*甘め?
*キスあり




ウソつきなボクとキミ







「寂しくなんかないよ。」


海馬が、会社でやってきてくれる遊戯に、何も出来ないことをやんで
「寂しいか?」
と、問うたびに、遊戯はそう答えた。

本当は、
本当は違うんだ。

遊戯は海馬が仕事をしている姿を見るのは好きだった。
世間の知っている真面目な海馬。
目が疲れるのか時折眼鏡をかけることを知っているのは、
恐らく世界でも4人くらいで、
自分がそこに含まれていることを、遊戯は知っている。

だが、遊戯はそれ以外の海馬だって知っている。

話せば話すほど、触れれば触れるほど、海馬という人間が明確になってくる。

そこには欠点だって一杯あった。
だが、
それでももっと愛おしくなるのだ。

弟のモクバでさえ知らない海馬を知っている。

きっと、
海馬のいろんな面を一番知っているのは自分だ、と、
遊戯はそう思うのに。


遊戯は海馬を独り占めすることは出来ない。

会いたい時にやってきても、
言葉を少し交わせるだけで、触れることさえできない日も、
会社へやってきても出会えない日も、少なくない。

解っているのだ。
頭では。

海馬には会社がある、仕事がある。
帰宅部でバイトもしていない自分とは境遇が違うのだと。

学校帰りに何処かへ寄ったり、もっと一緒に居たい、
そういう願望を叶える為には、相手は海馬ではいけなかったのだ。
だが、それでも海馬を選んだのは自分。

だから、自分のワガママは押し殺さなければいけない。
押し殺してでも傍にいたいと願ったのだから、
ワガママの為にワガママを飲みこむなど当然なのだ。

それで、いう。

「寂しくないよ。」

と。

キミが、ボクを認めてくれるのだから、
それ以上は、求めないよ。

寂しくなんかないんだ。

「遊戯?」

ぼーっとしていると、上から覗きこまれていて、
はっと顔をあげる。

「どうした?考え事か。珍しい。」
「ボクにだって考えることはあるんだから。」

ふっ、そうだなと海馬は笑って、
手にしていたコーヒーを机に置いてから、遊戯の隣へ腰を下ろす。



こういう時間があればいいんだ。



「遊戯、またか。」

「え?」

お前はまた呆けていたぞ?と、
海馬は意地悪く聞いてくる。

「なんだっていいじゃない。」
「気になるものは気になる。特にお前に関してはな。」

そう簡単に言い放ってしまう海馬。

ある意味、海馬は非常に素直な人間だ。
行動力があるからか、自信があるからか、
反対に羞恥心がないからか、
遊戯では到底言えないようなことをあっさり口にして、

遊戯はそれが恥ずかしい以上に嬉しかった。


自分もそう言えればいいのに。

だが、
困るのは海馬なのだ。

寂しいといえば、何とかそれを補おうとするのだろう。

「海馬君は・・・。」
「なんだ?」
「何でもないや、何言おうとしてたか忘れちゃった。」
「ほう?」

信じていませんという返事が返ってきて、
遊戯はどんどん追いやられる。

だが、追い詰めるだけが楽しいわけじゃない。

遊戯が常に本音、特に海馬自身に対しての要求を口にしないことはわかっている。

それを、聞きたいと思っていた。

それが、海馬の求める言葉だと、そう願っていた。

「遊戯、今日が何の日かしっているか?」
「え?今日は・・・あ、」

エイプリルフール

「ウソの日だね。」
「そうだ。」

遊戯、ウソをついてみろ。


そう告げられて驚く。

「何で?」
「本当は言いたいことがあるのだろう?」
「無いよ。」

そう言ってから、


遊戯は解り易い。


しまった!という顔をするのだ。



「なるほど。やはり言いたいことがあるのか。」
「ちがうもん!」

否定すればするほど、
肯定になるのだが。

「お前はさっきから『ある』と言っているじゃないか。」
「そんなことな・・・あります。」

今更過ぎる反応に、
海馬はクスクスと笑って、
遊戯も逃れられないと悟るのだ。

「じゃあ、ウソだからね。
絶対ウソだからね!」

そう、きつく断って、

「ボクは、寂しい。」

と、呟いた。

やはりそれは、海馬が聞きたいと思っている言葉だった。

「これは良い事を聞いたな。」
「え?ウソだっていったでしょ!?」
「ウソだからという言葉がウソだとしたらどうだ?」
「なにそれ!都合がよすぎるよ!!」

遊戯はつーんとして、可愛らしく拗ねる。

「遊戯、そう怒るな。」
「怒ってないもん。」

怒っている。

「遊戯、俺はよろこんでいるんだぞ?」
「ウソだね!」

こうなってしまうと、言葉は力を失う。
それは計算の上だ。

遊戯は全てをウソだとそう思いこもうとする。
都合のいいことは全てウソで、
都合の悪いことだけが本当のことだと。

だが、
事実だと伝える、
丁度いい方法を知っている。

拗ねる遊戯の頭はそのままに、
海馬は小さな体を奪い去るようにして抱きしめて、
拗ねる口へとキスを落とす。

「キスはウソをつかん。」

ぽーっと頬を染めて、遊戯は小さく唸って、
海馬のスーツにすがりついた。

「バカ。」
「褒め言葉だ。」

恥ずかしがって俯いたままの遊戯をそっと抱きしめたまま、
遊戯の為に、いや、遊戯の希望に沿いたい自分のために時間を空けようと、
今抱えている仕事へと意識を向けた。

耳にはまだ、遊戯の言葉が残っていた。




H2A(AL41) --------------------------------------



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4月1日のエイプリルフールネタにお付き合いくださった方にのみ
フリーで配布したブツです

多分30人ほどの方が見てくださった子
ヒマなのでうp(待て)

有難うございました!


(08.04.01)AL41