感謝御礼駄文

*長いです
*甘くなっちゃったかもしれないんですが・・・スイマセン('A`)
別体でよかったですか・・・??
*総受け気味です;;;スイマセン
*管理人はどうにもツンデレというものを理解していません;
*・・・謝りすぎだろ・・・;;;


正直者は嘘をつく



基本的に噂というのは、
陸上選手が100m走るよりも、
ビル風が吹くよりも、
いや、電話を使えば、光レベルとでも言えばいいのだろうか、
兎に角速いものだ。

その上厄介にも根も葉もないことがウダウダと付け加えられて、
更に聞き手と話し手の余りにも勝手な解釈によって、
趣旨が変わっていくのは常といえよう。

そのせいでさっきからバクラの機嫌は最高に悪く、
授業中指しても反応を示さないこの生徒に、
教師でさえ注意するのは諦めたほどだ。
人との会話という会話を一切耳にしないといわんばかりの空気をまとっている。

そんな状態にまで陥った原因は1つ。

遊戯が海馬の車に乗って1人で登校したということだ。


事情を知る人間には大打撃だった。

海馬が如何せん下心を持っているのは知れていたし、
遊戯が割りとはっきりしていないのも彼らの想像を掻き立てた一因である。

特に、バクラにはあまりに大きな衝撃だった。


流石に解ってはいるのだ。
恐らく教室内の仲間内で事情を知るものが一瞬頭に思い描いたことは、
正しく妄想の域を出ない産物であって杞憂だということくらい。
しかし遊戯に事実を問いただしても事実を隠そうとするのは解っていたために、
結局何が本当なのかなどわからないし、
何よりそんな噂が立つことが気に入らなかった。

心のどこかで遊戯は自分のものだと主張するが、
事実としては遊戯はバクラのものではない。

ただそう思ってしまうのは、
ある魔が差した時のことが余りにも記憶に深かったからか。


一度だけ。

遊戯の前となれば度胸は無いのだから、本当に魔が差したといえるだろう、
バクラは、自宅に遊びに来た遊戯と一度だけキスをした。

恋人でも何でもない。
バクラは今まで一度も遊戯に気持ちを伝えたことなどない。

ただ、遊戯のいう「変な気持ち」になったから、
思わず隣に居た遊戯にしたのだ。
それが遊戯でなければしなかったことくらいわかっているのだが。

その時の遊戯の反応はよくわからないものだった。
怒ることも喜ぶこともせず、
突然の行動に感情が抜け落ちてしまったような反応をして、
その後忘れたかのように、一切それを口にしていない。

初めてだろう遊戯の初めてらしからぬ様子だったその理由は、
今日の遊戯の噂と関わっているのではないかと勘ぐってしまう。

要は、遊戯が誰とも付き合ったことのない人間だなどと言うのは、
勝手な思い込みでしかない、ということだ。

だから、
「(余計な期待はするんじゃねぇよ。)」
そう、さっきから遊戯の背中を見つつ、自身に言い聞かせ続けていた。
日ごろの行いが良いからだと思えるような生活を微塵もしていないのだ、
期待などして裏切られるなんてことは、
自分のナイフの刃を握るようなものだった。


バクラの様子は流石に城之内さえも心配にさせるほどで、
勇猛果敢と言うべきか命知らずと言うべきかは解らないが、
城之内は漸くバクラに声をかけた。

「どうした?」
「別に。」

城之内は事情を知る人間である。
まぁ彼にとって遊戯は大事な親友であって、
バクラとは違うのだが、
彼がどれだけ海馬と言う人間に恨みを持っているのかということを考えれば、
バクラ以上に不快なのかもしれない。

「・・・どうせ噂とか妄想とかは外れるもんだろ?」

しかし、
バクラの中であの時の遊戯の反応と結びついてしまった今、
妄想が現実のような気がしてならないのだ。

「バクラはどうなんだよ。」
「何がだよ。」
「どう思ってんだ?遊戯と海馬のことをよ。」
「さぁな。どうでもいい。」
「ほんとかよ?海馬だぜ?」
「どうでもいいってんだろ?関係無ぇよ。」

そうだ、関係などない。
どうせ一方通行の思い込みだ。

「遊戯の自由なんだろうけどよ、俺は説得したいくらいだぜ。」

遊戯を支配など、出来るわけがない。

「無謀だな。」
「頑固だからなー・・・。
まぁよ、遊戯はモクバと徹ゲーって言ってるわけだし、
俺は遊戯を信じることにするぜ。」

そういう城之内の顔は何時もとは違って、
心のうち1割ほどは腑に落ちて居ないことが窺えた。

妙に冷めた態度をとるバクラに
思わず言いたくなった気持ちは流石に抑えて、
城之内は「ま、どうにもなんねぇし、しかたねぇな。」と
言い捨てて去っていった。


(おめぇの気持ちとはちげぇんだよ。)


