Ep.1-05
これだけ似ているのだから、
何かしら縁はありそうだが、
苗字は違っても、親が離婚しただけ、とか(自分のように)
異母とか異父とか、
「遠い親戚ってところだ。」
「そ、それだけか!?こんなに似てるのに。」
「そういう家柄なんだ。双子が多かったり、似てたりな。こういう能力も、遺伝なんだ。」
「ボクのじいちゃんのじいちゃんのお嫁さんが、もう一人のボクの家系の人なんだ。」
「だいぶ遠いな・・・。」
それにしても、と2人を改めて見比べる。
「似てるよなぁ。」
そう呟くと、アテムも、確かにな、と同意を返す。
「でも、昔、俺と相棒が初めてあったときは、もっと似てたんだぜ?」
「ボク、本当に自分がもう一人いるのかと思ったもん。」
それならば、呼び名が「もう一人のボク」になるのも、分からなくは無いか。
それから暫くだべっていたが、日も落ちて大分経っていたので、
3人は店を出て家路に着く。
偶然にも住まいが近く、同じ道をたらたらと歩いていく。
丁度コンビニがある曲がり角で、道が分かれた。
唯、遊戯が「明日のパンだけ買ってくるね?」とコンビニへ行ってしまったため、
先に帰らず、城之内は出てくるのを待っていた。
ガラス張りの店舗のお陰で、食パンを買う遊戯の姿がはっきりと見える。
「相棒は、諸事情で、まともに学校へ通ったことが無いんだ。」
アテムはその様子を見守りながらそう呟いた。
「まぁ、俺も仕事仕事で転々としてたんだが。」
「ずっと一緒に動いてたんじゃないのか?」
「中学2年の後半あたりからか、一緒に行くようになったのは。
出来るだけ、世俗社会と関わらないようにして育てられたところがあるからな。」
「何だか複雑な事情があるんだな。」
人が勝手に複雑にしてるだけだ、とアテムは不満そうであったが、
「そういう理由と、この能力のお陰で、相棒は学校に友人がいたことが無いんだ。」
「俺は、友達だぜ?」
城之内が自信たっぷりに胸を叩くと、アテムもまた安心したような嬉しそうな様子を見せた。
「ごめんね、待たせちゃったよね。」
「おう、気にすんなよ、友達だろ?」
「...うん!」
「じゃあ、城之内君、明々後日に学校で会おうぜ。」
「学校でね!」
「ああ。じゃあな!」
「おやすみ。」
背を向けながらも手を上げ、返事をする城之内の姿を見守りつつ、
2人も新居へと歩みを進めた。
アテムが抱えていたパンを奪い取るようにとるので、遊戯は小さく声を上げながらも、
何時も隣にいるアテムでさえここ一番だと言わんばかりの笑顔をみせる。
「初めて親戚じゃない人と友達になったかも!」
「良かったな、相棒。」
「うん!」
そんな遊戯の様子をみて、
複雑な心境になる自分はどうかしていると、一人、ひっそりと思った。
アテムの心にあるのは、不安。
しかし、それは遊戯の未来を予見してのことではない。
遊戯の見せた笑顔を見たのは自分だけであるけれど、
向けられた先は、あの背中だった。
自分ではない。
自分だけが占有していた遊戯の時間が、
少しずつ割けられて、減っていくことに改めて気づく。
しかし、それは、単なるエゴでしかなかった。
口を、つぐんだ。
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