魔の森 -後編-






多くが変わってしまったが、
それは前進だった。

龍によって戻された小屋で、
改めて話を聞くことになった。

生憎黒き龍、遊戯はガンドラと呼んでいたが、
彼?が入れる程小屋は大きくない。

なにやらぐったりしている遊戯を小屋の外壁に寄りかからせて、
そっと支えていた。
アテムが隣に座ると、頭が重いらしい遊戯はアテムの肩へともたげてきて、
「ごめん・・・」
「大丈夫だぜ?辛そうだな・・・?」
「ちょっとね・・・。」

へへっと力なく笑って、
ゆっくりと目を閉じる。

『遊戯は人間と違う。解っていると思うが。』

この小さな背中から、この龍が出てきたのだ。
人間だという考えはとうに捨て去っていて、
ああ、と頷くだけだった。

『遊戯はハーフだ。人間と魔物のな。』
「魔物・・・世間では目にしないが。」
『住み分けているのだ、本来は。』

お前は知っているか?
この地球の果てに大地があることを。

「地球の果て?」

地球は丸いものではないのか?

『その概念を捨てるが良い。
人間はすぐに己の知識で物事を決めようとする。』
「そうでなければ理解できない。」
『仕方があるまい。ただ、我々魔族の多くは地球の果てに住む。
人間とは相容れぬ存在。』

それはそうだろう。
聞いたこと無いのだ。

『だが、お前の両親はそこへ赴いたことがあるようだな。』
「なっ」

ガンドラはアテムの手のモノを首を振り示唆する。
両親の形見、
アテムが追われる理由。

「まさか、これは。」
『入り口の鍵だ。』
「入り口?」
『地球の果てへ入るには、無名都市から神殿に入る必要がある。』

父が、そんなところに行ったことがあると言うのだろうか。

父は、外交官だった。
普通の、よくいる、平凡な、
ただそれでもアテムにとっては尊敬にたる親だった。

でも、何故だ・・・?

「つまり、俺の父は、その無名都市を越えて、地球の果て、魔族の住む世界へいっていたと・・・?」
『そうだ。』
「そこへ行って何があるという?」

魔族と会ってどうするつもりだ?
そもそも、

そう考えを巡らせていると、
はっとした。

魔族・魔物と言うは易いが、
さっきのあの嘘のような光景。
大量の人間を一瞬で塵にしてしまうような、
あの強大な力・・・。

『聞いた話だ。』


もう数十年前の話。

2人の男が砂漠で路頭に迷った。

人の姿はなく、
水も残り少なく、
死が迫り寄ってくる。

せめて日から身を隠そうとした時、
ふと遺跡に遭遇したのだ。

それは妙につくりのよい、
整備された都市。

こんな遺跡があるとは聞いたことは無かった。
自分たちに余裕があれば研究したいとさえ思わせる。

だが、2人はそこへ身を隠す以外何も出来ない。

一番大きな、恐らく神殿と思われる場所へ足を踏み入れると、
妙に狭い通路には壁にはみっしりと絵が書かれており、
男たちの研究意欲をたぎらせた。
喉の渇きなど忘れて、それを食い入るように観察するだけだ。

先へ先へと進むうちに、
扉へ辿り着く。

ウジャトが埋め込まれた扉。

まるで誘われるようにそれを解き明かすと、
扉は開かれた。


『驚いたことだろう。
見たことの無い生き物が我が物顔で歩き回っているのだからな。』

そこからは、想像だが。



魔物共の強大な力の前に、
2人は我に返った。

恐ろしい。

恐ろしいのは魔物ではない。
この世界が知れたら、どうなるのかを想像することが恐ろしい。

この魔物一匹いれば、世界などすぐに支配できるだろう。

『懸命な判断だったといえる。』

扉を開ける鍵、7つの鍵から1つ、
それも更にその1つを崩したうちの1つを持ち逃げたのだ。

『1つでも足りなければ、開かない。
それ1つでは何も出来ないが、それ1つなければ扉は開かない。』
「魔物を利用した戦争・殺戮が止められるということか。」
『逆に言おうか。

それ1つ足りてしまえば、
この地球は魔族を介入させた戦争で焼けつくされるだろう。』


自分の手に、それが握られている。

ぼやけていたそれが鮮明に描かれると、
とんでもない恐怖がアテムを襲った。

自分が死に、これがヤツラに奪われたら・・・。

『問題は、その追っ手がどのようにして、
地球の果ての存在に気づいたか、だ。』
「ああ・・・。」

うわごとの様に返事を返したアテムに、
ガンドラはまたこの人間を混乱させたのだと気づき、
人間に対し皮肉は言えずに、
だが上手い具合に声をかけることも出来ず、

『ヤツラが本当に魔族を知るのであれば、
下らん企みなどしないはずなのだがな。』

「魔物・・・魔族・・・一体、どういう存在なんだ?」
『時に人は神と呼ぶ。』

規模がどんどん大きくなってはいないか?