気遣ってくれた城之内には悪いとおもった、だが、
それでも簡単にはやりきれない。

何時振り向くかわからないあの後姿に、
バクラは平静でなどいられる自信がなくなって、
もう授業が始まるというのに、鞄を持ってさっと席を立った。

教師に断ることなく、さっさと早退してしまった。




「あれ、バクラ君、居ない?」
「え?」

遊戯は授業後、杏子にそれを指摘されたが、
遊戯はそうだね、と返しただけで、
杏子は不思議におもうのだ。

「遊戯、知らなかったの?」
「知らないよー。何で?」
「だって、ほら、最近仲良いし。」
「そうかなー。」

遊戯は出来るだけアテムと一緒に行動しないよう努めていて、
その結果としてバクラと行動することが増えていたのは確かだった。

「ふーん・・・でも、」
「何?」
「ん、あ、なんでもない、気のせい気のせい!」
「あ、うん。」

杏子は頭をよぎったことを打ち消して、
愛想で誤魔化されると、遊戯は深く追求してくることはしない。
ただ、はっとした顔をして、

「アテム、そろそろ戻ってくるよ。」
「そうかな。あれ、遊戯は?」
「ボク、今度の課題図書全然読んでないんだ、だからちょっと図書室寄ってくから、
2人で先帰ってて。」

遊戯はそう慌てるようにして鞄を取って、
逃げるように教室を出て行った。

アテムに会わない様な道を選んで、図書室へとたどり着いた。

図書室はガラガラで、図書委員が居ないという状態だ。
この学校らしいといえばそうかもしれないが。

誰も居ない空間は、一人っ子育ちの遊戯にとって、安心できる場所ではあった。
窓際の席に鞄をほっぽり出して、
勉強などする気もなく、机に伏せる。

「(2人、うまくいくといいな。)」

何となく寂しいけれど、
それよりも嬉しさが強い気がする、いや、強いと信じている。

そのことを考えていると、胸が苦しくなってくるので、
別のことを考えようとしたのだが、
改めて思い浮かんだことは、結局あの男のことなのだ。

「何がそんなに気に食わなかったんだろう。」

バクラが途中で消えたことは知っていた。
バクラの機嫌が最高に悪かったことも知っている。
今日はまともに一言も話していなかったと思い出す。

だが思えば、
バクラの機嫌が良かろうが悪かろうが、自分には関係が無い。
だがそれにしたって、この胸を締め付けているのは、
ほかならぬバクラだけだったから。

「(もう、キミは、何処までボクを振り回せば気がすむのさ。)」

独り言ちる。

思えば思うだけ気に食わない。
黙りこくって、課題図書に目を通すが、
さっぱり頭に入ることも無くって。

「(課題が終わんなかったら、キミのせいだからね。)」

悔しくなって外へと目を向けると、
部活動の生徒、そして、
屋上に、人影。

「・・・ばかだよ。」

遊戯は荷物を持って図書室を出た。




帰るつもりだったのにな、と思い続けてもう数時間経っていた。

家には記憶の断片が転がっている。
校門には不快な影が重なる。

「臆病者が。」

そう詰ってみたが、所詮は詰る自分自身が臆病者で、
何の意味も無く、それらを目にする勇気は起きなかった。

壁にもたれて座り込んだまま、
天を仰いでいた。

すると、ガラッとドアが開かれた。

此処は一応立ち入り禁止で、
一瞬驚きビクリとすると、
バクラはその姿を確認するなりさらに驚く羽目になった。

「遊戯・・・。」
「もう、何してんの。」

遊戯は珍しくご機嫌が悪いらしく、
だが、機嫌が悪いのはバクラも同じだった。

「何だっていいじゃねぇか、関係ねぇだろ?」
「良くないよ。」

遊戯はムスッとして、自身の鞄をぽいっとそこへ投げ落とした。

「もう、キミの機嫌が悪い性で、今日は皆に聞かれたんだ、
“バクラ君機嫌悪いけど、何で”ってさ。知るわけ無いのに。
何でボクに聞くのっていうと、
最近仲が良いから、だってさ。意味わかんないよ。」
「わかんねぇのはこっちの方だ。
大体なんでそれで俺が責められなきゃいけねぇんだよ。」
「それにキミのせいで課題が1文字も進まないし、
ホントにキミのせいだよ。」
「はぁ?」

