*遊戯がアホな子
*城之内もアホな子

*多分、この設定はこれっきりだ・・・orz





いいのやら悪いのやら。





好きな人







数日前、杏子は友人に聞かれた。

『城之内君って、好きな子いるのかな?』

そんな事を聞く友人が好事家に思えたが、
確かにそんなことは聴いた記憶が無い。

中学時代は、割と遊んでいたというが、
今はもうカードカードで、カードが恋人みたいなものだと思う。

だが、流石にそんな答えをいうことも出来ず、
適当に流した。


今まで一度も考えたことが無いというのに、
そう聞かれると何となく気になってしまう。

思えば、
城之内は良くわからない。


性格は行動に出ているせいで、何となく解る。
決闘のスタイルもデッキの構成も、彼の性格を現していると思う、
だが、
そうやって何となく形に出ているだけで、
彼自身は余り語らない。

中学の不良時代のことは、余り言いたくない、特に遊戯には知られたくないようで、
口にすることは少ない。


ただ、まぁ、
城之内が結局は悪戯好きで、
どうにもちょっと配慮が足りないということは、
以下の事件によって証明されたように思う。



事件は昼起こった。




昼食にカレーを食べていた城之内が、
遊戯の弁当に付け合せのらっきょうを置いた。

城之内にとっては何てことない冗談だったのだろうが、


ご飯の上に転がるらっきょう。


解らないだろう。
何といっても城之内はキライなものが無いのだ。
遊戯の心境など知る由も無い。


固まっている遊戯。
笑う城之内と本田。


杏子は良く知っている。

何故そこまでらっきょうを嫌うのかは、流石に解らないが、
杏子は、別にそれはそれでいいと思うのだ。
大人になれば味覚だって変わるし、
いつか食べるようになるだろう、と。

だが、まぁ、問題は現在の話で。

このらっきょう嫌いのことを知っているのかいないのか。
いや、知っているからこそ、乗せたのだろうが。

「ちょっと、あんた達、遊戯と食べ物で遊ばないでよ。」
「遊んじゃいないぜ!」

駄目だ。
何を言っても通じないだろう。

しかも、何の反応も示していない遊戯が危険だ。
まるで不発弾のようだ。

男2人は固まった遊戯を見て笑っているが、

ああ、嫌な予感しかしない。


どうにも手が打てなくなったところに、
1人クラスメイトがやってきて、
「武藤君、先生が来いって。職員室ね。」
と、伝え去っていった。


らっきょうの乗った弁当に全く手をつけず、
がたっと席を立った。

俯いたまま、遊戯とは思えない低い声で、



「城之内君なんか、キライだ・・・大ッキライ!!!!!!!!」



そう叫んで走り去って行った。

教室に余り人がいなかったことが幸いだったのだろうか。
余り騒ぎにはならなかった。

だが、
何故城之内が怒る・・・?

「何だよ、弁当にらっきょう乗っけただけの話じゃねぇかよ!」
「なー!」
「好き嫌いなんて、ワガママだろ?好き嫌い言ってるから遊戯はあんなに貧弱なんじゃねぇのか?」

あんたにとってはそうだろうよ・・・

だが、遊戯は違うし、
らっきょう如きで体形が変わるなどと、
バラエティ番組でもそんな捏造はしない。

いや、だが、思えば一理あるのだろうか。

一向に遊戯の気を知ろうとしない男共に、渋々説明をした。


「あのね?まぁ、2人は知らないと思うけど、」



以前・・・そう、小学校の頃だった。

一応幼馴染だった遊戯と杏子は同じ小学校ではあったが、
教室は異なり、
人から聞いた話だが、
どの情報でも同じことを言っていた。

ある日、
給食にらっきょうが出た。

遊戯はそれを決死たる決意でもって残したのだが、
体が小さく非力な遊戯に、教師は「全部食べないと大きくなれんぞ!」と、
強引に食べさせたのだ。


結果、

大騒動に発展した。

遊戯は倒れ失神し、
他の生徒は叫び、驚き、中には泣くものもあり、
他のクラスからも野次馬が殺到し、
保健室は救急車を呼び、
担任は半泣きになりながら保護者に連絡し、
授業は半ば崩壊し、
午後の授業が自習になった。


遊戯は数日間魘されて、余計弱弱しくなって帰って来た。

誰も彼を笑うことが許されないほど、
遊戯はやつれていた。

育ち盛りのはずが、
それ以降暫く少食になったのが、今の小柄すぎる体形の原因か?

「まぁ、遊戯が小柄な理由の一端にはなるかもわからないけど、
兎に角遊戯は、らっきょうが大嫌いなのよ。」

まぁ、今はらっきょうより、あんたの方が嫌いかもしれないけど?