「神・・・?神とは全知全能なのではないのか?」
『神といえど、種類は多い。本当は単なる魔物でしかないことだってある。』

だが、何故そんなものが、地球に住んでいる・・・?

「地球の果ては、地球にあるのだろう?」
『地球上でも地球内でも宇宙でもない。
地球の果てに行く為には神殿を介するしかない。
しかし、お前たちの言う地球とはまた別と考えればいい。』

「頭が混乱する一方だ。」
『己の知識で整理しようとするからだ。そのまま受け止めろ。』
「それが一番楽なようだ・・・。」

無駄に疲れた頭を休めようとすると、
肩に頭を預けていた遊戯が目を覚ました。

「遊戯、大丈夫か?」
「うん。ごめんね、寝ちゃった。へへ・・・。」

アテムが知った現状など知らない遊戯は、屈託なく笑う。
それは可愛らしい笑みで、
胸の締め付けがふと緩くなって、此方まで笑ってしまう。

「ガンドラから話を?」
「ああ。色々と。」
「じゃあ、ボクのことも聞いちゃった?」
「少しな。」

はっとした。
こんなに可愛らしい笑みを浮かべる遊戯もまた、
魔物だというのだろうか。

『遊戯はハーフだ。魔物ではない。』

心は読まれていたらしい。

「ボクは、弱いんだ、体が。それで、ガンドラがボクの中に住んでるんだ。」
「遊戯、“それで”ところの理由が、俺は微妙に理解できないんだが。」
「えっとね?・・・。」

遊戯自身、頭で理解しているわけではないらしく、
説明に苦心する。
見かねたガンドラが口を挟んだ。

『先程はなしたように、魔物は果てに住む。
だが、遊戯は人間の血が混ざっているために、まず魔物としては弱い。
人間としても生きられない。まず、成長が止まった。
これ以上大人になる可能性は低い。』
「低いって、まだわからないだろう?」
『本来は一年で大人になるのだ。』

いちねん・・・?

『だが、遊戯は3年立ってもこのままだ。2年前から殆ど変わっていない。』

「そういう、モノなんだな。」
『そうだ。その上厄介なことに、遊戯は己の力を持っていない。』
「力・・・?ああ、さっきの・・・。」
『そうだ。外敵から身を守る手段がない。ただ、他者を体に宿すことが出来る。
その為、遊戯の力として、』
「ガンドラがボクを守ってくれてるんだ。」
『人使いが荒いがな。』
「・・・。」

まぁ、その人使いの荒さがアテムを助けてくれたのだ。
感謝するほかない。

「それで、アテムは、解ったの?」
「ああ。これから、どうするか・・・。」
『逃げ続けるには限界があるだろうな。』

外にはまたヤツラがいるのだろう。

「だが、俺は、これを何があっても渡す気はない!」
『渡されては、此方も困る。』
「じゃあ、どうするの?って、ボクよくわかんないけど。」

『果てへ行け。』

「!」

父の訪れた世界。

それだけでアテムの心は興味を持った。
だが、
「俺に行けるのか・・・?」
「ボクも行く!」
『遊戯!?』
「だって、ね?」

ボクたち、友達だもんね?

「でも、」
「大丈夫、ガンドラもセラもアルも一緒だから。」
『・・・。』
再びこの3歳の少年は人使いの荒さを発揮した。

「いいでしょ?ガンドラ。」
『否定は許さないようだな。・・・まあいいだろう。扉を開かれて困るのはこちらも一緒だ。』
「決まりね!」

恐ろしい行動力を持った少年によって決断は下され、
その日の闇にまぎれて、森を抜け出し、
一行は果てへと続く、無名都市へ向かい旅立った。


父の歩んだ道。

アテムはその、数奇にも定められた旅路を、遊戯と共に歩み始めた。



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意味不明。(またか。)


中で言っていた作品ですが、
ギルティギアという格闘ゲームのディズィーがちょっと元ねたです。
3歳、の辺り。
格闘ゲームは苦手なのでギルティはやったことがないんですが、
BGMがかっこいいので、ちょっと色々見ていたところ、
出てきたので触発されたんです。
実際のディジィーはどちらかと言うとキサラのようですが。

そしてやっぱり全体的に、某神話から色々拝借。

無名都市とか。

早く全部読みたいんですが、いやいや金がなくてですね?
しかも結構ホラーで・・・
入門として?辞典を買ったので、そこから単語をちょくちょくお借りした結果です。

つまり、駄文中の単語と実際の単語はだいぶ差がありますよ、という話でした。



はぁ、すっきりしたぜ!(自己満サイトの真骨頂)



(08.03.17)AL41