*解ってる、解ってるよ。どうせ別体だよ・・・
でもパラレルと呼ぶほどでも無いんだよ・・・
*牛尾さんも遊戯がお気に入りです。
メンドクサイ日がやってきたがった。
うんざりするのだ。
期待なんて裏切られると解っているのに、どうしても期待してしまう自分に。
何といっても、遊戯自身が貰う立場だというのに、
どうして俺にくれるっていうんだ、あほくさい。
そう思いつつも、周りに触発されてなんか用意してたりして・・・
なぁんて、女々しい期待なんかしてたまるか。
まだその日がやってきて5分も経っていないというのに、
バクラの機嫌は最高潮に悪かった。
14日の人々
くれなかったからって、遊戯を怒る権利はねぇよなぁ。
そもそもくれるとしても、あいつのことだから配って歩くんだろうよ。
競争率高いからなぁ・・・。
前は、
顔を見られるだけで満足だったのに、挨拶をするようになって、言葉を交わすようになって、
手に届きそうになるほどに、欲深くなる。
まぁ、自分に限ったことではない。
男なんて、いや人間なんてみんなそんなもんだろ。
自分の嫌なところを仕方が無いものだと思い込むほか、助かる方法は無かった。
バクラは今日こそサボってやりたかったが、
何時もの笑顔を見るためだけに制服を着て、空の鞄を持っていくのだ。
途中で従兄弟の了に会ったが、バクラの機嫌の悪さに、
驚く素振りも見せず、「まぁ、一日だし、我慢しなよ。」とたしなめるだけだ。
バクラは、この男の仮面の下を知っているだけに気味悪さを感じたが、
同時に反抗すればどうなるのか解らないので、適当に流した。
どんなにダラダラと登校したところで、近くに住んでいるのだ、
どうしたって学校についてしまう。
校門前には既に人だかりが見えた。
中央に誰が居るのかわかるのは、身長とその男を取り巻く不快なオーラだといえる。
「こんな日に登校するなんて、珍しいね。忘れてたのかな?」
「アイツもお目当てがいるんじゃねぇの?期待するだけ無駄だろうけどよ。」
まぁ、人のことはいえねぇんだけどよ。
思わず漏れそうになった言葉を慌てて引きとめるので精一杯だった。
嫌いな人物が酷い目に会うのをみているのは面白いので、2人とも暫く観察していた。
だが、つまらないことに、あれだけ女子が囲んでいたというにも関わらず
無愛想で苛立っている男はその女子生徒達から一つの包みも受け取らず、振り払って去った。
「毎年やってます、って感じだな。」
「きっと、奈良公園の鹿程度にしか思って無いんじゃない?」
「哺乳類にも思ってないかもしれないけどな・・・。」
大体、何故大して仲の良くも無い男に、ああも揃ってチョコレートだの菓子だのを贈るんだかな。
渡してどうするつもりなのだろう。
「見返り目当てか?」
「お返しするような性格じゃないのにね?あのこ達は、すぐに“いつも見てました”みたいな、
ストーカーじみたことを言ってのけるけど、全然見て無いってことだよね。」
だって、やつの眼中にいるのもまた遊戯ただ一人なのだから。
そんなこと、本当にみていればわかるだろう?
やっと散らばった女子の一群の隙間をぬって下駄箱へ向かうと、
渦中の人物がうんざりして立っていた。
「よぉ社長。」
「海馬君、おはよう。」
「貴様らか・・・。」
「どうしたの・・・って、ああ。」
海馬は下駄箱を開けたまま固まっており、そこを覗き込んだ獏良は合点がいく。
見ずとも予想は出来ていたのだが。
見事に上履きが見えない。
「・・・下駄箱に食べ物を入れるという神経がそもそもどうかしている。」
そう言い放つと、入っていた全てを下駄箱の上に出してしまい、
結局一つも受け取らない。
「受け取ってあげれば良いのに。」
「甘い物は嫌いだ。」
「じゃあ、僕が食べようか。」
「好きにしろ。」
と、いわれても獏良はそれを取る気はさらさら無く、
別に一緒に行こうといったわけではないのに、3人で教室へ向かう。
「海馬君の机も楽しみだね。」
「止めろ・・・。」
獏良が楽しそうにドアをあけると、
入りきらなくなったチョコレートを何とかして海馬の机に詰め込んでいる女子に遭遇した。
うわぁ・・・
つめろつめろ!と囃していた男子女子、本当に渡したくて必死だった当人、
やめたほうがいいって、といわんばかりの目で見ていた本田が
