*パラレル!ファンタジー!
*ファンタジー=ダークなのは、気のせい!(アレ?)
*長いです
砂時計とキミ
さっきから睨みつけているが、
どうこうなるものでもない。
「ほらよ、さっさと先進もうぜ?」
「うん。」
と、言いつつ、動く気配はない。
遊戯は先からずっと、バクラの首に掛けられている砂時計を見ていた。
キラキラとした美しい金の砂が、
サラリと落ちる度に、眉を顰めた。
「仕方がねぇだろ?」
「でも・・・。」
「おめぇにどうこう出来るもんじゃねぇんだからよ。」
全てはバクラの業の為だ。
禁忌を犯した。
仲間殺しだ。
それを神に問われた、
お前には心がないのか、と
そしてバクラの首に砂時計をかけた。
美しくも、残酷な砂時計を。
「さっさといかねぇと、つかないぜ?」
「・・・うん・・・。」
遊戯には向かうべき場所がある。
島の中央に聳え立つ『オーゼイユの塔』にある『神の庭』、
そこで神託を受ける必要があるのだ。
それは遊戯、彼等半魔人が15になったら受けるべき通過儀礼であり、
16までに受けなければ魔人と見なされず、人間になってしまう。
遊戯は15と6ヶ月。
あと6ヵ月以内にたどり着かなければ、唯の人間になってしまうということだ。
この世界で人間とは、魔物の餌くらいの認識である。
要は大問題だ。
だというのに、渋って先へ進まない。
「・・・いいよ、ボクは別に、つかなくたって・・・」
「何言ってんだお前。」
半魔人だけでは、オーゼイユの周囲にめぐらされている
『混沌の森』を抜けることは無理なのだ、
そこで道先案内人として悪魔の力を借りる必要があるのだが、
遊戯は引っ込み思案で気性の荒い悪魔に声をかけることさえままならなかった。
そこへ声をかけたのがバクラだ。
バクラとしては別に誰が人間になろうが結構な話だったので、
余生の楽しみに適当に可愛いのに目をつけたらそれが遊戯だった。
魔人とは思えぬひ弱さに辟易としたが、可愛いので許した。
こんな可愛いのが、人間になってみろ。
何かの胃袋に収まる前に、違う意味で食べられそうだ。
共に旅する中で、そう思うようになり、
さっさと塔へと向かわせたいのだが。
「だって、キミが・・・。ボクが使い魔も出せないから・・・。」
魔人というだけのことはあり、
本来であれば遭遇する『僕』と呼ばれる魔物と戦うのは魔人の召喚獣のはずだ。
だが、遊戯はそれが出せない。コントロールが出来ない。
時折感情が暴走して、何とか出てきた召喚獣まで暴走し、
敵を倒すことが無きにしも非ずと言う状態で、
此処まで生きてきたのは専らバクラのお陰である。
では、頼ればいいじゃないかというものでもないのだ。
本来であれば、それでいい。
ただ悪魔にも体力というものはあって、闘えば疲れるのだが、
寝れば元に戻るのだから、問題は無いのだが、
バクラは違う。
力を使うこと、それは体力を削ぐことだった。
力を使えば体力がなくなる、そして、
砂時計の砂は落ちてゆく。
砂時計の中、金色の砂、それは、バクラの命だった。
呼吸をするだけで体力は減ってゆく、時が経てばその分減ってゆく。
そして、寝ても砂は戻らない。
砂時計の刻む時は、バクラの残りの時であった。
つまり、力を使うということは、死へ歩み寄るということだ。
遊戯を守ろうとすればするほど、距離は近くなる。
まともに戦えない遊戯が混沌の森を進むには、バクラの力が必要で、
進めば進むほど、バクラは死へ進んでいるということだ。
遊戯はそれに気づいてしまった。
だから、先へ進めない。
自分の性でバクラが死んでしまうなど、許せない。
「ねぇ、神様は、許してくれないの?」
「だろうな。」
遊戯はヘタリと座り込んだままで、バクラもその隣に座していた。
「・・・ねぇ?」
「ああ?」
「ボクは・・・・・・。」
そう言い終わる前に突然立ち上がり、
強い瞳で見下ろしてきた。
「な・・・なんだよ。」
「バクラ君、解雇ね。」
「はぁっ!?」
確かにバクラは遊戯に雇って貰っているといえようが、
バクラが居なければ恐らく、いや98%の確立で遊戯はこの森で死亡する。
何を言い出すのか。
「おい、ちょっと、待て遊戯、解雇すんにも理由があるだろ?」
「ボクは、悪魔が居なければ生きて行けない貧弱者だよ。
塔に着くまできっと3ヶ月はかかる。
キミは大人しくしてれば5,6ヶ月は生きていられるだろうけど、
この森でボクを守りながら2ヶ月は生きていられるかも怪しいものじゃないか。」
そういってしまえばそうなのだが。
「塔へ近づけば近づくほど、敵は強くなる。
