*バクラが特に変態。
*社長?勿論変態。
*ギャグじゃないぜ
『ちょっと、来てくんねぇか?』
海馬はアテムを連れて、呼び出された場所へと車を走らせていた。
伏兵アリ
春休みは短い。
だが、現在の状況で新学期を迎えるのは好ましくなかった。
何らかの手段を用意しておく必要がある。
ことの発端になったあの1人目のドジな生徒は、
何でも移動教室の机の中に入っていたものだというのだ。
それが真だと断言するのは非常に難しいところだ。
ただ、大きな声では言えないのだが、
バクラにあれだけの目にあっておきながら、それ以外言わないというのは、
真である可能性は高いと思われた。
・・・この事態が知れたら、
あの博愛主義でさえ3人を厭うのは目に見えているのだが、
危険を冒してでも、守ろうという志だけは買って欲しいところだ。
あの封筒に入っていた全ての写真から、
本来の所持者とそれ以外の指紋が8つ出てきた。
1つは確実に後の所有者、第一の生徒のものであるのだが、
つまり、他8人の人間が、あの写真に関わっていたということになる。
本来の所持者が誰なのかもわからないが、
学校内に居ることだけは確実であり、
更に当該教室を利用する者ということは解っている。
しかし、それだけですでに条件に当てはまるものは1000人を越える。
その上犯人が男だという根拠がない。
・・・男だと思うのだが。
更に、写真を取れる位置にいた者を限定してゆく。
特に、溺れた時など、遊戯を目で追っていなければ取るのは不可能だろう。
だが、情報を得るには余りに遅すぎた。
ただまだ学校に、遊戯を盗撮する不届き者が居ることだけは確か。
3人は厳戒態勢を取っていた。
海馬は何かと遊戯を誘い、社で遊ばせていた。
無論、そこへアテムがついてきていることも了承していた。
まぁ、アテムは決闘AIの丁度いいテスターだったので、充分役に立った。
海馬の会社は、関係者以外は許可がなければ立ち入れない。
そこに居る限りは安全なのだが。
「え、もうこんな時間?そろそろ帰らなきゃ。」
帰宅しなければならない。
「車で送ろう。」
「いいよ。大丈夫。」
だが、帰宅時こそ危険なのだ。
例えば、
道を聞かれて親切に教えているところとか、
子ども達に囲まれてデッキを見てあげているところとか、
散歩中の犬とじゃれているところとか、
遊戯など、何をしていても絵になるのだ、
常にシャッターチャンスといっても過言ではない。
いやいや、それ以上に、
道を聞くフリをして、遊戯に妙なことをするかもしれない。
デッキを見てもらうフリをして、襲い掛かるかもしれない。
計算して遭遇するように犬の散歩をしているかもしれない。
危険すぎる。
「だが、春といってもまだ日は短い、もうだいぶ暗くなっているからな。」
「大丈夫だって。」
「相棒、乗せてもらおうぜ?」
「えー?だって迷惑だよ。へーきだって!」
その時、電話が鳴った。
春休みというのは危険だ。
何が危険かといえば、
人間らしい生活が、だ。
バクラは今日も夕方近くに起きて、
日が傾き始めてから昼食(世間では夕食と呼ぶ)をとり、
のそのそと買い物へ出かけた。
夏はもっと酷いので、まぁマシなのだが。
と、言っても
去年の夏はそこまで酷くなかった気がする。
何かと遊戯が遊びに来てくれたりして、
人間らしい生活をしていた気がしなくもない。
遊戯。
そう、バクラの想いの人。
高校生とは思えぬ容姿だけでなく、
その容姿と相応な中身。
声の調子にしたってまだまだ幼さが残り、
何にでも心を配るような、可愛らしい人。
男だが。
だが、その可愛らしい遊戯が、
不埒な輩に狙われているという。
思えば当然だ。
自分とて遊戯の写真を欲しいと思うのだ。
あれだけ近くに居たとしても、
それでも物足りない。
出来るなら心も体も自分のものにしてしまいたいくらいなのだ。
その気なのだが。
遊戯と話すことさえ出来ない輩であれば、
その写真を欲しがるのも解らなくはない。
ただ、
よりによってあんな扇情的な写真を持っているなど、
流石に許せない。
何の目的で、などと、そんな野暮なことは言わないが、
写真を見ながらニヤニヤしている男が居ると思うだけで腸が煮えくり返る。
・・・人のことはいえないが。
兎に角、
その遊戯を盗撮しているヤツラを叩きのめそうという話になったのだ、
それを知る3人の間で。
悪い話ではなかった。
無論、遊戯は困っていても絵になるような人間だが、
誰かに困らされているのは気に食わない。
バクラ自身が困らせてやりたいのだから。
なにやら情報担当の海馬曰く、
金で取引されているという。
遊戯で金稼ぎとは、いい度胸だ。
無価値というと語弊があるが、
遊戯に価値を与えるということ事態が愚行だ。
現に今日、起きたら来ていたメールの1つに価値を与えるということは、
自分の喜びに金額をつけるということだ。
無理に決まっている。
バクラは遊戯から送られてきたメールを見て、
本来の彼を知る人であれば、
思わず距離を置きたくなるほどに悦にいっている。
漸く目を離して、視界を上げると。
眼前の男と目があった。
・・・心象が悪い。
折角脳内遊戯が可愛らしい声でメールを読み上げてくれたというのに。
しかもバクラの目つきが悪かったのか、
あからさまにびびっている。
いや、バクラは今まで至福のときだったのだ、
寧ろ笑っているべきなのだというのに、
何故見知らぬ人間がそんなに怯えている?