そう声を漏らして、一斉に凍りついた様は中々愉快だった。
それを気にせずさっさと席に着く従兄弟に、
バクラは俄かに敬意を表しつつ、さらに愉快な気分になった。
「本田君、おはよう。」
「おっす。おう、バクラも一緒か。」
「ああ。」
立ち尽くす、海馬、女子生徒、周りの野次馬。
「すっごい修羅場って感じ。」
「まぁ、予想はしてたが凄いもんだよな。」
「本田君は貰った?」
本田は全然、と降参した手振りをして、杏子の義理待ちと笑った。
バラクは思うのだ。
この本田の態度こそ臨むべき姿勢だと。
もらえるわけ無い、友人から義理をもらえれば充分、というこの無欲な態度。
本田が遊戯狙いという噂は耳にしていないが、
この諦めた感は悟りの境地に似ている。
だが、そう簡単にはなれないのだ。菩薩でもあるまいし。
好きになってしまったのだ。
仕方が無いのだ。
義理でもいい。偶然持っていた飴でもいい。
此処まで条件を減らしたって、ショックを受ける確立の方が高いのだから、
気分は拾った1枚の宝くじで発表をまつようなものだ。
「あれ、そういえば・・・机足りないよね?」
バクラは気づかなかったが、確かに机が足りない。
本田は、そういえばそうだったなーと説明をしようと口を開くと、
口を開くより先に、ドアが開いた。
紅葉が二枚ほど見える。
バクラは手前の一枚には更々興味は無いが、後ろのちょっと低い方には非常に用がある。
ガダガダと机を持って登校してきた男はアテム。
「ふう、めんどくさかったぜ。」
「何もそこまでしなくったって良いじゃない。」
呆れながらそう苦言を漏らすのは遊戯。
何時もの場所に椅子と机をセットしたのを見守ってから、
遊戯はバクラ達のほうへ目を向けて、にっこり笑う。
「おはよう!」
これが目覚まし時計の声ならば、一瞬で目が冴えるというものだ。
一瞬思考回路が停止したバクラの反応が遅れると、
遊戯は不安そうな顔をして、覗き込んでくる。
「大丈夫?」
「あ、ああ。おはよう、遊戯。」
バクラが「おはよう」というのは遊戯に対してだけだと、了は知っている。
まぁ、突っ込んだことは無いのだが。
返事をしたバクラの顔色は別に悪くなかったので、遊戯はただそれを安心してまた笑う。
この為だけにここに居るのだ。
チョコレートなんて、これより甘いわけないのだ。
「どうしたの、アテム君。」
「ああ。先週、杏子が『月曜日の机の中はチョコレートで一杯じゃない?』っていうもんだから、
机は隠しておいたんだ。」
「アテム、靴箱の名札まで位置変えてたんだよ。ちょっとやりすぎだよね。」
今頃、使われていない靴箱の中には海馬に負けず劣らずのチョコレートが・・・。
「ちゃんと受け取ってあげれば良いのに。」
「そうは言ってもな、相棒、俺は甘い物が苦手なんだ。」
全然食べないわけじゃないけどな、と一部否定をつけておくのは、
“お前のは幾らでも受け取るぜ”という事なのだろう。
当然の如く、アテムは遊戯に熱烈求愛中であり、
悔しいが一番チョコレートに近い存在だ。
まぁ、その理由が“幼馴染”というものだというのが、その他のライバル達にとっては救済である。
同時に、“幼馴染”から発展するのが難しいのは現在のアテムが物語っている。
しかしバクラはそれでもうらやましい。
一緒に居てもおかしくないし、一緒に登校しているというだけでうらやましい。
遊戯に想いを寄せる共々の中ではバクラは最も遠い位置にいるのかもしれなかった。
気にしているのはバクラだけで、遊戯はそんなことお構い無しなのだが。
油断をしてすごいことになっている海馬を準備万端だったアテムが冷やかすと、
2人は所謂火薬庫だから、一瞬にして火がつき燃え上がる。
2月の寒さが信じられないほどに熱気が渦巻き、
新聞配達から遅れてきた城之内でさえ唖然としたほどだった。
いくらバレンタインと言っても、授業は何時もと同じ。
つまらない、眠たい、暇。
バクラは専ら舟を漕ぐ遊戯を眺めていたが、
バクラ自身が舟を漕ぐのも時間の問題。
体育の時間にも冷めていなかった2人の戦いが見られ、それを観覧するのは暇つぶしには最適だった。
遊戯は隣で、「ライバルっていいね!」と気楽そのもの、火薬自身であることには気づいていない。
今までの遊戯の様子を見ていると、恐らく誰にも持ってきていない。
何を?
