*喋った!モンスターが喋ったぁ!
*亜人?
魔の森 -中編-
友達になろうといって、なるものなのだろうか。
もう、出会えない、いや、出会わない方がいいと言ったのは遊戯なのに、
なぜ友人になりたいというのだろう。
アテムの抱いた疑問は解決手段を持ち合わせていなかった。
だが、
遊戯と友人になったということは、
何となく嬉しかった。
だが、
だからこそ、
追っ手がここまでやってきて、遊戯を傷つけるのが恐ろしい。
寂しい話だが、しかし再会する可能性が0という理由では無い。
彼が如何に忠告しようと、
また、この森を訪れよう。
その誓いは言葉にせずに、すっと立ち上がると、
遊戯は寂しそうな、でも楽しそうな、不思議な顔をしてみせる。
「もう、行くの?」
「あ、ああ。」
「これ以上迷惑もかけられないし、
色々調べたいこともあるからな。」
「じゃあ、送るよ!」
そう言って、支度を終えたアテムの手をとり、玄関まで連れて行って、
仲間を呼ぶ。
「セラ?アル?行こう!」
「アル?」
「うん。セラの仲間だよ。」
さっきの白い女の後ろからやってくる男がそうなのだろう。
手には、片手ではもてないほどの剣を携えている。
一方女も、さっきは持っていなかったロッドを手にしている。
「彼らは、友人じゃないのか?」
「うん。ボクがどんなに友達になってっていっても、聞いてくれないんだ。」
遊戯の言葉を聞いていると、頭が混乱しそうだ。
アテムはただそうかとだけ答え、それ以上関与しなかった。
遊戯は、隣町、アテムが来たのとは逆の町へと案内してくれた。
彼の知り合い2人は、近くを歩くだけで、何の行動も起さずに、
黙々と付いてくる。
その間、アテムは遊戯の質問攻めにあい、
彼が住んでいた町や行ったことのある場所について、色々話をする羽目になった。
故郷の話は少々心苦しいものがあったが、
遊戯に語りかけていると、何かが浄化されていき、
これから強く生き延びようという意思がより強くなっていく。
次第に木の数も減り始め、
空が開けてくる。
ふと、あの女が歩み出て遊戯を制した。
遊戯は寂しそうな様子を見せながらも、
「ボクがいけるのはここまでなんだ。」
と無理に笑う。
「遊戯は、出られないのか?ここを。」
「・・・うん。だから、外の世界が気になってたんだ。
外の人と会うのも久しぶりで・・・。」
それで、質問攻めだったということか。
「・・・そうか。」
別れ。
さっきは永遠で無いと、また来ようとそう誓ったのに、
いざ時が来ると、寂しくなってしまった。
「遊戯、本当にありがとう。」
「ううん、気にしないで?だって、友達でしょ?」
「そうだな。」
遊戯が楽しそうに笑うので、さっきまでの寂しさなど忘れてしまう。
最初、妖しいと思ったこの森だったが、
思えば遊戯という存在は、不思議であった。
それは、彼の境遇だけでない、
雰囲気や、その笑顔なんてものも含めて、
不思議な空気を纏っていると感じた。
「元気でね!」
「ああ。」
手を大きく振って、
それに思わず振り替えして、
外を目指す。
絶対に戻って、またあの笑顔を見に来よう。
そう、改めて思いなおすも、
先のことなど殆ど決まっていなかった。
何より、敵を撒く方法も考えられなかった。
だが、此処へやってくるときとは違う。
逃げるのは悔しいが、
生きるためならばそれも手段だとそう思える。
見つからぬよう、身を潜めながら先へ進もう。
そう、決めたのも虚しい。
木々を縫うように、
追っ手は横一列に並んでいた。
前衛は皆弓を構え、
逃げることも、隠れることも出来なかった。
「鬼ごっこは終わりだ、アテム。」
「・・・分が悪いゲームだったな。」
殺されるだろう。
相手の目的は、アテムではないのだ。
アテムの所有するものが目的であって、
殺した方が好都合であった。
それに、生きながら差し出すのは許せなかった。
もう、駄目なのか・・・?
回避手段はないのか?
