之内は、睡眠仲間を作らんばかりに答えた。
まぁ、作ろうとせずとも2人とも授業時睡眠同盟に加盟しているようなものなのだが。
相棒、今の単元確実にテストにでるからやっておいたほうが良いぜ?と、
寝ていても9割取る人間が言っているが
でも絶対に寝ちゃうやー、と寝る気満々の遊戯を強引に起こす気は無いらしい。

そんな様子を傍観していた。

呆けているのかと思われていたらしく、
お節介な従兄弟が「君は疲れてても疲れてなくてもどうせ寝るもんね。」と冷やかしてきた。
嘘ではないので、「まぁな。サボんないだけ良しとして欲しいところだけどよ。」といつもどおりに反応する。

了にしてみればバクラが体育の授業に出ることさえ奇跡的だった。
それもまぁエサに釣られて出ているのは知っているが、
何らかの理由をつけて見学にしそうなものを。

あの怠惰でだらしのないサボり魔のバクラを授業に出させている遊戯の魔力には感嘆せざるを得ない。

そんな事を考えていたが、ふと保健室に提出しなければいけないものを思い出した。

「あ、」

そう声を漏らすと階段の前方に居た城之内、遊戯、アテムは一斉に振り返る。

「どうしたの?」
「ちょっと、保健室行かなきゃ行けなかったんだ。」
「怪我?」

不安そうな顔をする遊戯に、提出物だよ、と笑顔で答えてやれば安堵の表情を見せる。

「だから、先行ってて!」

了がそういって再び階段を降りて行った時、

3人が階段で振り向いていたのがいけないのだが、

剛速球で下りてきた生徒と接触したのだ。

膝がガクガクだった遊戯に
その衝撃を耐える余裕はなく、

小さな身体が宙を舞った。

「相棒!!!!」
「遊戯っ!」

遊戯と同じように衝撃を受けていた二人は叫ぶことしか出来ず、
しかし叫び声では遊戯を支えることは出来なかった。

どぉん、と言う音を立て、
遊戯が床に落ちた。


「い、痛くない・・・けどっ!」


遊戯は見事にバクラの上に着地していた。

「でぇ・・・」

これがアテムだの自分よりでかい城之内であれば避けていたのだが、
遊戯では避けるワケにも行かず、
その上立ったまま受け取れるほどの時間もなく、
とりあえず受身をとって遊戯を受け止めることしか出来なかった。

「バクラ君!大丈夫!頭打ってない!」

心配し眉を顰めている遊戯の顔がすぐそこにある。
半泣きの、何故半泣きなのかわからないが、潤んだアメジストの瞳には
自分が映っていて、
何を言っているのか聞こえないほど、
全ての意識がそこへ向かっていた。
遊戯が瞬きをして姿が閉ざされると漸く意識が解放された。

「頭動かさない方が良いよ!!」

本能的に上体を起こしたバクラにそういうが、

「頭は打ってねぇから大丈夫だ。」

と言うだけで、
「それより、遊戯膝とか打ってねぇか?」

この期に及んで遊戯の状態に気を使ってしまう。
左胸に僅かな痛みを感じたが、どうでも良かった。

「ボクは、大丈夫だけど。」

バクラは案じて遊戯の膝を見たが、状態の前に、
遊戯が自分にまたがるように座っていることに漸く気づいた。

「相棒!」

走ってきて衝突した生徒に絡んだ城之内を宥め終えてから
アテムは漸く遊戯の元へ駆け寄ってきた。
相変わらずバクラの心配しかしない遊戯を起こして、
外傷がないか確かめる。

「目立ったところは無いが、打ち身とかしてるかもしれないな。
バクラは大丈夫なのか?」
「まぁ、打たれなれてるし。とりあえず遊戯は、保健室にでもつれてくか。
問題なさそうだったら了にでも任せて教室まで連れて行けば大丈夫だろ。」