今更そんなこと訊かないでくれ。
もう午後の授業はサボった。
遊戯の顔は充分見たし、
これ以上見ていると、本当に欲しくなってしまう。
くれないことの責任を、遊戯に押し付けてはいけないのに、
何か欲しいとねだってしまいそうだった。
もう帰ってしまおうかとも思ったのだが、
何となく帰る気にはならなかったのだ。
帰らなくてよかったとそう思った。
終業の鐘が鳴ると、日向ぼっこしていたバクラは身体を伸ばし、
帰宅していく生徒を見ていた。
が、城之内が走っていく姿や、本田が帰るのもみた。
了は了でバクラに構うことなく帰っていった。
あの男もしれぇっと女子から甘い物を貰い、家に帰って楽しむつもりだろう。
甘い物好きはうらやましい限りだ。
しかし、遊戯は勿論、海馬・アテム・真崎が帰る姿が見えない。
如何せん一人は黒塗りの外車でお迎えが来たまま、出発する見込みが無い。
さては、どうしたものかと、野次馬精神が発揮され、
教室に戻ろうとすると、
廊下にまで声が響いて、真崎が覗き込んでいる。
「どうしたんだ?」
「え、あ、え、!?」
手をパタパタさせて、よくわからないが、真崎はいかにも女らしい反応をみせる。
コイツも変なヤツだと常々思っていた。
大して面識も無いのに、遊戯の友人ということで、何の違和感なく声をかける。
おかげで助かったわけだが。
「海馬君が遊戯を探してて、それにアテムが『遊戯になんのようだ』ってね、何時ものことなんだけど。
それでちょっと言い争いしたあとに、いきなり
『散れ、アテム!滅びのバーストストリーーーーム!!!!!!!』
・・・
「悪ぃな、よくわかったぜ。で、遊戯は・・・?」
「それが・・・先に帰るって・・・。」
「一人で帰ったのか?」
「う、うん。ちょっと・・・。私が気を遣わせちゃって。」
真崎−遊戯間で何かがあるようだが、まぁ、バクラにとっては関係ない。
ただ、関係が有るのは、
バクラが遊戯の帰る姿を見ていないという事だ。
校内にいる可能性が高かった。
バクラは決闘をスルーし、遊戯の捜索へ向かった。
海馬に無敗のアテムが負けるとは思えない。だが、
過保護主義者のアテムがあの状態では、遊戯が無防備なのは考えるまでもなかった。
嫌な予感がする。
バクラの足は自然と駆け足に変わっていた。
階段の踊り場から、校舎裏が見えた。
嫌な顔が見える。
牛尾だ。
そして胸のうちにあった嫌な予感は更に肥大する。
一目散にそこへ向かった。
草葉の陰から確認すると、
案の定、
遊戯が絡まれていた。
座り込んでいる遊戯の紅葉には土がついていて、既に何かあったのが窺えるが、
遊戯は気丈で、怯えてなど居なかった。
「遊戯、俺になにか渡すもんがあるんじゃないのか?」
「無いよ。」
「こんなに可愛がってやってるのに、何もねぇのかよ。」
「無いよ。」
ツンデレとかではなく、本当に無いらしい、そう判断した牛尾は、
それなら理解できるまでたっぷり可愛がってやると、指をならした。
目の前に遊戯が居ては他に気が回らないのだろうか。
いや、
デカブツでも、小物ってことだろうなぁ。
「へぇ、さっすが風紀委員は給料がいいんだなぁ牛尾さん。」
「なっ」
「え?」
バクラは牛尾が目の前の欲望に専心しているなか、
牛尾のズボンに入っていた財布を掏っていた。
財布を物色しているバクラの嗤い顔に腸が煮えくり返るほどの怒りと焦りを感じる。
「てめぇ!」
余りに鮮やかな手口に体が凍りついた。
それさえもバクラは嗤ってやる。
しかも物色していた財布には、
ちょっとやばそうなものまで出てきてしまう。
「へぇ、こんな趣味してたのかよ。風紀委員っつーのは、理解できねぇな。」
そしてそれを一瞬ちらつかせて財布にはさんで、
「ほらよ、返してやるぜ!」
財布ごと空高く、投げあげた。
ひらり、と舞ってしまったそれを風で飛ばされてばれぬよう、
牛尾が必死に追った瞬間を逃さない。
バクラは遊戯の手を引いて、抱え上げ、
そのまま逃げ去った。
学校を出てしまえば、もう大丈夫だろう。
お互いに鞄を持っていたのは幸いだった。
「ありがとう、バクラ君。」
「気にすんなよ。」
走りつかれ、肩で息をしながら遊戯は笑い礼を述べる。
ちょっと汚い手を使ったが、
暴力反対の遊戯に嫌われないためには仕方がなかった。
遊戯の頭についていた土を払い落としてやる。
「ったく、アイツはあぶないから気をつけろって散々いわれてるだろ?」
「う、うん・・・でも・・・。」
「何で一人で帰ろうとしたんだよ。」
「今日はもう一人のボクと帰らないつもりだったんだ。
城之内君はバイトで、本田君は静香ちゃんに会いに行ったし、
獏良君は冷蔵庫でシュークリームが待ってるって。
バクラ君は午後の授業居なかったから、帰ったのかと思ってて。」
「屋上でサボってた。」
「もう、居るんなら授業でなよー。」
お前は、俺がいないことに気づいてたんだな。
「でも、本当にありがとう。本当に助かったよ。」
何か、お礼しようか?