ああ、今から木に隠れたところで、
囲まれてしまえば終わりだ。
すまない、遊戯。
俺は、森を抜けることさえ出来なかった。
森でであった友人に詫びながら、
そこへ座り込む。
「今から親のところへ送ってやるさ。」
司令官と思しき男は腕をすっと上げて、
それに従い弓兵が弦を引く。
「だめぇ!」
聞き覚えのある声にはっとすると、
周囲には茶色の物体が無数うようよ浮いていて、
放たれた矢は全てそれらが受け止めていて、
目の前にはさっき別れたばかりの友人がいる。
「ゆうぎ・・・!?」
そう、うわごとの様に呼んだが、遊戯はそれに気づかないのか、
相手を見据えていた。
「誰だ、あの小僧は!!」
「・・・キミ達がアテムを傷つけたの?」
「殺れ!矢を放て!」
遊戯の声を無視して放たれた矢は、まだ残っていた茶色の物体に当たる。
ただ、その茶色の物体は矢が当たると消えるらしく、
2人の姿は露になる。
茶色の物体に当たらなかった一本がアテムの左腕に直撃した。
「遊戯、逃げろ!!」
守りたいじゃないか、友人なら。
「やだ。逃げないよ、逃げられないよ!
キミがボクを助けようとするのと理由は同じだよ!」
「だが、お前が此処で死ぬ理由は無い!」
「やだよ!!」
遊戯はそう言いしゃがみ、アテムを抱えるようにして、
敵を見据えた。
すでに、茶色のものは全て消えていた。
「もう、邪魔は無い!二人ともども殺ってしまえ!!」
アテムは遊戯を庇おうとするが、左腕は使い物にならず、
更に確りと抱き込まれていた。
「アテムを殺すなんて、許さないんだから!!」
だが、少年の言葉なんか届かない。
無情にも、矢は放たれた。
思わず目を瞑り、息を呑む。
だが、それでも光が遮られたのがわかり、
見開けば、
真っ黒な翼が2人を覆っていた。
「これは・・・?」
矢はその翼に刺さることさえ許されず、
コロコロと落ちた。
「ば、バケモノだ!!!」
翼の向こうでそう声が聞こえ、ガサガサと落ち葉を踏む音が聞こえる。
「逃げるな!逃げたやつも全員処罰するぞ!!」
司令官の怒号が響き、
一体は混乱に陥る。
一方、混乱し続けていたアテムの頭は冷静さを取り戻してゆく。
「遊戯・・・?」
ふと見上げたその顔を見るが、
あの美しい紫の瞳は毒々しい紅に変わっている。
そして、
この黒い翼が遊戯から生えていることに気が付いた。
だが、それにしたって、余りに大きい。
「遊戯・・・!!」
『許さん、何人足りとも、この森から抜けることは!!!』
そう怒鳴り散らす声は遊戯のものではない。
これが、遊戯の本当の姿なのか・・・?
そう、余りに常識を逸脱した考えがあっさりと浮かんできたが、
それもどうやら違うらしい。
「う、ううっ・・・!!」
知る友人の、あの遊戯の声でうめき声が聞こえると、
苦しそうに身をかがめる。
「遊戯!!」
右腕で何とかその身をささえると彼の背中が見えた。
何かが、出てくる。
すでに生えている黒い翼は、よりその大きさを増し、
遊戯の背中は妖しげな光に包まれていた。
言葉が無い。
アテムはただそれを見ていた。
その光の中から現れたもの、
黒き龍、それも全身に紅い光を宿した、禍禍しい龍。
その身が完全に遊戯を分離すると、それは一度咆哮してから、
その紅き光で一体を染めた。
アテムが見た限り、
その光の中で追っ手はみな、まるで灰の様にパラパラと塵になり消えた。
嘘のような映像だった。
呆気に取られていると、あの白い女と大剣の男が現れて、
女はすぐにアテムの腕を直した。
すうっと傷が消えて、痛みも無い。
「遊戯!!」
自由になった左腕で遊戯を抱えると、
ゆっくりと瞳が開かれる。
蒼い。
さっきは紅かったはずが・・・。
「アテム・・・?」
「遊戯、大丈夫か?」
うん、と頷きながらもその動きは鈍く、
思わず先とは反対に抱え込むと、
遊戯は僅かに驚きながら、笑った。
別れ際に見た笑顔だった。
『遊戯、何事だ?』
そこへいたあの龍は、低い声で告げる。
先よりは優しいように思うが、厳しい口調に違いなかった。
「ごめんなさい・・・。」
俯いて謝罪するも、龍は満足できないようで、
『人間と関わるなと、あれだけ言って来ただろう?』
「でも・・・。」
アテムを助けてしまった。
アテムと友人になってしまった。
『それに、セラエノ、アルゴール、お前たちもだ。
遊戯と外界の接触防げとあれほど言っただろう?』
「セラもアルも悪くないよ!!ボクが・・・。」
遊戯は何でも庇おうとした。
確かに遊戯に非があるのだろうが、
彼の責任だけではない。
「遊戯は悪くない・・・俺が、この森に来てしまったから。」
だから、遊戯はアテムを助けてしまったのだろう?