俺もサボるいい理由が出来たし、遊戯つれてそのまま保健室で寝てくる、と
結局サボり魔らしいことをいって、
数学の先公にヨロシク、と遊戯を抱えて階段を降りていった。


「バクラ君、大丈夫だよ、ボク歩けるから。」
「病人ほどそういうことを言うんだぜ?」

背中が痛いのはバクラの方なのに、自分をを背負って保健室へ行く。
申し訳なくて謝り続ける。

バクラは背中から聞こえる謝罪の声に、事故なんだから気にすんなよ、と繰り返し、
あんまり言うと怒るぜ?と言いつければ遊戯も黙った。
だが遊戯は良く喋る、見かけどおり子どものように。

「バクラ君の目、ってさ、綺麗だよね。」

謝罪の代わりに届いた言葉はバクラを驚かせるには充分だった。

「俺の目はてめぇみてぇに紫でも何でもないぜ?」
「色じゃないよ。」

色以外に綺麗かそうでないかの基準があるというのか。
あったとしても、自分如きは掃き溜めに転がったラムネの中の硝子玉のようなもので、
安く不恰好なものだ、綺麗であるわけが無いのだ。
名のある宝石とは違うのだ。

「お前の言うことは理解できねぇな。」
「そう?」

生憎余裕が無いのだ。
遊戯のように哲学的な言葉を楽しむ余裕はなく、ただひたすらに
目の前のことを追うだけだ。

遊戯がどうバクラの目が綺麗なのかを説明する前に、保健室についていた。
ドアを開けると丁度了が出てくるところだった。

「あれ?どうしたの?遊戯君まで。」

サボり魔にサボり病を移されたのか?

「階段で飛んだ。」
「?」
「ボクが階段から落ちちゃったんだ。そしたらバクラ君に・・・。」

了は何となく状況を理解して(無論バクラが大した外傷が無いくせにやってきた諸理由も含め)
保健医を呼んだ。

遊戯は膝に問題もなく、着地した時に手を打った程度だった。
バクラは背中を打っていたが、無駄に頑丈な身体のおかげでほぼ問題なし。
ただサボりたそうな態度のために保健医はあっさりとベッドを開けてくれたのは、
これから一寸退室するので、店番レベルで許可したからだったが。

適当な処置を受けた後、了と遊戯は教室へ戻っていった。


結局バクラは保健医が戻ってくるなり追い出され、
授業に出る羽目になった。
彼もまた授業時睡眠同盟に加入しているので、寝ていただけだが。

あとは何時もと同じたむろし、帰る。
まるで親鳥の如く遊戯の世話をするアテムや、
小学生のように遊戯と遊んでいる城之内を
僅かに羨望の眼差しで持って見やりながら、過ごしただけだった。


何時もと同じ。
それはそうだ。
ただ事故があっただけで、何か変わることがあるわけが無い。
そこまで日常は移ろい易くない。

つまんなぇなぁと思いつつも家に帰りテレビをみて、
適当に食事を終えて、風呂へ入った。

そのときに漸く思い出したのだ。

左胸の痛み。

洗面台の鏡は、バクラの虚像を見せていたが、そこには確かに、
虚像にとっては右だったが、
赤く青く染まっている。

何だこれ。

思わずなぞってみるが、少々痛いだけで何が分かるわけでもなく、
しかしこの痣を作ったのが、遊戯であることだけは間違いなかった。

「歯でもあたったのか?」

そう、あの時のことを思い出す。

落ちてきた遊戯を受け止めて、
心配そうな瞳には自分が映っていた。

― バクラ君の目、ってさ、綺麗だよね ―

綺麗なんかじゃねぇよ。

掃き溜めの不恰好なビー玉でしかないのだ、
宝玉とは違うのだ、
遊戯の言葉はやっぱり意味がわからなかった。

だが、安物の硝子球であっても捕らえられれば充分なのだ。


鏡を覗き込んだその瞳には、そこにはいない、想い人の姿が映っていた。









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本当は闇表のつもりで書いてたんだぜ!?

・・・


拍手文ではいちゃついてるくせに、駄文になると片想いどまりのバクラ。

ってか転んで歯でアザとかできるのか?
偶に人に歯があたることはある・・・気が・・・。子どもとか・・・。

まぁ、非ぃ科学的でも無視無視、無効無効。

何で受験生は読むなって?
落ちちゃこまるじゃない。(無駄に気にしてみた。・・・誰も気にしません。)


(08.02.10)AL41