前者はわかる気がするが、後者はさっぱり意味不明だ。

「何言ってんだ?」
「もう、いいよ、なんでもないよ。」
遊戯はツンっとそっぽを向いて、
怒っているのに、可愛いと思ってしまうのは、失礼だろうか。
一瞬ほだされながらも、
胸を占める苛立ちは消えはしなかった。

「責任転嫁も好い加減にしろよ、誰のせいでこんなトコにいると思ってんだよバーカ。」
「どうせバカだよ。大体なんでキミはそんなに機嫌が悪いの。」
「・・・さぁな。」
「そう。じゃあ、ボクには関係無い話だよね。」

関係も何も、
お前が全ての原因なんだよ、

「関係ねぇって?お気軽なことだな。」
「じゃあ、なに、関係あるの?」
「さぁな。」

言えるわけが無い。
だってそうじゃないか、
勝手な、思い込みなのだから。

なら、何故関係があるような含みで口を利いてしまうのか。

「・・・関係あるんだ。」
「知らね。」

本当は、知ってほしいんじゃないのか?

「・・・今朝の、こと?」

遊戯はそっぽを向いたまま僅かに俯いて、その表情を曇らせる。
解っているのか?
意外だった。

「今朝のことって・・・噂されたことは知ってんのか。」
「知ってるよ。散々聞かれたんだ、アテムとか城之内君に。
何でそんなに訝しがってるのかしらないけどさ。」

海馬君が車を出してくれたのが、そんなに問題なの?
モクバ君とゲームでお泊りしたのが、そんなにいけないの?

「わかんないよ、皆、何考えてんのか。
・・・キミの機嫌が悪いのもそうなの?噂が原因なの?」

ああ、そうだ。

「・・・。」
「沈黙は肯定?でも、なんで?キミは、」

聞いていられなくて、バクラは遊戯の腕を強引に掴むと、
壁に押し付けた、
叩きつけられるようにされて痛いと声を上げたが、受入れられなかった。
胸倉を掴み、バクラの視線は遊戯を睨みつけていたが、
怯む必要はない、気丈に振舞った。

「・・・何?」
「・・・海馬となんかあったのか?お前は海馬のなんなんだ?」
「やっぱりそれ?」
「答えろよ。」
「・・・何でもないよ、ただ車を出してくれただけだよ。」
「はっ、信用なんねぇな。」
「お互い様だよ。」
「何・・・?」

遊戯は胸倉を掴む腕を掴んで、驚いた隙に引き離すと、
睨む視線から視線を外して、言い捨てた。

「自分だって、散々噂されて・・・こっちの身にもなってよ。」

「は?」
「自分ばっかり振り回して、ボクはいっつも振り回され損だ。
あの時だってそうだよ。」

バクラがはっとした一方で
遊戯は寂しそうな悔しそうな顔をして、自分の唇を抑えた。

「・・・覚えてたのかよ。」
「忘れてたなんて思ってたの?」
「だって、お前、」
「どうせ、バクラ君なんか、誰とでもするんでしょ?
バクラ君にとっては大したことじゃないかもしれないけど、
ボクにとっては一大事だったんだ。」

遊戯はキッとバクラをにらみつけた。

「あの時から、キミはずっとボクを支配し続けてるんだ。
課題が進まないのも、こんなにイライラするのも、
全部バクラ君のせいだからね!」

そう一方的に言い放って、バクラの制止も聞かず、
捨てた鞄を拾い逃げるように走り去っていった。

「なんだよ、あいつ・・・。あんな顔で睨まれたって、何にもなんねぇよ・・・。」

あんなに顔を赤く染めて、大きな瞳を潤ませて、
その顔と、言い捨てていった言葉を照らし合わせながら反芻すれば、
遊戯の本音らしきものが見えてきて、
それと同時に胸のうちが一気に熱くなり、再びそこへと座り込み頭を抱えた。

「ったく・・・こんなツラで外歩けっかよ・・・バカが。」

そうぼやいたバクラの顔は、誰も見たことがないほどに赤く染まっていて、
誰にも見せられたものではなかったが、
その熱で噂や苛立ちは灰になって涼しくなった風が吹き飛ばして。

胸に残るその熱に浮かれながら、
もう一度、その言葉をかみ締めるしかなかった。
だがそれは甘かった。



--------------------

・・・言い訳とかもうないです・・・。

ツンデレといわれて思い出せたのがローゼンの緑の子だけだったんです
でも、あれはどうにも使えんなぁと思い、
考えあぐねた結果、
喧嘩してるだけ、という(苦笑)

思えばツンデレなんて初めて書いたかも知れません。
良い機会になりました。
ご希望にまともに沿えずにすみません。

リクエストありがとうございました!


(08.05.21)AL41