そんなところでキミが消えちゃったら、ボクは即死だよ。
キミが死ぬトコも見たくないしね。」
自分のことくらい解ってるんだから、と遊戯は一瞬悲壮な様子を見せるが、
決意は変わらないらしい。
「それに・・・いや、それはいいや、兎に角、
今日!今!此処で!解散!」
遊戯は一方的に言い放って、さっさと駆け出して行ってしまい、
バクラはあまりに恣意的な行動に、流石に我慢がならなかった。
「ふ、巫山戯んな!」
だが、そう吼えてみても、既に姿の見えぬ遊戯に届くわけも無く、
ただそこ等辺の木から怪鳥がバサバサと飛び立って行っただけだった。
「ハッ、もう何にでも喰われちまえ半魔人のひよっこが。」
イライラしながら、遊戯とは逆の方向へと歩みだした。
遊戯が見事に方向を外していたことに気味が良いとさえ思う始末だ。
だが、バクラは、何故自分が怒っているのかも解らなかった。
そもそも遊戯と一緒に居れば自分の死が早まるだけで、何があるというのか。
誰が、好き好んで死を選んだりするものか。
そして遊戯に何の得があると言うのか。
そこまで至って、思考はあの表情と繋がった、そして漸く気づいた。
遊戯とて、死など選ぶつもりは無かったんだろうということ。
だがそれでもこの選択をしたのは、
バクラに6ヶ月生きていて欲しかったからではないのか。
「あのアホっ・・・!」
幼い容姿を思い出し、一瞬胸が苦しくなって、
思わず振り返ると、ギャアギャアと鳴きながら、大量の鳥が飛び立っていくのが見え、。
そして、轟轟と気味の悪い呻く声が聞こえる。
悪寒が走った。
聞き覚えがある声の主は、恐らく近くに住む大蛇。
そこ等辺の悪魔や召喚獣ではそうそう倒せるものではない。
ただ、得物を見つけたときしか姿を見せないし、
腹が満たされていれば、襲ってくることはないというのに。
あの嘶く声は、
得物を見つけたときの声か。
あっちの方向にいる得物など、恐らく独りしか居ない。
「遊戯・・・!!」
使い魔を呼び出し、先に行かせようとするが、主を見る目には違う意思が宿っていた。
「・・・気にすんなよ。」
使い魔死んでもすぐに蘇る。
ただ、主の体力を大幅に削ることになるということになるのだが。
「あのひよっこは気にしてたみてぇだが、
俺は6ヶ月間大人しく生きるより、ドンパチやって死んだほうがマシだ!」
この人らしいことをいう、と使い魔はさっと先へ向かう。
その直後、高く聳えた影を見て、バクラは走ることを諦め立ち尽くした。
走れば体力を使う。
黙し強く願った。
「おっきい・・・。」
寂しさに俯いていた遊戯の前に現れた大蛇。
その強さは一目瞭然だ。
頭部に大剣が突き刺さっているにも関わらず飄々としており、
その上、嘶く口から大腿骨が転がってきた。
末路が窺える。
「・・・こういうのは、逃げるべきかな・・・?」
考えるまでも無い、遊戯には倒す術など無いのだ。
だが、
「逃げ切れるものなのかな・・・?」
遊戯の貧弱さは何も召喚獣云々だけではない、基礎体力も貧弱そのもの。
必死に走ったところで逃げ切れるものかどうか。
しかし、逃げないわけにも行かない。
遊戯は、辺りを見回し、
出来るだけ木々の生い茂った場所を目指し走り出した。
大蛇としては久しぶりの食事が逃げてゆくのだから、
生きるために必死で、本気でその後を追った。
かけっこの結果は考えるまでも無かった。
木の根に足が捕られ転んだ遊戯と、日を覆う巨大な影。
いづれ森で死ぬ覚悟をしていた遊戯は、
あっさりと観念し、目を瞑った。
悪魔に頼らなければ此処までやってこられなかった自分には、
丁度良い結末だとおもうのだ。
だが、遊戯に訪れたのは死ではなく、絶望か。
遊戯の足を捕らえた長い舌に、見覚えのある影がツメを立てていた。
ギャアアアアアアという声と共に、大蛇は痛がり怒り出した。
しかし怯むことなく、あの使い魔は標的を遊戯から逸らそうと宙を舞い、撹乱させていた。
「・・・逃げろってこと・・・?」
こちらの呟きに僅かに頷いたのを見て、立ち上がり、近くの大樹の陰へと身を潜め、
その様子を窺った。
窺わなければよかったという後悔と、窺わなければいけなかったのだという義務感が、
争うたびに胸を締め付けた。
時折激しい攻撃を受けつつも、好戦した後で、
ディアバウンドは、消えた。
大蛇は、興奮冷めやらぬ様子だったが、遊戯のことも忘れているようで、
何度も咆えたあと、姿を消していった。
「バ、クラ・・・君・・・?」
何故ディアバウンドは消えたのか。
考えるより先に走り出した。
白髪の男がうつ伏せに倒れていた。
何故?