「・・・?」
「え、いや、スミマセン・・・!!!」
そう気味の悪い男は、謝ってオドオドする。
突っかかりたくなったが、
八の字眉で此方を見上げてくる遊戯が瞼に映り、やめた。
無視してその横を通り過ぎようとすると、
向こうの男の電話が鳴った。
バクラが地獄耳だということが、運のつきか。
「はい、もしもし。
え、今から?
あ、ああうん。KCね。」
KC・・・?
「前は車に乗ってなかったよ。
あの何か知らないけど、番犬みたいな人が居て・・・。うん、そう。」
車に、乗る・・・?
番犬・・・?
「(海馬か・・・。)」
海馬はあれでも一応大企業をになっている。
スクープの1つも狙われたって可笑しくないだろう。
だが、バクラの予想は外れたと言ってよかった。
「解ってるって。カメラはいっつも持ち歩いてるし。
あの高い写真を買わされるくらいなら、自分で撮りに行くよ。
あいつら、まるで自分のものみたいに扱っちゃってさ。」
生憎バクラにとって高い写真といわれると、
1つしか思いつかなかったのだ。
そして、
遊戯を不安にさせかねない、諸悪。
「おい。」
根拠は無いのだが、
思わずバクラは声をかけていた。
男ははっとして応じて、
またまた目を見開き、うわあああああと声を上げて走り出した。
答えは出ているようなものだ。
遊戯を追い回している輩が、バクラを知らないわけは無いのだ。
その上、色々と色々な面で有名なので、
コソコソ隠れているようなヤツには勝率など0だ。
一人目の犠牲者の話も広まっているわけで。
「てめぇ!」
その恐怖をどう形容することが出来るのか、わからない。
ただ、猛然と追ってくる悪魔みたいな人間。
奈落の底から忍び寄ってくる恐怖。
バクラは追いつける自信があったのだが、
火事場の馬鹿力とでもいうものか。
恐ろしく早いのだ。
「チッ!」
路地裏に入られては難しい。
まぁ顔だけははっきりと覚えているのだが、
遊戯を守るものとして顔が立たない。
躍起だった。
向こうも必死だった。
だが、
バクラの執念が勝った。
角を曲がったところで、とうとう追いついた。
「てめぇ、自覚はあんだろ?」
ドスの聞いた声は、悪魔のささやきか。
男はブルブルと震え、
命だけは、と唱えている。
とりあえず一目のない場所へと連れ込んで、
吐くだけ吐かせてやろうと思った。
「で、何で逃げた?」
「そりゃあ・・・・・・・・・写真が・・・。」
「やっぱりな。」
「ひいいいいいいいいい!!!!!」
出せ、と言えば、
写真は一枚出てきた。
別になんてことのない普通の写真、まぁ盗撮なのだが、
教室でカードに興じているだけの写真。
いたって健全。
明らかに、この間とは写真のタイプが異なっている。
「てめぇさっき、カメラがどうこう言ってたよな。これはてめぇが撮ったのか?」
「そうだよ、だって、高いんだ。あいつらほんとに、遊戯さんを何だと思ってるんだ。」
「そいつは俺のセリフだろ。」
「・・・。」
「だが、まぁ、てめぇがいうその“あいつら”ってのは誰だ?」
「僕にもよくわかんないよ、仲介人が居て・・・。」
なにやら複雑なようだ。
そしてバクラは難しい話が嫌いだ。
「ちょっと待ってろ、呼ぶから。」
「呼ぶって、え?まさか。」
バクラは携帯で電話をかける。
数コールすると、相手が出る。
「海馬か?」
相手が出たことに、男は恐怖した。
「助けて、ほんとに、僕社会的に抹殺される!!!」
まぁ、お構い無しだ。
「ちょっと、来てくんねぇか?王サマも居んのか?」
「うわああああああああああああああああああああ!!!!」
数十分後、
男の断末魔にも似た叫び声が、人知れず響いた。
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大変なことになっているようですが、
もう誰が犠牲者か解らないな・・・。
社長パートとバクラパートが上手くリンクしてない気がする。
書きなおすかもしれません。
これ、真剣に結末決まってないんですが、
どうなることやら。(他人事)
(08.03.29)AL41