『いらないぜ』
『当然のことなんだから気にすんなよ』
自分は菩薩ではないのだ。
そんな言葉は出てこなかった。
「チョコレート。」
「10円でも良いから、チョコレートが食いてぇ。」
お前から、欲しいんだ。
抜け駆けだと解ってるけどよ。
「バクラ君、チョコ好きだっけ?」
「別にチョコじゃなくってもいいんだけどよ、今日が今日だからさ・・・。」
丁度良い言い訳が思いつかない。
好んでではないが、バクラは今日物好きな女子生徒から貰った。
だからチョコレートが欲しいわけではないのだ。食べたいわけではないのだ。
遊戯から欲しいのだ。
「バクラ君って結構流行好き?」
「そ、そういうわけじゃねぇんだけどよ。」
「いいよ。じゃあ、買いに行こう!」
遊戯はバクラの手を取って誘う。
一緒に居るだけで手に汗もので、手のひらは良好な状態でなかったのが改めて気になってしまったが、
遊戯は気にしない。
そういうところが愛おしい。
外見ではない自分を見てくれるから、愛おしい。
熱い気持ちが一杯に広がって、心がはちきれそうだ。
体では収まりきらなくて、口から零れ落ちそうになる。
「あ、遊戯、あの・・・」
告げたらどんなに楽になるだろう。
呼ばれた遊戯はくるりと振り返って、何?とバクラをみている。
その目に理性が起こされる。
このままでは危険だ、と。
非摂理的な感情なんだ。嫌われるかもしれない、と。
そして理性と感情に板ばさみにされたバクラは口すら動かなかった。
「大丈夫だよ。これから一気にセールになるから。」
そんなことを気にしてんのかよ、お前。
10円でいいっていったじゃねぇか。
相変わらず天然っぽい反応をされると一気に此方の緊張が緩和されて、
肩に入った力が抜けた。
「ったく、お前は確りしてんな。」
「へへ。」
「なぁ、遊戯。」
「何?」
「返す時困るから、高いもん買うなよ。」
お礼でくれるといっているのに、お返しの話をするバクラ。
おかしいことに言ってから気づいた。
変なヤツと思われたかもしれない。
なのに、
「お返しくれるの?じゃあ、楽しみに待ってるね?」
遊戯も変なヤツだったらしい。
早く行かないと、なくなっちゃうよ!
せかされて、歩調が速くなる。
遊戯と一緒の時を過ごすと過ごすだけ、愛おしい気持ちが強くなる。
バクラはそれに気づいていたが、
並んで歩けば歩くほど、2人の距離が縮んでいくことには気づいていなかった。
甘い、2月14日。
-----------------------------------
背景素材:
ミントBlue
現代でバク表。
バクラはカッコよく書きたいんですが、
なんだか子どもっぽくなってしまったかも・・・。
無駄に長くなってしまったので、切ったんです。
これでも長いけど・・・無駄な部分が多いんだよなぁ
おかげで色々意味不明
*社長はもらうことを考えておらず、ディナーにお誘いするつもりだった。
「今日はありがとう。」→「ホワイトデイにはお返しするね」→「お返しなど・・・そうだな俺はお前が(ry
*杏子−遊戯間の問題
遊戯「杏子、もう一人のボクにはちゃんと本命用意したの?」
杏子「え、ゆ、遊戯!・・・あの・・・一応したんだけど・・・。」
遊戯「ボク、今日は先に帰るから、放課後渡しなよ!」
杏子「でも、大丈夫なの?怪しまれないかなぁ・・・。」
遊戯「大丈夫だよ。杏子がんばってね!」
どこの女同士の会話だ、これは。
遊戯は王様と杏子にくっついて欲しいと思っています。
王様は遊戯にとって「幼馴染」であって、それ以上ではないので、特に意識していません。
がんばってもフラグの立たない王様・・・
ここで問題
Q.牛尾さんの財布に入っていたやばそうなものとは一体なんでしょう
1.キャバ嬢の電話番号
2.遊戯のアイコラ(笑)
3.アニメイトのポイントカード(あれ、ポイントカードだっけ?)
さぁ選べ!(答えはありません)
(08.02.04)AL41