何の為に、別れたというのだろう。
「バクラ君・・・?」
慌てて近寄り、体を返すと、
思わず見てしまった砂時計には、もう、目視できるほどの砂も無く。
苦しそうな呻き声とともに、僅かに瞳が開かれた。
「バクラ君・・・。」
「ケッ・・・ひよっこめ、生きていやがったか・・。」
この期に及んでそんな口を聞くものだから、胸にこみ上げるものが熱い。
「なんで、なんでこんなことしたの・・・。」
「そりゃ、」
「だめ!喋っちゃだめ!」
「ハッ、聞いたのはどっちだよ・・・それに、
何も出来ねぇまま黙って生きるのなんかゴメンだからな・・・。」
体を起そうとするのを押さえ込んで、
遊戯は頭を自身の膝へ乗せた。
「向こう見ずのバカが・・・。」
「・・・それはキミもだよ。」
「・・・バカ同士、お似合いだったかも知れねぇな。」
「・・・。」
もう少し、お互いのことを話せばよかったのかもしれない。
今からでは遅すぎる。
だが、伝えられなくなるには、まだ間に合う。
「黙って暮らすなんて、俺の性にはあわねぇ・・・。
そうするくらいなら・・・したいことして・・・死んだほうが・・・マシってな。」
「したいこと・・・なら、それなら、やっぱり。」
「俺はしたぜ。」
「えっ・・・?」
勇者になる気も命の恩人になる気も無かった。
ただ見て居たかった。
遊戯は初見から面白いヤツだった。そして、笑顔の印象的なヤツだった。
だから気に入ってしまったのだ。
「死ぬ前に、見てぇもんがあったが・・・無理・・・だな・・・。」
真上に見える顔は、歪んでいて、大粒の水滴が落ちてくるのも時間の問題だ。
「お前・・・俺が消えるまで・・・ここに・・・いろよ・・・。」
守れば遊戯は笑った。
だから守った。
守るためには隣に居る必要があった。
だから隣に居た。
笑えぬのであれば、せめて傍に居て欲しい。
「・・・お前は、ぜってぇ・・・着けよ・・・。」
「バクラ君・・・。」
瞳はゆっくりと閉じられた。
口元は僅かに笑った気がしたが、気のせいかもしれない。
「ボクは・・・キミが消えるのを、見てはいられないよ・・・。」
でも、キミが望むなら・・・ボクはそれをしなきゃいけないね。
遊戯は膝の上で眠りについた男の髪を整え見守っていた。
悲しみに暮れる朝は、騒々しいものだった。
「起きろ、寝介。それともなんだ?野郎の膝枕は寝やすいですかねぇ。」
何時もの声で起されて、遊戯は鈍く目を覚ました。
居る。
見取ったはずの姿が。
「あれ・・・?夢・・・?」
「はぁ?てめぇなんの夢見てんだか。」
ぼけている遊戯の手を、自分の胸へと当てると、
半開きだった瞳は大きく見開かれた。
あるべきものが無い。
「えっ・・・?」
「お許しが出たらしいぜ?」
体を起して良く見えるその顔は、ニヤニヤと笑って居て、何時もと同じだ。
「なんで・・・?」
疑問に思うも、本当はそんな理由なんかどうでもよくて。
ただ、幽霊ではないかと疑うだけだ。
そんなものは杞憂だった。
「さぁな。よくわかんねぇけど。」
―お前に心を見届けた、ならば償え―
あれは恐らく神の声。
「ただ、別の課題がだされてな。まぁ急ぎじゃねぇよ。」
良かったね!!とあの笑顔で、バクラの首に抱きついてくる。
だがしかし、だ。
バクラは誘惑に負けず、遊戯を引き剥がして立ち上がり、
得意げな顔をするのだ。
「そういやぁ、俺、解雇されたんだったな。」
「えーっ!?」
そういえばそうだ、いくら事情が事情といえ、解雇されたには違いない。
からかったつもりだったのだが遊戯は唸って、眉なんか顰めていて、
「あのー・・・えーっと、あれはさぁ・・。」
終には頬まで染めている始末。
これは負けそうだ。色々と。色々な面で。
「はいはい。構わねぇけどよ・・・。」
だが、何となく、なあなあで居るのも嫌だったので、手を差し出して売り込んだ。
「改めて契約でもしませんか?半魔人サマ。
このバクラ様なら快適に、こんな森一ヶ月で抜けてやるぜ?」
「あっ。」
「報酬は出来高払いの一括後払いで結構だ。のるか?」
自尊的な売り文句に思わずふふっと笑いがこみ上げてきて、
「のるよ。喜んで。」
遊戯は破顔し、その手をとった。
塔まではまだある。
彼らの旅は再スタートを切った。
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長いですね。
お疲れ様でした!(あれ?)
パラレルのファンタジーとのことだったのですが、
説明が長くなり、結構きってしまったので、
ところどころ意味不明ですが、
脳内補完でオネガイシマス;
リクエスト、ありがとうございました!!
(08.05.25)AL41