『人間、貴様は何者だ?』
問われ一瞬怖気づくも、嘘は無い。
「俺はアテム。奴等に追われる際負傷して、
この森に逃げ込んだ。そこで、遊戯に助けられた。」
『この森に?』
まさか、と首を横に振る。
『せいぜい、入れてここまでだ。
普通の者であれば、遊戯の目に届く場所に来られるわけがない。』
「だが、」
『我々が結界を張っている。』
「ボクを、外界から絶つためにだよ・・・。」
そう卑下するような言葉は暗く、
己の身を憂い、嘆き、嗤う。
「ボクは、この森から出ることを禁止されてるんだ。」
『それはお前を守るためだと、お前自身も解っているだろう?』
なにやら深い理由がありそうだが。
『話を戻そう。貴様は何故この森に入れた?』
「解らない。俺はただ逃げていただけだ。」
『何故追われる?』
アテムは彼が持つ僅かな荷物のうち1つをそっと取り出した。
謎めいた形の金製のピース。
ウジャトの模様があしらわれている。
「奴等は・・・俺の両親の形見を狙っている。
だが俺にはその形見が持つ意味や力がわからない。
それでも俺にとっては大事な形見だ。あんなヤツラに渡したくない!」
『それを見せろ。掲げるだけでいい。』
言われるがままに龍へ向かって見せれば、
なにやら納得したらしい、
『合点がいった。非礼は詫びる必要がありそうだ。』
「これが何か、わかるのか!?」
『ああ。それは強大な力を呼び覚ますための欠片。
1つでは意味を成さないが、1つでもなければ意味が無い。』
「これをもっていたから、森に入れたということか?」
『そうだ。』
解ったこともあるが、
それに付随してわからないことが多すぎる。
それを察したらしい遊戯は、
「ガンドラ、アテムの頭がパンクしちゃうよ。休もう?」
そう促し、
ガンドラと呼ばれた龍も渋々それに従った。
2人を掴みあげて、空を舞い、
遊戯の小屋へと戻っていった。
確かに戻ってこようとは思っていたが、
余りに早く戻ってきてしまったな、とアテムは苦笑する。
しかし、
こんなに短い時間だったというのに、
前とはガラリと変わってしまったと思うのだ。
それは不思議な少年の力を目にしただけでなく、
嘘のような力を持つ龍の話だけではなく、
自分の道がとうとう切り開かれているのだということ。
アテムは漸く、一歩を踏み出した。
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思いのほか長いぜ・・・
と、いうことで3分割
また、需要の無いものに限って長いんだよな・・・
アテムの形見は、パズルのあのメインのヤツをイメージ
さらに、
お分かりかと思いますが、
茶色の物体→クリ〜
白い女(セラエノ)→サイマジ
大剣の男(アルゴール)→ソードマン
ガンドラは説明不要か・・・
セラエノとアルゴールは、某神話から名前拝借
ただ、その神話全て読んでいないので
神話とキャラのイメージは異なるかと思います
敵にはイメージ無いです
これを書くに当たって他にも参考にさせていただいてるものがあったりするんですが、
後編で。
(08.03.25)AL41