と、付け加えれば、
城之内も流石に言葉が無い。

更にまだ「大ッキライ」という声がこだましていて、
さっきまで欠片もなかった罪悪感は一気に心を支配する
や、いなや、

ダンっと立ち上がって、

「遊戯んとこ行ってくる。」

と、教室を飛び出していった。

「じょ、城之内!?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」

余りに思いつきの行動で、
しかし、杏子も本田も後を追っていった。

「ったく、遊戯も遊戯で言ってくれりゃあいいのによ!」
「思い出したくもなかったんでしょ?もう、2人がいけないんだから!」

城之内の足は速い速い。

「あいつ、あんなに足速かったか?」
「知らない!」

職員室へつくと、城之内と漸くすれ違った。

「何だ、お前らも来てたのか?」
「俺も謝んなきゃいけねぇからな。」
「ったく、いきなり飛び出すから吃驚したのよ。」

追いかけてきた気の良い友人に笑いながら謝って、
「遊戯は実験教室の準備室で雑務だとよ。」

居場所がわかっているのなら、そうあわてることも無いのだが、
城之内は再び走り出す。

「ちょ、ねぇ、走るの?」
「早く謝りてぇんだよ!」

そういう城之内の声は何だか楽しそうだった。


漸くついた準備室に、
遊戯は1人、課された使命を淡々と果たしていた。

「何でボクなの・・・。」

まぁ、あとビーカーさえ仕舞えば終わりなのだが。
割らないように慎重にそれを棚へ運び、仕舞う。
確り鍵をかけて、
さぁ、教師へ報告・・・


その時、
グラっと大地が揺れた。

「じ、地震!?」

準備室前にいた3人は、
思ったより大きな地震に驚き、
杏子と本田はその場にしゃがみ、隠れる場所を探す。

だが、
城之内と言えば、
突っ立ったまま、
準備室のドアノブを握ったまま。

流石に顔を合わせるのは複雑か?

しかし、
謝りたい。

彼がそれに気づいていたのか解らないが、
揺れが収まった時だった。
そう、ばんっとドアを開けると、
遊戯は、彼の身長の倍はあるような棚の間の細い場所に立っていて、
眼が合った。

「あ、」

遊戯がそう声を漏らすと、
城之内は駆け出した。

「遊戯!」

声を上げたのは、それより遅く、
棚の上に置いてあった、もうずっと使っていないだろう実験器具が
遊戯の頭上に落ちてくるよりも早かった。


それらが床に落ちた。


「イテテ・・・。」

痛いのは、床に頭を打ったからだ。

「遊戯、大丈夫か?」

頭をさすりながら、眼を開けると、
キライだと言い放った相手。
「城之内君・・・?あ、」

城之内の向こうに転がっている実験器具。
そこはさっき自分が立っていた場所。

「助けてくれたの?」
「あ、ああ、当然だろ!へへっ。」

いないはずの自分が何故いるのか。
城之内は少し居た堪れなくなって、でも、意図があって来たのだ。

「あのよ、さっきは悪ぃな。そんならっきょうが嫌いだとは思わなかったんだ。」
「あ・・・。」

そのことを言うためだけに、
此処まで来て、更に自分を助けてくれたのだ。

「ボクも、ごめんね。城之内君のこと嫌いなんかじゃないよ!」

互いの命を犠牲にしてでも守ろうとした過去。

「ボクは城之内君が好きだよ!」
「俺もだぜ、遊戯!」

そう、
やっと元に戻れて、
城之内は遊戯を抱えるようにして、髪をグシャグシャにしてやる。


「あーあー、まぁ、仲直りってことか。」
「いつもどおりね。」

無事何時もの2人に戻って、安堵する。


だが、それにしてもどうやら、

城之内は今、遊戯が好きらしい。
それは遊戯のいう好きと同義語で、
だが、
生半可な好きではない、
命を張ってでも守りたいほど。


男女間の好きとは違うが、
それ以上の絆が2人にはあるということか。

城之内が好きなのは、遊戯。

事実だが、杏子は、友人に黙っておこうと思った。
口で告げるのは余りにも語弊がありそうだった。




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頂戴したネタから生まれた駄文、第・・・何弾?

城之内と遊戯の熱い友情を杏子視点で、と頂いたのですが、

友情ってなに?(待て)

杏子の性格も良くわかって無いかもなー・・・
いや、城之内と本田もさっぱりなんだけど・・・


ちなみにこの後、遊戯の弁当にのったらっきょうは城之内が食べ、
遊戯は弁当をしっかり食べました。




ちなみに管理人はナスが嫌いです。






(08.03.22)AL41